こんにちは、しょるです。今回は、日本の革靴ブランドを既成靴編とビスポーク編に分けてご紹介します。
日本の革靴産業は明治の始まりと共にありますが、本格的に普及したのは戦後の「サラリーマンの装い」が一般的となった1950年代から。
戦後の混乱の中、民間企業は軍靴の解体から(再)出発し、時代による機械化の波と共に多くのメーカーや職人が立ち消え、現代に至ります。
日本の革靴ブランドは、やはりどこか日本的な要素があります。その分、あなたをカッコよく仕上げてくれる可能性が高いのではないでしょうか。
日本の靴は、牛革を輸入に頼らなければならないこともあり、革質は同価格帯の英国やイタリアのブランドに一歩譲ります。その分、縫製やつり込み、底付けや仕上げの丁寧さが光るブランドが多いことが特徴。
それぞれ、どんなラインがあるのかや、どんな人に向いているのか解説しました。価格帯もラインも幅広いですが、ぜひ、あなたにピッタリの一足を見つけてください。
【2023年最新】日本の既成革靴ブランド13選!【プロ視点】人気メーカーをご紹介
まずは、既成靴ブランドをご紹介します。ある程度サイズ感の目星がついていた方が試しやすいと思いますので、参考までに私のジャストサイズも併記しました。
私の場合は、人差し指の長いギリシャ型で、踵~人差し指の先端までが27.5cm、親指までが27cm、足幅の一番長い部分が10cm。
スタンスミスで27.5cm、クラークスのデザートブーツやワラビーでUK8.5(US9)、ドクターマーチンでUK9(ちょっと緩い)、大体の英国靴で8.5サイズです。購入を検討される場合の、参考にしていただけたら幸いです。
リーガル(REGAL)
REGAL 公式HPより引用
- <参考価格>
- 28,600円(2504)
44,000円(01DR)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・高級紳士靴のエントリー的な有名ブランド
・1万円台から十万円弱まで、幅広い価格帯やラインナップから選びたい
・全国に店舗を構える入手性や、アフターフォローサービスの手厚さがある
リーガル(REGAL)は1902年創業、日本を代表するシューメーカー。非常に有名なブランドで、全国に店舗を構える入手性&アフターフォローの手厚さが特徴。
1万円台の廉価なシリーズは避けた方が良いですが、名靴「2504」は、ガラスレザー&合成ソールをグッドイヤー製法で作り上げ、どんな環境でもガシガシ履ける気楽な一足。
その他、ヴァン(VAN)やデサントといったブランドのコラボレーションモデルなど、面白いモデルも展開してくれます。私の場合、概ね26.5cmがベストサイズ。
三陽山長(SANYO YAMACHO)
三陽山長 公式HPより引用
- <参考価格>
- 80,300円(通常ライン)
110,000円(匠)
165,000円(謹製)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・日本らしい意匠性あるモノづくり
・中庸~ややスタイリッシュなラウンドトウorセミスクエアトウ
・グッドイヤー・ウェルテッド製法の中でも、ソールの返りが良くつり込みも丁寧
・防水靴やビジカジ用のラインからも検討したい
三陽山長は2001年創業。いずれの価格帯においてもベストチョイスな商品を展開する、高品質なモノづくりを求めている方にピッタリの既成靴を販売するブランド。
元々、国内の靴職人を選りすぐって立ち上げられた経緯があり、三陽商会が「山長印靴本舗」を買収してスタートしたブランド。通常ライン~の靴は浅草の「セントラル靴」が製造を担当していることでも有名です。
木型(ラスト)は、程よく中庸的なラウンドトウが中心。現在の紳士靴におけるスタンダードのような、スタイリッシュなシルエットが特徴です。
三陽山長 公式HPより引用
三陽山長の靴は、随所にコバの「矢筈掛け」や「レベルソ仕立て」、「スキンステッチ」といった技術力を要する仕様を盛り込むことで、「高級靴としての違い」に応えている点が魅力。
ラストの開発も頻繁に行っており、代表的なものはスタンダードなラウンドトウの「R2010」、ややロングノーズの「R3010」や「R309」など。トウの形はそこまで豊富ではないものの、ベーシックな形が揃っています。
販売は、実店舗&公式オンラインは上級ラインの扱いまでアリ。Amazonと楽天市場では通常ラインの取り扱いがあります。私の場合、R2010の90(27.0cm)がジャストサイズ。
大塚製靴「OTSUKA M-5」
大塚製靴 公式HPより引用
- <参考価格>
- 88,000円(M-5 200番台)
165,000円(M-5 100番台)
550,000円(M-5 ハンドソーン)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・日本らしい意匠性あるモノづくり
・半カラスやヒドゥンチャネル、スキンステッチなどの意匠性が好き
・日本の歴史あるメーカーの靴
大塚製靴は、1872年創業の老舗シューズメーカー。日本を代表する高級シューズブランドで、まさに日本の革靴の歴史と共にしてきたメーカーです。
大塚製靴は、廉価な既成靴から非常に丁寧なビスポークまで、多種多様なラインを擁している点が特徴。中でも「OTSUKA M-5」は、創業年(明治五年)に由来する高級ライン。そして「M-5」ラインの中でも、200番台、100番台、ハンドソーンモデルなど、価格帯がハッキリと分かれています。
大塚製靴 公式HPより引用
確かに、大塚製靴のハンドソーンウェルテッドやビスポークの靴は凄いと思います。作りも非常に丁寧で、出来栄えも日本の最高峰であることは間違いありません。
しかし、価格も4、50万円台~になってしまっているので、購入できる人が非常に限られてしまいます。一方、グッドイヤー製法の靴の場合は、8万円台~16万円程度。十分高価ではありますが、特に100番台は非常に丁寧な作りをしており“大塚製靴らしさ”を味わえます。
販売は、楽天市場が充実しています。私の場合、27.0cmがジャストサイズでした。
スコッチグレイン(SCOTCH GRAIN)
- <参考価格>
- 35,200円(アシュランス/ベルオム)
46,200円(オデッサ)
55,000円(インペリアル)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・下町感×グッドイヤー製法の確かな国産ブランドイメージ
・全体的にロングノーズの靴が好き
・踵の抜けはあまり気にならない(エントリー~中堅シリーズ)
スコッチグレイン(SCOTCH GRAIN)は、1964年創業。グッドイヤー・ウェルテッド製法で丁寧に作られた、“日本らしさ”を体現している独自の世界観が、多くのファンを獲得しているメーカーです。
スコッチグレインは様々な価格帯のラインを揃えており、シリーズ名でランクが分かるようになっています。有名どころは3万円台の「アシュランス」「シャインオアレイン」、4万円台の「オデッサ」、5万円台の「インペリアル」など。
知名度も高く、高級紳士靴のエントリーとして選ばれることも多いスコッチグレインですが、エントリーモデルは踵が大きく緩め。優秀な三万円台のブランドと比べると、やや割高です。
一方、インペリアルやインペリアルプレステージは、非常に優秀な革靴です。上級モデルは、英国の既成靴では味わえないような丁寧さ&革質も非常に高い商品になっています。
その他、多店舗展開やアウトレットにも進出しており、純正品による修理が可能な点も魅力。大切に履き続けること×アフターフォローの充実が、スコッチグレインを選ぶ理由になります。
全体的にノーズの長いモデルが多いのですが、私の場合、概ね26.0EEE~26.5cmEEがジャスト。サイズ感は大きめです。
ユニオンインペリアル(UNION IMPERIAL)
UNION ROYAL 公式HPから引用
- <参考価格>
- 41,800円(グッドイヤー)
57,200円(プレステージ)
66,000円(プレミアム)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・ちょっと変わった雰囲気×技術力ある靴
・ハンドソーン(九分仕立て)の靴が好き
・生産国は気にしない
・どちらかというと足の甲が低い
・撥水加工が施されたレザーで、雨の日も自然に「良い靴」を楽しみたい
ユニオンインペリアル(UNION IMPERIAL)は、創業1952年、世界長ユニオンという企業が展開するブランド。ラテン的なデザインエッセンスや、どこか色気のある靴を求めている人にピッタリ。
ユニオンインペリアルは、「グッドイヤー」「プレステージ」「プレミアム」の3段階にラインが分かれており、ミドルグレードのプレステージライン以上は、ハンドソーンウェルテッド製法(九分仕立て)で作られています。
パッと見は細身でスタイリッシュな印象ですが、サイズ感は存外に標準的。アジア系特有の(踵とつま先の向く角度が異なる)足型に適応した木型をしており、履きやすさと堅実さも伺えます。
UNION ROYAL 公式HPから引用
ユニオンインペリアルは、レベルソ仕立てやスキンステッチなど技術力の高さに定評があります。トレーディングポストの中堅ラインも、世界長ユニオンが製造しています。見た目の雰囲気が好きな方には非常にオススメ。
その他、ユニオンインペリアルが近年推している“はっ水レザー”モデルは、雨の日でもオシャレをしたい人必見(私も持っています)。私の場合、UK8.5サイズがジャスト。
マスターリーガル(The MASTER REGAL)
マスターリーガル(The MASTER REGAL)は、リーガルブランドの上級ライン。日本上陸60周年を記念して2021年に新設され、現在3型が発売されています。
「リーガル」の上級ラインと比べても、さらに高級感を追求したディテールが特徴。既成靴らしい足形の「守備範囲の広さ」も意識しながら、中庸的×上質な雰囲気を意識しています。
アッパーやライニングには、エルメス傘下のタンナーである、デュプイ社のカーフレザーを使用。全体的なデザインセンスも高く、革靴マニアが手を出しても十分足るレベルの本格靴です。
リーガルトーキョー(REGAL TOKYO)
REGAL 公式HPより引用
リーガルトーキョー(REGAL TOKYO)は、リーガルの名を冠するブランドの中で最高峰のライン。元々は、ビスポークシューズ(注文靴)のラインで、店舗は銀座店のみ取り扱いがあります。
現在は既成靴も販売しています。アノネイ社の「アニリンカーフ」をアッパーに採用しつつ、ハンドソーン・ウェルテッド製法(九分仕立て)で底付けされた一線を画すライン。
入手性の低さが欠点ですが、運が良ければ御殿場など主要アウトレットモールにて入手可能です。気に入ったモデル&サイズ感があれば、絶対にオススメですので、ぜひ足を運んでみてください。
MIYAGI KOGYO
- <参考価格>
- 60,500円
➡特徴&こんな人にピッタリ
・ベーシックで中庸的なラウンドトウ×6万円で優秀な靴を展開している
・革質よりステッチやつり込み、ソールの作りこみの丁寧さを重視している
・質実剛健さ×歩きやすさを重視する人に
“MIYAGI KOGYO”は2009年、東北を代表するシューメーカーである宮城興業が、ワールドフットウェアギャラリーと共同で立ち上げたブランド。
“MIYAGI KOGYO”は、ベーシックなラウンドトウ×6万円前後の価格帯で優秀な靴を展開しています。42ndロイヤルハイランド「エクスクルーシブ」が、“スタイリッシュさ”を特徴としている点とも対照的。ステッチの丁寧さやソールの作り込み、目付けの丁寧さなどに優れる靴。
販売は、ワールドフットウェアギャラリーの店舗およびオンラインのみ。Amazonや楽天市場といった大手ECストアには取り扱いがありません。現在は、6000番台やAR713ラストが中心で、UK9が私のベストサイズ。
トレーディングポスト(TRADING POST)
- <参考価格>
- 29,700円(NTP)
42,900円(UTP)
55,000円(CTP)
88,000円(TP)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・幅広い価格帯&ラインナップから選びたい
・国産靴の中でも、価格に対して革質に優れた個体の革靴が多い
・国産靴×アメリカンテイストのブーツやサドルシューズも有名
トレーディングポスト(TRADING POST)は、1984年設立のセレクトショップ。アメリカのアレンエドモンズ、スペインのカルミナ、英国のクロケット&ジョーンズなど、欧米の有名靴メーカーを輸入販売しています。
オリジナルレーベルは、幅広い価格レンジで展開しています。廉価なモデルで2万円台、最上位のモデルで8万円台。どのシリーズも価格に対して作り込みのクオリティが高く、革質に関しても総じて高めです。
レイマーが3万円というプライスで九分仕立て&ソールの作り込みに秀でるなら、トレーディングポストは革質にこだわりを持つ方にオススメ。
また、最上級ラインの「TP」シリーズは、「セントラル靴」が製造しています。三陽山長に比肩する出来栄えで、8万円台の国産靴をお求めの方には強くオススメできます。
ちなみに、「トレーディングポスト」というブランド名は、ネイティブアメリカンとヨーロッパからの移民との物々交換所に由来します。そのためか、サイズ表記がUSサイズであることに注意。
オンラインストアは公式か、ZOZOTOWNが充実しています。私の場合はUS9サイズがベスト。
42nd ロイヤルハイランド
- <参考価格>
- 32,450円(グッドイヤー)
39,600円(エクスプローラー)
41,800円(ネイビーコレクション)
62,700円(エクスクルーシブ)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・エクスクルーシブ:スタイリッシュ×6万円の優秀な靴を探している人に
・エクスプローラー:ノルヴィージャン・ハンドソーン製法を4万円前後で体感してみたい
・通常&ネイビーコレクション:3~4万円台で優秀な革靴を選びたい
42ndロイヤルハイランドは1983年創業、代官山の紳士靴専門ショップ&ブランド。オリジナルブランドに加え、チャーチやパラブーツ、グレンロイヤルといった有名ブランドを揃えています。
自社ブランドは、スタイリッシュ~カジュアル感の強い木型まで揃えていることが特徴。複数のラインに分かれており、エクスクルーシブラインで6万円台、中堅のラインで3~4万円台。
「エクスクルーシブ」はスタイリッシュですが、「エクスプローラー」はポッテリとしたカジュアル靴が中心。また、「ネイビーコレクション」「グッドイヤー(通常ライン)」は中庸的と、ラインによって見た目の傾向も異なります。
42ndロイヤルハイランドは、どのラインも価格に比して優秀。中でも、特にオススメなのは最上級の「エクスクルーシブ」ラインです。6万円の国産靴でスタイリッシュ×シンプルな上質さが◎。
また、「エクスプローラー」も独特の雰囲気のある国産靴です。(ダークスーツに合わせるシリーズではないものの)オンラインでの販売も充実しているので、気になる方はチェックしてみてください。
公式はフルラインナップ、楽天市場では通常~中堅ラインの取り扱いがあります。私の場合、UK8.5サイズがジャスト。
レイマー(Raymar)
Raymar 公式HPより引用
- <参考価格>
- 33,000円(ハンドソーン)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・3万円の予算で丁寧に作られたハンドソーン(九分仕立て)の靴
・半カラスやヒドゥンチャネル、スキンステッチなどの意匠性
・やや幅広甲高な足形をしている
レイマー(Raymar)は、静岡県焼津市にて誕生した新興ブランド。とにかく「コスパ」が高いブランドとして有名で、3万円前後でなるべく“高品質な革靴”を探している方に最適です。
創業者の大石裕介は営業マン時代、安くても満足いく靴に出会えなかったことが設立の切欠となったとのこと。消耗の激しい環境でも、安心して履ける靴作りを心掛けているブランドです。
レイマーは、主にベーシックなラウンドトウやエッグトウが中心。革質も高く、ヒドゥンチャネルや半カラス仕様など、3万円前後の価格帯では導入が難しい仕様も採用しています。
Raymar 公式HPより引用
また、レイマーはネット販売オンリーのブランド。Yahoo!ショッピングに公式ショップがあり、2023年現在、一次流通はYahoo!ショッピングのみ。
フィッティングに関しては、「アシーレ(足入れ?)」という独自のサービスで測定可能。詳細は公式HPに説明がありますが、木型を基に作られた、ビニール製の履物を送付してくれるというもの。
見た目は簡素ですが、最大幅や全長といった数値だけでなく、ボールジョイントの位置まで試せます。私の場合、US9(27.0cm)がベストサイズですが甲はやや高めでした。
ロイドフットウェア(LLOYD FOOTWEAR)
- <参考価格>
- 39,600円(Vシリーズ)
53,900円(Mシリーズ)
84,700円(マスターロイド)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・“英国靴”を日本メーカーで体感できる
・OEM元のブランドネームより廉価で、コスパ重視な靴にトライしたい
・幅広い価格帯&ラインナップから選びたい
ロイドフットウェア(LLOYD FOOTWEAR)は、1991年創業のショップ&ブランド。英国のファクトリーがOEM生産をしており、かつ日本人に合った木型展開をしていることが特徴です。
ロイドフットウェアは、価格帯ごとに製造元が分かれており、「Vシリーズ(バーカー製)」「Mシリーズ(チーニー製)」「マスターロイド(クロケット&ジョーンズのハンドグレード)」などが代表的。
全グレード共通で、グッドイヤー・ウェルテッド製法。また、それぞれのOEM元ブランドよりも、販売価格が廉価であることも特徴です。私は、いずれのラインもUK8.5サイズがベスト。
銀座ヨシノヤ
銀座ヨシノヤ 公式HPより引用
- <参考価格>
- 73,700円(紳士靴600ブラック)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・マッケイ製法の紳士靴で有名なブランド
・既成靴だけでなく、ハンドソーンのオーダーメイドシューズを比較的気軽に検討したい
・日本の歴史あるメーカーの靴
銀座ヨシノヤは創業1907年、日本の靴メーカーを代表する老舗のひとつ。現在は、レディースの靴が主力ではあるものの、紳士靴&子供靴の製造販売から始まったブランドであることから、メンズラインも継続して販売しています。
ここまで紹介してきた靴メーカーは、グッドイヤーorハンドソーン・ウェルテッド製法を特徴とするブランドばかりですが、銀座ヨシノヤの革靴は、マッケイ製法が中心。
一方、オーダーメイドでは、ハンドソーン・ウェルテッドでの製作も可能。クオリティも高いため侮れないメーカーですが、ビスポークブランドとも言えず、既成靴も入手性は高くないためこの順位に。
ここからは、日本のオーダーメイドシューズブランド9選をご紹介。ビスポークシューメーカーは、マシンメイド×既成靴に慣れ切った社会において、顧客のための一足を作ってくれることが特徴。
「自分だけのもの」という点において、非常に特別な靴を提供してくれます。
今日有名となった彼らの多くは、2000年代以降に設立されました。これは、90年代からの不景気突入によって、日本の「終身雇用制度」が幻想であることに気付かされた若者たちの一部が、靴職人を目指した時期があったことも理由とされています。
私は最初の4ブランドしか履いたことがないので、具体的な評価は差し控えさせていただきます(目指せ全制覇)。開拓する度に追加していきたいですね。
【ビスポーク】日本のオーダー革靴ブランド9選!【プロ視点】おすすめをご紹介
ジ・浅草コブラー(The Asakusa Cobbler)
ジ・浅草コブラー(The Asakusa Cobbler)は、石郷岡博が2007年に東京・浅草に立ち上げた靴修理店。様々なサービスに対応してくれるショップで、ハンドソーンウェルテッドのオールソールも丁寧に対応してくれます。
2013年から、自社製のビスポークシューズも製作しており、セミオーダーで10万円程度、フルオーダー&オプション込み込みでも20万円台前半くらいの予算で製作してくれます。
オススメは細かな“水シボ”が見られる、仏デュプイ社の「マローカーフ」を使用した一足。オプションで、革の端を使った仮履き靴も履けるようにしてくれるので、実質2足?作ってくれます。
レコット(LECOTT)
津久井玲子が2003年に独立し、現在のレコット(LECOTT)ブランドになったのが2010年。力強さと女性的な繊細さを兼ね備えた、非常に美しい靴を世に送り出しています。
故・関信義の最初の弟子でもある津久井玲子は、師匠譲りの美しい九分仕立てが真骨頂。スタイリッシュなラストが特徴で、個人的にはメダリオン(穴飾り)の美しさが際立っていると感じます。
百貨店の西武を中心に、毎年トランクショーを行っており、オーダーメイドと共に既成靴も販売しています。既成靴は、比較的リーズナブルな価格で入手可能。
ココン(KOKON)
KOKON 公式HPより引用
ココン(KOKON)は1995年創業、石川県金沢市にあるショップ&ブランド。2000年に「セントラル靴」との協働で自社ブランドをスタートした、知る人ぞ知るショップ。
オーダーメイドは、「クレマチス銀座」の高野圭太郎&「◯違鷹羽(まるにちがいたかのは)」の常世田哲という、いずれも日本屈指の靴職人が担当しています。
また、現在の既成靴は、「JOE WORKS」に製造を依頼しているグッドイヤー・ウェルテッド製法の「Factory made in Japan」ラインなどが有名。
クレマチス銀座(CLEMATIS GINZA)
クレマチス銀座(CLEMATIS GINZA)は、先述のココンでオーダーシューズを手掛けている、高野圭太郎が2008年に開設したビスポークブランド。
靴は細身で艶っぽいですが、どこか“男臭さ”も内包されているヴィンテージ感があります。ビスポークは型紙の作成から裁断、アッパーの製甲、底付けに至るまで、高野が一人で責任をもって製作しているそう。
アトリエには沢山のサンプル品が並べられており、こちらも一見の価値アリ。価格は込み込みで40~50万円弱と高額ですが、日本トップの靴職人が一貫して製作していることを考えると納得のプライスではないでしょうか。
(ここからは、私が今後、個人的に行ってみたいビスポークメーカーをご紹介します)
J.S.T.F.(ジャパン・シューズ・テクニカル・ファクトリー)
J.S.T.F.(ジャパン・シューズ・テクニカル・ファクトリー)は2005年、浅草にて橋本公宏が立ち上げた工房。
「靴は歩くための道具」を哲学とし、実用的かつ顧客の要望に応えた靴を製作するファクトリーとのこと。
橋本公宏が靴職人を志したのは28歳、かなり遅咲きの才能だったようです。それまでは飲食店や長距離トラック運転手を経て、関信義に弟子入り(この辺りのエピソードも、下記の本で記されています)。
スピーゴラ(SPIGOLA)
SPIGOLA 公式HPより引用
スピーゴラ(SPIGOLA)は「履きだおれ」の街として知られる、兵庫県神戸市に居を構えるビスポークアトリエ。鈴木幸次が2001年に立ち上げ、国内外で活動の幅を広げている日本を代表するビスポークシューメーカーです。
靴の型紙職人を父に持つ鈴木幸次は、1997年にイタリアで高名な靴職人、ロベルト・ウゴリーニに師事。ブランド名はイタリア語で「鱸(スズキ)」を意味し、苗字とかけているのだとか。
SPIGOLA 公式HPより引用
人気店ゆえに、ビスポークは納期が1年、また価格は38万円~と高額。日本の靴作りの実力を国外に知らしめた一人であり、相応の貢献を果たしている点を踏まえれば当然の価格だと思います。
フィレンツェの靴らしいセミスクエアトウと、強烈なサイドウォールの立ち上がり、踝から踵にかけての造形が美しい木型だと思います。ぜひ一度、神戸まで訪れたいファクトリー。
ヒロヤナギマチ(HIRO YANAGIMACHI)
ヒロヤナギマチ(HIRO YANAGIMACHI)は、東京・千駄ヶ谷に居を構えるビスポークアトリエ&ブランド。
設立者の柳町弘之は、London Cordwainers Collegeを卒業したデザイナー志望でした。ものづくりの追求の果てに、全ての工程を自身で製作するビスポークの世界に辿り着いたとのこと。
鈴木幸次と同様、現在の日本のビスポークシューメーカーを代表する存在で、写真のループオックスフォードが非常に印象的。HPはオーダーメイド初心者にも優しく分かりやすい、ユーザーファーストな印象を受けます。
イルミーチョ(IL MICIO)
イル ミーチョ(IL MICIO)は、深谷秀隆が日本人で初めて海外拠点としたビスポークアトリエ。ビスポークシューメーカーの中でも非常に意匠性の高い靴作りが特徴。
ブランド名はイタリア語で「仔猫」を意味し、「猫のように自由に誰にも媚びずに、やりたいことだけをやりましょう」という心情を表現しているそう。
厳密にはイタリアのブランドですが、セレクトショップのトゥモローランドにてオーダーの受注会および、既成靴ラインのヒデタカフカヤを展開しています。ビスポークの相場価格は、今回紹介した中で最も高額な65万円~。
ヨウヘイフクダ(YOHEI FUKUDA)
ヨウヘイフクダ(YOHEI FUKUDA)は、2008年に東京都港区にてスタートしたビスポークシューメーカー。英国的な靴をベースに、無駄のないシンプルな靴が印象的。
福田洋平は、英国ノーザンプトンの博物館で見た1910年代の靴に見惚れ、靴職業訓練学校に入学。その後、ジョンロブやエドワードグリーン、チャーチといった、靴好きなら誰もが知る有名ブランドでキャリアを積んだ人物。
ヨウヘイフクダでは、セミオーダー、フルオーダー、伝統的な英国的な内羽根のシューズを製作するハウススタイルビスポークの3種類の注文方式を揃えています。
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