【最高の既成靴】ヴァーシュ(VASS)の評価!代表的モデル&ラスト、サイズ感!

VASS 公式HPより引用

  • 東欧靴を代表する、ハンガリー・ブダペストの知る人ぞ知る実力派メーカー
  • フルハンドソーンによる履き心地の良さと立体感は、他の有名既成靴メーカーを圧倒する
  • 個人的No.1既成靴メーカー
価格
156,600円(日本国内定価)
€ 417(公式オンラインストア)

こんにちは、しょるです。

本日はヴァーシュ(VASS)という、ハンガリー・ブタペストのブランドをご紹介。

ヴァーシュは一昔前に発行された某靴雑誌にて、国内靴業界で有名な靴職人の方に「世界一の既成靴」と言わしめたシューズブランド。知らないメーカーもあるので実際には何とも言えないところですが、極めて高い品質を誇ります。少なくともNo. 1候補であることは間違いありません

そんな訳で本日は、ヴァーシュというブランドと代表的モデル&ラストをご紹介。そして、途中にある別記事リンクでは、実際にハンガリーから個人輸入してみたので、方法も含めてレビューします。英語が苦手な方でも安心して購入できるので、お付き合いのほど宜しくお願いします!

目次

【本当に良い】ヴァーシュ(VASS)ブランド&シューズの特徴は?

ヴァーシュはハンガリー・ブダペストのシューズ工房

ヴァーシュ(VASS)は1978年、ラズロ・ヴァーシュによって立ち上げられた東欧ハンガリー・ブタペストのシューメーカー。高級紳士靴といえば英国や米国、イタリアなどが有名ですが、比して東西冷戦時における”東側諸国”の工房は多くが謎に包まれていました。

実際、中~東欧はアッパーに使える良質な牛革を自国では確保できず、さらにインフラの遅れから機械による生産体制を確立できるところが極端に少なかったこともあり、ブランドとして日の目を見た工房はほとんどありません。しかし、西欧の一流タンナーから革の供給を受けられていたラズロの手掛ける靴は、当時から知る人ぞ知る存在だったようです

ヴァーシュの情報は冷戦後、少しずつ日本にも入るようになりました。00年代には大手百貨店の伊勢丹が、ヴァーシュとフィレンツェの世界的ビスポークシューメーカー、ロベルト・ウゴリーニとのトリプルコラボレーションを展開。モデルの美しさはもちろん、ウゴリーニが生産を任せた工房の実力は、多くの日本の紳士靴愛好家に衝撃を与えました。

西欧や米国のメーカーが時代と共に機械化や製造の合理化、そして簡素化が図られつつも価格が高騰し続けたことに対し、ヴァーシュは時代に”取り残された”ハンドメイドシューズメーカーの実力を思い知らしめました。以降、ヴァーシュは最高峰の既成靴メーカーとして名を知らしめています

機械化の遅れを逆手にとった、フルハンドソーン(10部仕立て)シューズ

ヴァーシュ最大の特徴は、非常にクオリティの高いアッパーやライニング、ソールを使用した上で、外注である製甲工程以外の全てがフルハンドメイドで少数生産されている点

特に、

  • 既成靴メーカー
  • 底付けが10分仕立てのハンドソーン・ウェルテッド製法かつ、木型の最限度が非常に高い
  • 欧州の有名タンナーからハイグレードの革を供給されている

これら3つの条件をすべて満たすメーカーは、現在ほとんど存在しません

もちろん、ビスポークメーカーであれば一流の革を使用した、フルハンドソーンウェルテッド製法のシューズは製作可能です。しかし、低く見積もっても20万円台、高名なブランドなら3、40万円~の予算が必要。その点、ヴァーシュは国内販売価格こそ15万円を超えますが、後ほどご紹介する公式オンラインであれば400ユーロ程度

1ユーロを130円くらいとすると、関税や送料、シューツリー込みでもトータルで6万円程度(ただし、コロナ禍で輸送がパンクしており高額なため、現在は7万円程度)の破格で購入可能です。

グッドイヤー・ウェルテッド製法には追求できない、造形の奥深さ

「英国の超一流メーカーの既成靴がグッドイヤーウェルテッド製法を採用しているのは何か理由があって、ハンドソーンウェルテッド製法でないと出来ないことはないんじゃないの?」

と、思われる方もいらっしゃると思います。

しかし実際、グッドイヤーウェルテッド製法がハンドソーンウェルテッド製法に機能性で勝る点は、生産効率以外にはありません。もちろん、生産効率の追求はブランド製品の普及には極めて重要ですし、会社の経営を支えるためには重要な要素ですが、代わりにソールの返り以外にも「木型の最限度」に差が生まれます。

最も差が生まれる部分は履き口周りの造形

上記の動画は、英国靴の王といわれるジョンロブの製作現場です。2分10秒あたりからご覧いただければと思いますが、グッドイヤー製法では木型に入れたまま機械でつり込み成形を行います。アッパーを留める釘も最低限、踵処理、ウェルトのリブへの縫合、底付け工程までずっと黄色の木型に入っていますよね

グッドイヤーウェルテッド製法はあくまで底付け方法ですが、工程上つり込みも機械で行うため木型の最限度にも差が生まれます。“一発でできる”生産性重視の工程が、例えば靴の後方部分、踵周りに大きな違いを生んでしまうのですね

一方、ハンドソーンウェルテッド製法は靴職人がつり込みの際にワニ(型のペンチ)で革を入念に引っぱり、踵やつま先といったカーブのきつい部分には多く釘を打つことで、忠実に木型に添わせることが可能。アッパー全周を釘で留めて内側に倒し、すくい縫いを行う際に抜いていきます。

結果、ハンドソーンウェルテッド製法は機械式では再現できないつり込みの立体感を実現可能木型に入れっぱなしでマシンで成型するグッドイヤーウェルテッド製法と比べると、立体感に差が生まれます。もっとも、技術的に可能というだけで、ハンドソーンウェルテッド製法ならどんなブランドでも立体的な訳ではありません。

写真は、今回ご紹介するヴァーシュ(左)と、グッドイヤーウェルテッド製法の某ブランド(ブランド名非公開)のかかと部分を撮影した比較画像です。かかとの大きさ自体も異なりますが、何より踵から履き口方面へのカーブの“くびれ”に圧倒的な差がありますよね

ヴァーシュの踵から履き口へ向けてひょうたんのようなくびれのある形状に対し、右のブランドはワイングラスのような緩いカーブです。グッドイヤーウェルテッド製法の中では出来の良い部類の靴ですが、それでも踵とくるぶしの間部分にあたる履き口周りのフィット感が甘くなり、靴擦れなどの原因にもなります。

こういった細かな点が、生産性重視の一発成型では人間の足形や木型を忠実に再現できない部分機械式グッドイヤーウェルテッド製法である限りは、この部分のくびれを作るのが極めて困難なのですね。

John Lobb のプレステージライン、踵が緩いという意見が散見される

ブランドネームだけではなく真にエレガントな靴をお求めであるならば、ハンドソーンウェルテッド製法を選ぶべきです。いくらソールをべヴェルドウエスト風にしたりフィルドバックにしても、グッドイヤーウェルテッド製法にはどうしても追求できない「木型の再現度」という壁が立ちはだかります

個人的にはグッドイヤー・ウェルテッド製法も好きです。コルクが沈み込む感覚や機械式での量産性の高い“大味感”も、ファッション的な要素ではないでしょうか。しかし、ちょっとした履き心地やフィット感にを与えてくれるのは、やはりハンドソーンウェルテッド製法のメーカーならでは。

もちろん、製法はあくまで底付けに関してのもの。基本的にはビスポーク中心のハンドソーンウェルテッド製法の中でも、既成靴でここまで造形を追求でききるメーカーはごく稀です。一枚の革を既成靴で、しかも縫い目のないシームレスヒール仕様でこのくびれを作るヴァーシュが異常ともいえます

ヴァーシュ(VASS)の代表的なモデルをご紹介!

VASS 公式HPより引用

ヴァーシュの靴は基本的に、都市名や国、人がモデル名になっています。

Budapest(外羽根フルブローグ)

VASS 公式HPより引用

まずは、ヴァーシュの本拠地でもあるハンガリーの首都名を冠したBudapest(ブダペスト)。一般的には、外羽根フルブローグと呼ばれるタイプのモデルです。フォーマルではないスーツやカジュアルなセットアップ、デニムにも合う靴ですね。

東欧靴は(西欧靴と比べ)全体的につま先が“ぽってり”としており、全長は短めという一種のアイデンティティを持っています。ノルヴィージャン・ハンドソーンウェルテッド製法で底付けされた外羽根フルブローグ&BPラストの組み合わせは、まさしく“ブダペスト靴”そのもの。

ハインリッヒディンケラッカーもブダペストに制作工房を設けていますが、まさに同様の特徴を持っています。

Budapest を展開しているラスト
Fラスト
BPラスト
3636ラスト
P2ラスト

VASS 公式HPより引用

現在は、内羽根フルブローグであるBudapest Oxford というモデルも展開されており、ラストもUラストやRラストといったスタイリッシュな木型を使用。ビジネススーツと合わせるなら、こちらの方が汎用性が高いですね。

Budapest Oxford を展開しているラスト
Uラスト
Rラスト

Alt English / Alt English Ⅱ(内羽根ストレートチップ/クォーターブローグ)

VASS 公式HPより引用

続いては、紳士靴の基本となる内羽根ストレートチップのモデルAlt English。クラシカルな英国のイメージから名付けられたと考えられます。ダークスーツはもちろん、シャドーストライプやピンヘッドといった無地に近いスーツによく合う靴。一方、デニムやカジュアルなセットアップには不向き。

Alt English を展開しているラスト
Fラスト
Uラスト
P2ラスト

VASS 公式HPより引用

ちなみにAlt English Ⅱというモデルもあります。サイドの縫い合わせ部分のデザインが異なり、ストレートチップの他に内羽根クォーターブローグのモデルもあります。私は通常のAlt Englishしか所有しておりませんが、こちらもカッコいいですね。

Alt English を展開しているラスト
Fラスト
Kラスト

London 5-eyelet / London 3-eyelet (外羽根プレーントウ)

5アイレットおよび3アイレット外羽根プレーントウ。どちらも同じLondonですが、

London 5-eyelet

London 3-eyelet

VASS 公式HPより引用

という風に、紐を通す穴の数が5つか3つかの違いがあります。前者がいわゆる外羽根プレーントウで、後者が外羽根プレーントウの中でもドレス感あるVフロントプレーントウコーディネート面においても、無地やストライプのシャツやスーツからジャケパンスタイルまで対応する優等生です。

London 3-eyelet は近年発売されたモデルで、ヴァーシュの中でも非常に高い人気を誇っている評判モデル

London 5-eyelet を展開しているラスト
Fラスト
Kラスト
London 3-eyelet を展開しているラスト
Fラスト
Sラスト

Itarian Oxford(内羽根ウィングチップ/クォーターブローグ)

VASS 公式HPより引用

内羽根ブローギングシューズItalian Oxford。エレガントなアデレード(琴)型のクォーターブローグフルブローグを展開する、イタリアらしい色気のあるモデル。

ラストも写真のUラストKラスト等、全長が普通~長めのスタイリッシュなラストで展開。いずれもフィレンツェの巨匠、ロベルト・ウゴリーニとのコラボレーションによって誕生した木型が用いられています。

Italian Oxford を展開しているラスト
Fラスト
Uラスト
Kラスト

Norweger(Uチップ)

VASS 公式HPより引用

Norwegerは「ノルウェー人」を意味するUチップジャケパンやデニムなどカジュアル使いもOKですし、スーツにも抜け感を演出してくれるカジュアル寄りな靴

展開はPラストのみ。ヴァーシュの中では踵が緩めでウィズが広めなタイプ。

Norweger を展開しているラスト
Pラスト

Wholecut 5-eyelet / Wholecut 6-eyelet (ホールカット)

Wholecutは、名前の通り一枚革で製作されたホールカットの靴。ヴァーシュのようにアッパーの造形が立体的なメーカーのホールカットは、靴としての良さが一層際立ちます

Wholecut 5-eyelet

VASS 公式HPより引用

Wholecut 6-eyelet

VASS 公式HPより引用

Wholecut 5-eyelet FラストP2ラストという、2大中庸ラストで展開。ダークスーツやタキシードといった格好にもよく合います。一方、Wholecut 6-eyelet Sラストという、非常にロングノーズのラストを使用した一足。異色のラストなので注意が必要(詳細は後述)。

Wholecut 5-eyelet を展開しているラスト
Fラスト
P2ラスト
Wholecut 6-eyelet を展開しているラスト
Sラスト

ヴァーシュの木型(ラスト)についてご紹介!

紳士靴完全バイブルより引用

続いては、ヴァーシュ代表的ラストと特徴について解説。ヴァーシュはブダペストやヨーロッパのセレクトショップ等ではそれなりに試着できましたが、日本では店頭販売がほとんどありません。そこで、下記のラスト全て所有&試着したことのある私が、表にまとめてさらに個別で解説しました

個人的な感覚ですが、ヴァーシュのラストは全体的に、写真の一の甲&履き口は高めだと思いますサイドウォールの立ち上がりと二&三の甲で優しく吸い付いてくれるのと、既成靴とは思えないヒール周りの掴みでフィッティングしてくれるブランド。踵のホールドに関しては、Pラストだけは若干弱め。あとは同程度でした。

紳士靴完全バイブル / 上田 哲司 著(ナツメ社)
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ラスト毎のサイズ感を表にまとめてみました!

ラストサイズつま先ノーズ足幅甲の高さ履き口アーチ
サポート
ウエスト
Fラスト42.5クラシックミドル標準標準標準標準標準
FBラスト42.5クラシックセミロング標準標準標準やや強めやや細め
Uラスト42.5~43セミスクエアセミロングやや細め低め標準やや強めやや細め
Kラスト 42.5~43 チゼルロング細め低め標準強め細め
Sラスト42?スクエアとてもロング細め高め低めやや弱めかなり細め
BPラスト 42ぽってりショートやや広め標準低め標準太め
3636ラスト 42ぽってりショート広めやや高め標準やや弱め太め
Pラスト 41.5~42ラウンドややショートやや広め標準低めやや弱め太め
P2ラスト42ラウンドミドル標準やや低め低め標準やや太め
Rラスト 42ラウンドややショート標準やや高め標準標準やや太め

ちなみに私の足形は、人差し指の長いギリシャ型で、踵~人差し指の先端までが27.5cm、親指までが27cmで足幅の一番長い部分が10cm。甲も足幅もサイズに対して極めて標準的で、あまり特徴がありません

スタンスミスで27.5cm、クラークスのデザートブーツやワラビーでUK8.5のUS9、チャーチの173で85F、チーニーの137ラストで8.5、ジョンロブの7000も8.5、スコッチグレインのオデッサやインペリアルは26.5EE、リーガルが26.5cm、その他大体の英国靴で8.5サイズです。購入を検討される場合の参考にしていただけたら幸いです

Fラスト(クラシック・ミドルノーズ)

採用モデル
モデル名Alt English Alt English ⅡBudapestLondon
3-eyelet
Italian OxfordSingle
Monk
Double MonkSlipper I. Chukka bootsValway high boots
オススメ度
(5.0 / 5.0)
(4.5 / 5.0)
(4.0 / 5.0)
(5.0 / 5.0)
(4.0 / 5.0)
(4.5 / 5.0)
(4.0 / 5.0)
(4.0 / 5.0)
(4.5 / 5.0)
(5.0 / 5.0)
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Fラストは、ヴァーシュの木型の中で人気No.1、最も中庸で標準的なラスト。元々は先述のヴァーシュ×ロベルトウゴリーニ×伊勢丹のコラボレーションによって誕生した型。ラストの名前は、ロベルトウゴリーニの出身地である、イタリアのフィレンツェ(の頭文字)に由来しているそうです。

(フィレンツェの頭文字から来ているものの)英国的なクラシックさを感じさせるラウンドトウで、有名どころでいうとエドワードグリーンの202ラストをベースに、ノーズの長さとヒールの高さを82ラストにしたような感覚です(こう書くと、いかにも魅力的なラストですね!)。個人的にも、このFラストが最も足に合うと思います。

一の甲部分は標準~やや高めで、サイドウォールで包み込まれつつ足の指は窮屈になりません。二の甲&三の甲は優しく包み込まれ、ヒール周りやサイドウォール全周も適度に当たるため、おかしな風には動きません。標準的な足形向けですが、足が薄めで一の甲が低い方は履きジワが深くなってしまうため、UラストやP2ラストがオススメ。

FBラスト(クラシック・ややロングノーズ)

採用モデル
モデル名Bond Oxford
オススメ度
(4.0 / 5.0)
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FBラストは、Fラストを若干ロングノーズでウエストを細くしたラスト。概ねFラストと同等の感覚ですが、アーチサポートも若干強めに感じます。クラシックなラウンドトウを求めつつ、よりスタイリッシュさを求めたい人にはオススメ

展開モデルは少なく、現在はBond Oxfordという内羽根プレーントウのみ。ロベルトウゴリーニがコラボレーション時に展開した木型をモディファイしたラスト。

Uラスト(セミスクエアトウ・ややロングノーズ・やや甲低)

採用モデル
モデル名Alt EnglishItalian OxfordBudapest OxfordSlipper IV
オススメ度
(5.0 / 5.0)
(5.0 / 5.0)
(4.5 / 5.0)
(4.5 / 5.0)
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Uラストは、Fラストに次ぐ非常に人気の高い木型。名称はロベルト・「ウ」ゴリーニの頭文字から取られています。Fラストと比べてノーズがやや長いセミスクエアトウ(形がやや四角い)で、フィッティングに関しても一の甲がやや低く、足幅もやや狭め。比較的スタイリッシュな木型で、全体的に細身の人向けです

サイズ感はFラストと同等か、僅かにきついくらい。Fラストで42.5サイズの私の場合、42.5ならわずかにきつめですが43にするほどでもない感じです。

Kラスト(チゼルトウ・ロングノーズ・甲低)

採用モデル
モデル名Alt English II Balmoral OxfordItalian OxfordWest 
オススメ度
(5.0 / 5.0)
(5.0 / 5.0)
(4.5 / 5.0)
(4.0 / 5.0)
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KラストUラストのノーズをさらに伸ばし、ウエストを細くした木型のモデルです。つま先もチゼルトウといって、絶壁のようにカクンと垂直に落下するような形状。アンソニークレバリーやガジアーノ&ガーリングといったブランドでもよく見かけます。

足幅が細く一の甲&ニの甲が低いため、足が薄く細い方向けのラストですいわゆる「甲高幅広」の方には向きません。また、アーチサポートが強めのため、あまりつま先が滑り込まず外反母趾になりにくい。さすがヴァーシュは良く考えられています。

私の場合、42.5では割ときつく感じました。外羽根ならいけなくもないのですが、43サイズにしています。

Sラスト(細身・かなりロングノーズ・甲高)

採用モデル
モデル名London 3-eyelet Double MonkWholecut 6-eyelet
オススメ度
(4.0 / 5.0)
(4.5 / 5.0)
(4.5 / 5.0)
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Sラストヴァーシュの中で最も細身でロングノーズなラスト。一方で甲は高めという特徴を持っており、まさに典型的なラテン系の足型向け。日本人も決して幅広ではない人もいらっしゃいますが、足幅もヴァーシュの中では最も細い木型のため、少なくとも足幅が普通~幅広の人は全く合いません

また、足幅だけでなくウエスト部分もガッツリ細く、つんのめるような靴ではないためアーチサポートも弱い。私は43でも若干キツくて小指部分が痛かったです。日本人の多くには難しいラストだと思いますが、目安としてプーマキングなどの細いスニーカーが合う方にはオススメ。

BPラスト(ラウンドトウ・幅広・甲低)

採用モデル
モデル名Budapest London 5-eyelet
オススメ度
(5.0 / 5.0)
(5.0 / 5.0)
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BPラストヴァーシュを代表するハウスラスト。今まで紹介してきたラストはロベルトウゴリーニとのコラボレーションによって誕生したものですが、BPラストは元々ヴァーシュが持っていた伝統の木型。いわゆる東欧靴を体現するラストで、つま先はポッテリなラウンドトウのショートノーズ。サイドウォールが強烈に立ち上がって足を包みます

その分、履き口が低く二の甲&三の甲および踵のホールド感はしっかりとしています。アーチサポートも良好で、甲の高さはやや低め~標準で、足幅が広めの方にピッタリ。展開する2モデルとも極めてオススメですが、どちらか迷われるのであれば、個人的には東欧靴 of 東欧靴なBudapestを買って欲しいと思います。

3636ラスト (ラウンドトウ・幅広・甲高)

採用モデル
モデル名Budapest Budapest
(Shell Cordovan)
Theresianer
オススメ度
(5.0 / 5.0)
(5.0 / 5.0)
(4.5 / 5.0)
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3636ラストもヴァーシュ伝統の木型で、BPラストの甲を高く、ウィズをさらに広く、履き口をFラストと同程度にしたラスト。いわゆる“幅広甲高”の方に最も適したラストで非常にコンフォートな一足です。

単に良い靴が欲しい!という方だけでなく、「色々なブランドを試したけれど踵は抜けるし靴擦れするし、小指は痛いし・・・」という方にも試して欲しいと思います。こちらもBudapestの展開が中心ですが、外羽根ストレートチップの展開もありますよ。

Pラスト(ラウンドトウ・ショートノーズ)

採用モデル
モデル名SlipperNorweger 
オススメ度
(4.0 / 5.0)
(5.0 / 5.0)
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Pラストヴァーシュの中で最もショートノーズの木型。ラウンドトウの足幅はやや広めで甲の高さは標準程度、そして、他のラストと比べると踵のホールドが若干緩めです

ローファーの中では、踵周りのフィッティングが良好だと思いました。しかし、そもそもローファー自体が靴紐なしで脱ぎ履きしなければならない都合上、構造上どうしても緩くする必要があります。短距離の移動なら問題ありませんが、こればかりはローファーそのもののに課された宿命です。

個人的には、UチップのNorwegerは結構好きです。大人のオフやカジュアルなスーツとの相性も◎。

P2ラスト (ラウンドトウ・ミドルノーズ・甲低)

採用モデル
モデル名Alt EnglishAlt Wien Budapest Budapest
(Shell Cordovan)
Budapest high bootsLondon 5-eyeletTheresianerWholecut 5-eyelet
オススメ度
(5.0 / 5.0)
(4.0 / 5.0)
(5.0 / 5.0)
(5.0 / 5.0)
(5.0 / 5.0)
(4.5 / 5.0)
(5.0 / 5.0)
(4.5 / 5.0)
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P2ラストは間違いない秀作ラスト。ラズロの孫、ピーター・ヴァーシュが開発した木型とのことで、東欧靴のエッセンスとスタイリッシュさを両立した秀逸なバランス。私の足にはFラストかP2ラストのどちらかがベストです。

Fラストと比べウィズがやや広いラウンドトウ、そして一の甲がやや低い。東欧靴らしいブローギングシューズはもちろん、 Alt EnglishLondon 5-eyeletWholecut 5-eyeletの展開もあるので、ビジネスや冠婚葬祭にも適しています。その他、個人的に外羽根ストレートチップTheresianerもオススメ。

上述のラスト比較表ではノーズをショートと記載しましたが、これは基準となるFラストに比べてハーフサイズ程度下がる分だとご理解ください。同サイズではFラストと同程度のミドルノーズに属すると思います。

Rラスト (ラウンドトウ・ややショートノーズ・甲高)

採用モデル
モデル名Budapest Oxford
オススメ度
(4.5 / 5.0)
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最後にRラストFラストと比べてややノーズを短く、足幅を広げて甲を高く、よりラウンドトウにした木型。一の甲は同等ですが、二の甲&三の甲がFラストよりも高く、こちらも甲高幅広さん向けのラストです。同時に、3636ラストよりはシャープで英国的なエッセンスを残しています。

展開はBudapest Oxfordのみ。甲高幅広でシャープな靴は合わないけれど、色気もある靴が欲しいという方にはピッタリではないでしょうか。

【超絶コスパ】ヴァーシュ(VASS)を個人輸入&実際に届いた靴をレビュー!

ヴァーシュは10年程前まで、伊勢丹メンズ館などで8万円程度で購入可能でした。メンズ館は靴の“格”で販売するコーナーに差を設けているのですが、ヴァーシュはジョンロブ、エドワードグリーン、シルヴァノラッタンジといった“最高ランク”と同様に陳列されていたことが、知名度や価格を越えた評価を物語っています

ハンガリーの人件費などが可能にしていた価格提供だったと思いますが、現在では伊勢丹でも取り扱いがなくなり、トゥモローランドなどで少数の取扱があるのみ。国内販売価格もカーフレザーのモデルで15~16万円程度と、他の靴ブランド同様に高騰しています(それでも競合ブランドと品質を比べれば、2倍してもおかしくないですね)。

とはいえ、可能な限りお得に購入できるに越したことはありません。物流がグローバル化した現在、ヴァーシュは公式オンラインストアから個人輸入で購入可能な上、その価格はシューツリーや送料込でなんと6万円余ハンガリーの物価を考慮しても、あまりに破格過ぎる価格設定です

というわけで、公式オンラインからの個人輸入が、最もリーズナブルにして確実な手段です。ヴァーシュのHPは日本語版がないため、英語が読めない人でも安心してご購入いただけるよう、図説付きで解説しました。さらに、実際に輸入して届いたヴァーシュの靴たちを、順次紹介して参ります

【詳細図説あり】ヴァーシュ(VASS)を個人輸入!方法&気になる価格も解説!

(近日公開!)

【ヴァーシュ(VASS)①】Fラスト× London 3-eyelet をレビュー!【プレーントウ】

(近日公開!)

ヴァーシュの良い点・今ひとつな点

【良い点①】とにかく造りとフィット感が抜群

造りやフィッティングに関しては、ジョンロブやエドワードグリーン、アンソニークレバリー、ガジアーノガーリングといった英国の機械式のグッドイヤーウェルテッド製法と比べても、明らかに一段階上です。その分、ブランドとしての格や知名度はどうしても劣るため、何を重視するかでも評価は大きく変わります。

それなりに知名度がある既成靴で、ソールの出し抜いまでハンドソーンで行うブランドは数えるほどしかありません。どうしても生産量やコストとトレードオフになるからです。シルバノラッタンツィは工芸品という領域に突入していますし、ステファノベーメルやペロン&ペロンなども、ビスポークあってのブランドと感じます。

だからこそ、私が知る限り、ヴァーシュが最高の既成靴ブランドであると言えると思います。

【良い点②】東欧靴的なモデルやラストだけではない、多様性がある

人によって良い点にも悪い点にもなり得るのが、東欧靴の雰囲気を気に入るかどうか。BPラストや3636ラスト、P2ラストはいずれも秀逸な木型だと思いますが、典型的ないわゆる英国靴やイタリア靴とは見た目の雰囲気が違います。少なくともブランド感のあるシャープなカッコよさが売りではないため、好みは分かれると思います。

ただ、この点に関してはロベルト・ウゴリーニと協働で開発した木型が多様性をもたらしてくれました。Fラストをはじめ、UラストやKラストといったそれまでの東欧靴とは一線を画す“カッコよさ”を与えてくれています。ヴァーシュは東欧靴のアイデンティティや良さも保持しつつ、シャープなブランド感あるフィールドでも戦える多様性があります

ちなみに、ロベルト・ウゴリーニは下記記事で紹介しているスピーゴラ鈴木幸次氏や、その他、九州・福岡の有名ビスポークシューメーカーであるコルノブルゥ清角豊氏が師事した人物としても知られます。

【良い点or悪い点?】全体的な雰囲気はやや柔らかく、“手縫い靴感”が現れている

スーツやシャツにも全く同じことが言えますが、「ハンドメイド感」があることが(特に日本市場では)受け入れられないケースが多い。実際、ヴァーシュはアッパーの縫製などは非常に細かく丁寧ですが、ソールのドブ起こし(地面との接地面の出し縫いを隠す際に入れる切れ込み)や、メダリオンなど結構ざっくりしている部分があります

左右対称で正確な機械的縫製を求めるなら日本製がNo.1ですし、ブランドイメージの洗練さなら、英国のトップブランドが良いですよね。実際、ジョンロブやガジアーノガーリングってめちゃくちゃカッコいいじゃないですか。

ヴァーシュの良さは「ハンドメイド感」と足へのフィット感、そして長年愛用できる実質的な性能。スーツ程ではありませんが、革靴もハンドメイドであることに機能的価値があります。加えて東欧靴の世界観が、長所となる人のためのブランドではないでしょうか。

ちなみに、ヴァーシュはコバの出し抜いステッチがそこまで細かくありません。しかし、ここが細かいのはソールの耐久性や修理の手間、耐用年数を犠牲にしてしまうので、細かすぎない方が良いと思います。今は亡きボノーラも、同様のファッジウィールを描いていました。

中には出し縫いのピッチの細かさを誇示するメーカーもありますが、グッドイヤーやハンドソーンウェルテッド製法は手間暇やコストを掛けてでも、長年の使用に耐えうる製法であることが本質ですよね。リブおよび中底へのすくい縫いも同様ですが、何回も修理できて長く愛用できるために考えられた仕様の方が、格好良くありませんか??

巷で稀に指摘されるヴァーシュの「革質イマイチ説」について

革質に関しては事実、ジョンロブのイヤーモデルに使用されているものや、シルヴァノラッタンジの本気出しているような革の方が上です(触ると震えますよね)。しかし、ヴァーシュの革質は個人的にイマイチどころか、かなり良い方に感じられます

例えば、「○○(有名タンナー)のカーフを使用している」と謡っている比較的廉価なブランドはいくつかありますが、そういったブランドは実際そこまでグレードの高い革が使われていなくて、傷が多かったり履きジワがあまり綺麗でなかったりします。本当に磨いても光らないんですよね。

ヴァーシュを今まで何足も購入し、何十足も見てきた身としては、少なくともそういったレベルの革が使われているのを目の当たりにしたことはありません。アッパーに限らず、ジョーレンデンバッハ製ソールは言わずもがな。ライニングも良質な革です

ちなみに、手持ちのヴァーシュ(現在6足)を見ると、確かにアッパーに牛の血管跡がうっすらと残っていたりするものはあります。しかし、全体的には傷も少なくカーフも十分すぎるキメ細かさです。写真のサフィールノワールで磨いたトウの状態まで、私で所要時間10分程度。シェルコードバンも色ムラが少ないと思います。

もっと言えば、今は西欧のトップブランドですら革質の個体差が大きいと思います(店頭販売品のトウが革割れを起こしている最高峰ブランドもありますからね)。原価や輸送費が物凄く高騰している点や牛革の環境負荷を考えても、ちょっとやそっとのことで気にするべきではないと思います。どうせ履いたら分かりません

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おわりに:ヴァーシュ(VASS)は紳士靴好きにとって、一足は買って欲しい既製靴メーカー

今回は以上となります。いかがでしたでしょうか。

ヴァーシュを愛用されている方は現状、決して多くはないと思います。ブランド力は国の経済力や成長性に依存する部分もあり、大抵は国産メーカーや英国など先進国のブランドへ嗜好が行きがちだからです。

しかし、ヴァーシュはもっと愛用してくれる紳士靴愛好家が増えても良いブランドではないでしょうか。そのくらい破格かつ最高峰のクオリティを誇る孤高の存在であり、生産国など関係なく良いものは良い。(ファッション界の常識ですが)あのトップメゾンや、某超有名紳士靴ブランドなども途上国で半製品外注してますからね。

あくまで既成靴は足の形との相性もあるため、どんなモデルでも誰にとっても合うものは存在しません。しかし、ヴァーシュは木型・モデル共にバリエーション豊かなので、あなたにとって素敵な一足を見つけられる可能性は高いと思います

本当にオススメできるからこそ、できる限り特徴や魅力が伝わるように書きました。一人でも多くの方に興味を持っていただけたら嬉しいです!

ではまた!

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