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SHOLL(しょる/今宮章宏)
ファッションブロガー・デザイナー・服飾評論家
1987年生まれ。国内大手アパレルメーカーのデザイナーズブランドを経て、伊ファッション・コングロマリットでデザイナー職を4年間経験。

現在は日本の服飾産業を振興するため、SHOLLWORKSを運営する傍ら、ファッション分野を中心にマーケティング支援も行っています。

素材の機能性からパターンまで精通し、シンプルかつ素敵な服装の普及に努めています。
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スコッチグレイン「インペリアル」の特徴&実物レビュー|「オデッサ」との違いや、どの部分の品質が異なるかも比較

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この記事で分かること

  • 「インペリアル」と「オデッサ」、さらに「インペリアルプレスティージ」「インペリアルフランス」の具体的な違い(革質の選別構造、木型、ソール、価格差の内訳)
  • Eウィズ・EEEウィズの木型別フィッティングと、自分の足型に合うモデルの選び方
  • 修理費用を含めた運用コスト、海外高級靴との比較枠組み、向く人・向かない人の判断基準
木製シューツリーを入れた茶色のスコッチグレイン「インペリアル」937(著者私物)

こんにちは、しょる(@SHOLLWORKS)です。

本日は、スコッチグレインの「インペリアル」について、実際、どこが良いのかやランク別に採用される部材、オデッサをはじめとする他シリーズとの違いや私物レビューまでお届けします。

一口に「インペリアル」といっても、「通常のインペリアル(ブラック含む)」とさらに上級ラインとなる「インペリアルプレスティージ」「インペリアルフランス」に分かれますし、スタンダードグレードの中で高級な「オデッサ」との違いも気になるところ。

「インペリアル」シリーズの特徴は大まかにいうと、

  • ヨーロッパ産のカーフなど高級素材を用いることで、繊細で高級感あるアッパーの質感を実現
  • 「オデッサ」と「通常のインペリアル」は、同じアッパー素材の表記でも、インペリアルの方がより質の高い革が採用される
  • 一方、「通常のインペリアル」はライニングやソールはスタンダードグレードとほぼ共通、ここまでこだわりたい方は「インペリアルプレスティージ」以上を検討
  • 同じシングルEのモデルでもより幅が細く、甲が低く、踵が小さいモデルもある(オデッサはやや踵が大きめ)し、逆にEEE&やや甲高さん向けのモデルも用意されている

という感じです。

「オデッサ」と「通常のインペリアル」の価格差は13,200円ですが、ブランド共通の堅実な基本構造を残しつつ、アッパーの革質、木型の選択肢、仕上げを上級化したシリーズです。

革質と木型のフィッティングを重視する人にとっては候補になりますし、オデッサで足にも革質にも満足しているなら、無理に上げる必要はありません。

SHOLL

私の場合、「踵が小さいこと」を優先したいので、インペリアルを愛用しているという感じです。
ベルオムも足に合いますが、スタンダードグレードに採用されることが多い国産カーフよりもきめ細かな革質で、普段使いと高級感を高い次元で両立していると思います。

この記事の結論

  • 「インペリアル」は元々作りが良いスコッチグレインの革質を上げた「毎日使える高級靴」
  • 「オデッサ」と「通常のインペリアル」の価格差13,200円は「革の選別」と「木型の選択肢」に払う価格
  • ソール・ライニング・中底まで全面上級化されるのは「インペリアルプレスティージ」以上で、その辺の高級感も含めてどのランクを買うか選ぶ

著者「SHOLL(しょる/今宮章宏)」プロフィール

1987年生まれ。国内大手アパレルメーカーのデザイナーズブランドを経て、伊ファッション・コングロマリットでデザイナー職を4年間経験。現在は日本の服飾産業を振興するため、SHOLLWORKSを運営する傍ら、ファッション分野を中心にマーケティング支援も行っています。

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目次

スコッチグレイン「インペリアル」の立ち位置と特徴、他ラインとの違い

スコッチグレイン「インペリアルブラックII」の黒いストレートチップ

Photo by SCOTCH GRAIN

スコッチグレインには、大きく分けて「スタンダードグレード」「エグゼクティブグレード」があります。

今回紹介する「インペリアル」は、エグゼクティブグレードに属します。

  • スタンダードグレード:「アシュランス」「ベルオム」「シャインオアレイン」「オデッサ」など
  • エグゼクティブグレード:「通常のインペリアル(ブラック含む)」「インペリアルプレスティージ」「インペリアルフランス」

具体的にどこが違うのかを見ていきましょう。

「スタンダードグレード」のラインナップとインペリアルとの違い

スクロールできます
シリーズウィズ木型特徴(甲・踵)アッパーソール税込価格同一木型
アシュランスEEE甲にゆとりあり。標準的なEEE系国産カーフノンスリップレザーソール48,400円インペリアルII/III等
ベルオムE低く細いラスト。甲低めトップゴムレザーソールベルオムマーブル
シャインオアレインIVEオデッサと同一木型国産撥水カーフSGソールオデッサI/II/III等
シャインオアレインIIIEEE甲にゆとりあり。アシュランスと同一木型インペリアルII/III/アシュランス等
シャインオアレイン 4EEEEE最も幅広の4E専用木型グリッパーテクノ4Eウィズ
オデッサ 916Eバランスの良いE系。足入れに定評ノーブルカーフ(ヨーロッパ)トップゴムレザーソール61,600円オデッサII/III/シャインオアレインIV等
スタンダードグレードの代表ラインナップ(2026年8月時点)

各グレードの代表ラインナップと主な仕様を並べてみますが、まずは「スタンダードグレード」の代表的なラインナップです(価格は2026年8月時点で公式サイトに掲載されている税込価格)。

「スタンダードグレード」も作りは十分ハイレベル

最初に言っておくと、スコッチグレインは、安い靴だから造りが雑になるブランドではありません。

東京・墨田区の自社工場で一貫生産しており、工程ごとの職人教育によって商品の品質を均一化する生産管理を行っているとのこと。

実際に私自身、複数グレードを並べて見比べても、「スタンダードモデルは縫製が雑で、インペリアルだけ急に丁寧になる」という印象はありません。

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むしろスコッチグレインの場合、スタンダードの時点で製造精度がかなり高いです。
同じグッドイヤー・ウェルテッド製法でも、非常に修理しやすい内部構造、アッパーのステッチ、出し縫いの丁寧さなど、とても好印象です。

ただし、「国産カーフ」のキメ細かさは惜しい

スコッチグレインの黒い革靴の甲革と羽根部分(著者私物)
私物のスコッチグレインです

ただ、スタンダードグレードの多くのモデルに採用される「国産カーフ」は、アッパーのきめ細かさという点では惜しいと感じる個体が多いのも確かです。

日本では欧州ほど仔牛肉の市場が大きくなく、生後間もない仔牛の原皮自体がほとんど流通していません。また、キメの細かな高品質の牛革に適した原皮は北米や欧州からの輸入に頼る部分が大きく、当然ながら原料価格も高くなります。そのため、一定の価格帯に収める必要がある国産靴では、アッパーに上質なカーフを採用することが難しいという事情があります。

後述の実物レビューで紹介していますが、どうしても革のキメの細かさ、シワの入り方において、ヨーロッパ産カーフを採用したオデッサや上級グレードとの差は感じるケースが多いです。

SHOLL

私自身、国産カーフのモデルを所有していますが、綺麗に磨いても、どうしてもシワの入り方的には最高級のアッパーでないことは分かってしまいます。

「オデッサ」のみ、ヨーロッパ産ノーブルカーフを採用している

ただし、スタンダードグレードの中でも、「オデッサ」ヨーロッパ産のノーブルカーフを採用しています。

ここまで来ると、革のキメが明らかに細かくなり、私自身の感覚としても「これはなかなか」というレベルに達します。

一方、オデッサの木型はT20-E系が中心で、インペリアルのように複数の性格の違うE/EEE木型を選べるわけではありません。

Eウィズひとつだけれど、踵はそこまで小さくないものなので、合う人が限られます。

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まとめると、スタンダードグレードとインペリアルの差は、「革のランク」と「木型の選択肢」です。
ここを理解しておくと、「インペリアルに上げるべきか」の判断がかなり付きやすくなると思います。

「エグゼクティブグレード」のラインナップとインペリアルの立ち位置

スクロールできます
モデルウィズ木型特徴(甲・踵)アッパーライニングソール税込価格付属品
インペリアルII 936EEEアシュランスと同系統。甲高で前足部に余裕ありノーブルカーフ(厳選)牛革トップゴムレザーソール74,800円キーパー+バッグ
インペリアルブラック 946EEウィズ中最も細身。甲低め、踵も細い
インペリアルブラックII 948E946より前足部に余裕。踵カップ小振り
インペリアルプレスティージIIEEE甲にゆとりのあるEEE系アノネイ・アルリーデュプイ・ヌメ革バスタン製トップゴムレザーソール90,200円
インペリアルフランス 1015EEEプレスティージと同一木型デュプイ・ニューヴィンテージカーフデュプイ裏革バスタン製トップゴムWレザーソール132,000円
インペリアルフランス 1016E948・モデナと同一木型バスタン製トップゴムレザーソール
エグゼクティブグレードのラインナップ(2026年8月時点)

次に、エグゼクティブグレードのラインナップです。

こうして比較すると、「通常のインペリアル(インペリアルIIおよびブラック)」は、アッパーの質以外はスタンダードグレードとほぼ共通していることも分かります。

また、通常のインペリアルと上位のプレスティージII・フランスでは、アッパーだけでなくライニングやソールの仕様が大きく変わります。

ここは、結構悩ましい選択だと思います。

スタンダードグレードのアシュランス、ベルオム、シャインオアレインは48,400円で、オデッサは61,600円。対して、「通常のインペリアル」は74,800円(すべて税込、2026年8月現在)で、それぞれ26,400円、13,200円差です。

この価格差で「アッパーの質+人によっては合う木型の選択可能性を買う」というイメージに近いのが、「通常のインペリアル」の立ち位置です。

先述の通り、スコッチグレインの構造や作りそのものはかなり丁寧なので、最大の惜しいポイントである「国産カーフ」をアップグレードしたいならば、通常のインペリアルは「アリ」になります。

一方、オデッサの方が足に合う価格差を考えたら国産カーフでも良い逆に予算をもっと出してライニングやソールの質まで上を望むなら「ナシ」です。

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ちなみに、個人的には、「アリ」です。
私の場合、シングルEの細足×甲低×踵が小さく、ベルオムだとアッパーの質に不満、オデッサだと踵が抜けるため、価格差を出しても満足度が高いと考えるからです。

「通常のインペリアル」と上位ラインの違い

「通常のインペリアル」「インペリアルプレスティージ」「インペリアルフランス」の間には、もう一段はっきりした差があります。

先ほどの表でも触れましたが、部材の切り替わりは次のとおりです。

スクロールできます
比較項目通常インペリアルプレスティージIIフランス 1015
アッパーノーブルカーフ(厳選)アノネイ・アルリーデュプイ・ニューヴィンテージカーフ
ライニング牛革デュプイ・ヌメ革デュプイ裏革
ソールトップゴムレザーソールバスタン製トップゴムレザーソールバスタン製トップゴムWレザーソール
カウンター通常仕様通常仕様レザーカウンター
税込価格74,800円90,200円132,000円
エグゼクティブグレード内の部材比較(2026年8月時点)

「インペリアルプレスティージ」では、アッパーがアノネイのアルリーに、ライニングがデュプイのヌメ革に、ソールがバスタン製のオークバークソールに切り替わります(ぶっちゃけ、アッパーの質はさておき、中身やソールが大分変わります)。

「インペリアルフランス」ではさらに、デュプイのニューヴィンテージカーフデュプイの裏革バスタン製トップゴムWレザーソールレザーカウンターまで投入されます。

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通常のインペリアルでは共通化されていたライニングやソールの部材自体が、明確に上級化されています。
(プレスティージ、私の足に合うモデルがない・・・)

【ちなみに】オデッサとインペリアルでは、同じ「ノーブルカーフ」でも革の選別が異なる

スコッチグレイン工場で選別・保管されている靴革

Photo by SCOTCH GRAIN

「通常のインペリアル」とスタンダード上位の「オデッサ」では、ライニング・中底・ソール・製法がほぼ共通しています。

ただし、公式スペック上はどちらもノーブルカーフ(ヨーロッパ)であっても、実際にはアッパーの質に差はあります。

そもそも、「ノーブルカーフ」というのはスコッチグレイン固有の呼称であって、特定の一社・一種類の革の商品名ではなく、ヨーロッパ各国のメーカーから調達した多数の革を自社基準で選んだものの総称です。

そして、スコッチグレインは仕入れた革を自社製品のグレードごとに選別しており、インペリアルには輸入革の中からさらに厳選した革を使用しています。

したがって、オデッサもインペリアルも「ノーブルカーフ」だから革質は同じではなく、より良い物を「通常のインペリアル」に回しています。

オデッサで足型も革質も十分に満足しているなら、無理に上げる必要はありません。

ただ、革の質感にもうひと段階こだわりたい、あるいはインペリアルに採用されている木型の方が合うなら、「オデッサ」と「通常のインペリアル」の価格差(税込13,200円)は十分に意味のある差額です。

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とはいえ、たとえば「アシュランス」と「オデッサ」の差よりは、「オデッサ」と「通常のインペリアル」の差は小さいので、個人的には3グレードに分かれているように思っています。

スコッチグレイン「通常のインペリアル」の展開モデルと木型は?

インペリアルを選ぶうえで、革質以上に重要なのが木型です。

同じEウィズでも、踵の絞り、甲の高さ、前足部の容積は木型ごとにまったく違います。

だからこそ、「26.5cmのEウィズが合うから、別のモデルでも26.5Eを買えば同じ」というのは、「当たらずとも遠からず」ならぬ「遠からずとも当たらず」です。

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現行のインペリアルグレードで選べる主要な木型と、その特徴を見ていきましょう。

スクロールできます
モデルウィズ甲の高さ踵の大きさ前足部向きやすい足型備考
インペリアルII 936EEE高め(余裕あり)標準余裕あり甲高幅広、前足部にボリュームがある人「アシュランス」と同系統。EEEならまず候補
インペリアルブラック 946E低い小さめ細い(Eウィズ中最も細身)細足・低甲・踵が小さい人同一木型は他グレードになし
インペリアルブラックII 948Eやや低め小振り946より余裕あり。指先は薄い946ではきつい、オデッサでは緩い人「インペリアルフランス」1016と同一木型系統
インペリアルグレード 主要モデルと木型の特徴

インペリアルII 936

スコッチグレイン インペリアルII 936 ブラック

Photo by SCOTCH GRAIN

936はアシュランスと同系統のEEE木型で、いわゆる甲高幅広さん向け木型です。

アシュランスが足に合う人は同型なのでもちろん合いますし、実質的な上位互換モデルです。

インペリアルブラック 946

スコッチグレイン インペリアルブラック 946 ブラック

Photo by SCOTCH GRAIN

一方、「946」は公式にもEウィズの中で最も細身と説明されており、オデッサやベルオムと比較しても幅が細く、甲も低めです。

総じて細足・低甲・踵が小さい人にとっては、この手のインペリアルE系が非常に相性が良いのですが、946の木型はその中でもかなり細めです。

他のグレードに同一のものがないため、この足型に合う人にとってはインペリアルを選ぶ大きな理由になります。

SHOLL

ベルオムよりもさらに細いラストであるため、「細足だけれどベルオムより細いのは流石に・・・」「踵の小ささを重視している」という方は、後述の「948」の方がおすすめです。

インペリアルブラックII 948

スコッチグレイン インペリアルブラックII 948 ブラック

Photo by SCOTCH GRAIN

「948」は946より前足部に余裕を持たせつつ、指先を薄く、ヒールカップを小振りにした木型です。

「946ではタイトすぎるが、オデッサでは(特に踵の)フィット感が物足りない人」に向く型で、私もこれがベストマッチです。

ちなみに、948「インペリアルフランス」の1016と同一木型で、他グレードにも共通木型があるのが946との違いです。

また、スタンダードグレードだと(同一ではないですが)ベルオムが近いことも特徴です。

SHOLL

つまり、実質的に「スタンダードグレード」から「通常のインペリアル」、そして最上級の「インペリアルフランス」まで、近しい木型の中から予算や価値観に応じて選べます。

私物のスコッチグレイン「インペリアル」937をレビュー

木製シューツリーを入れた茶色のスコッチグレイン「インペリアル」937(著者私物)

次に、私が保有しているスコッチグレイン「インペリアル」を紹介します。

モデルは「937」という現在は廃盤になっているモデルで、10年以上前に購入しました。

現在のモデルでいうところの「ベルオム」と同じ木型で、シングルEの細足向け、甲は低めで踵も小さめです。

現行のインペリアルだと、最も近いのは「948」ですが、完全に同一木型ではないため要注意です。

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いずれも私のような細足で甲が低め、踵が小さい人に良く合う木型で、サイズは26.5Eを選んでいます。

私の場合は人差し指の長いギリシャ型で、踵~人差し指の先端までが27.5cm、親指までが27cm、足幅の一番広い部分が10cm。

スタンスミスで27.5cm、クラークスのデザートブーツやワラビーでUK8.5(US9)、ドクターマーチンでUK9(ちょっと緩い)、大体の英国靴で8.5Fサイズです。

茶色のスコッチグレイン「インペリアル」937の甲革と羽根部分(著者私物)

やはり、スタンダードグレードと比べてもアッパーの質が非常にレベルアップしており、高級感ある一足になっています。

しかも、(何度かサドルソープで丸洗いしていますが)染料中心で、顔料が非常に少ない革です。

こういう革を採用していると長年使用してもひび割れにくいですし、作りの良さも相まってかなり長命な革靴&向こう10年も余裕で保ちそうな勢いです。

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当時は確か、5万円強だった記憶があります。
革靴はどのブランドも高騰が続いて今では1.5倍くらいになっていますが、現在の水準でもかなり高コスパなラインだと思います。

スコッチグレイン「インペリアル」937のヨーロピアンエクストラボックスカーフの履きジワ(著者私物)
スコッチグレインの国産カーフ製黒靴の履きジワ(著者私物)

そして、これが「インペリアル」に採用されているヨーロピアンエクストラボックスカーフ(購入当時/現在のインペリアルは「ノーブルカーフ」表記)と、スタンダードグレードで多く使用される「国産カーフ」との比較。

どちらも10年以上経過しているのですが、シワの入り方の綺麗さが一目瞭然だと思います。

SHOLL

流石に正確な着用回数までは記憶していませんが、そこまで差はありません。
アッパーのキメが違うと、長年の着用でここまでシワに差が出ることもあります。

実際、「丈夫さ」でいうと成牛(に近い)革、厚手の革の方がタフであることは事実ですが、=長持ちするというわけではありません。

深いシワからのクラックや、あとは手元に残しておこうという「大切にしたい気持ち」でも差が生まれてきます。

スコッチグレイン「インペリアル」937のライニングと中敷き(著者私物)

先述のとおり、ライニングやソールは「スタンダードグレード」と同様の素材が使用されています。

最高級ではないことは確かですが、それでも安定的で履き心地も悪くありません。

アウトソールは、可能であればオークバークソールが良いと思いますが、ここは仕方ない部分だと思います。

スコッチグレイン「インペリアル」937のつま先と出し縫い(著者私物)

アウトソールの出し縫いも丁寧で、スコッチグレインの好きな部分です。

あとは、「通常のインペリアル」には、余計なことをしない好感度もあります。

SHOLL

個人的には、グッドイヤー・ウェルテッド製法で余計な加工(ベヴェルドウエスト「風」など)を施さないのは、高級ながら量産性を重視しているという出自からも正解だと思っています。

ハンドソーン・ウェルテッド製法、それもフルハンドでないと本物のベヴェルドウエストにはできません。

グッドイヤー・ウェルテッド製法や、九分仕立ての靴でウエスト部分のソールを丸く削っているのは、あくまで「なんちゃって」のイミテーションです。

スコッチグレイン「インペリアル」が向いている人は?

ここまでの内容を踏まえて、スコッチグレイン「インペリアル」が向いている人と、別の選択肢を検討した方がよい人をまとめます。

スコッチグレイン「インペリアル」が向いている人

  • 7万円台の予算で、欧米の靴ブランドに作りも革質も負けたくない人
  • オデッサでは踵が抜けてしまい、フィット感がイマイチな人
  • スコッチグレインのスタンダードグレードから、アッパーの革質をもう一段上げたい人
  • 普段使いと高級感、修理のしやすさを全部取りして、実用性と見栄えを重視したい人

別の選択肢を検討した方がよい人

  • 「オデッサ」や他のスタンダードグレードでもフィット感や革質に満足できる人
  • ライニング・ソールまで含めた全部材の高級化を求める人(「インペリアルプレスティージ」以上が候補)
  • 購入後すぐにヴィンテージスチールやハーフラバーを付けて履きならしたい人(トップゴムとの相性で施工を受け付けない修理店もある。事前確認推奨)

インペリアルを一言で表すなら、「堅実な基本構造を残しながら、アッパーと木型で格を引き上げたシリーズ」です。

全部材を最高級品に置き換えた靴ではなく、スコッチグレインらしい実用性をそのままに、目に見えやすい部分を上級化したものです。

SHOLL

スコッチグレインのスタンダードグレードだけを見ると、最大の欠点はやはりアッパーの革質です。
そこを一気に上げて、さらに足型まで合うならば、74,800円(税込)はかなり合理的な価格です。

【Q&A】スコッチグレイン「インペリアル」の疑問に答える

そして、ここまでの内容やその他をまとめて、Q&A形式にしました。

オデッサ916との価格差13,200円は、具体的に何の差?

主にアッパーの革の選別ランク、インペリアル専用の木型、シューズバッグ等の付属品、上級ラインとしての仕上げの差です。
ライニング・中底・ソール・製法は基本的にオデッサと共通しているため、「全部材が高級に切り替わる」わけではありません。

インペリアルブラック946と948はどちらが細い?

946の方が細いです。ただし、踵は948の方が小さいです。

スコッチグレイン公式が「Eウィズの木型の中で最も細身」と説明しており、948は946より前足部に余裕を持たせた設計です。

946ではタイトすぎるが、オデッサでは(特に踵が)緩い人に948が向きます。

インペリアルのオールソール修理はいくらかかる?

2026年8月時点の公式価格で、トップゴムレザーソールのオールソールが17,050円です。

ヒールのスコッチ化粧交換は5,280円、腰裏直しは3,300〜3,850円。

メーカー純正部材での修理が可能で、公式リペアストアなら、オールソールは通常約20日が目安です。

インペリアルにヴィンテージスチールは付けられる?

不可能ではありませんが、通常の素のレザーソールより施工方法や店を選びます。

スコッチグレインのトップゴムレザーソールは、つま先にゴムが埋め込まれており、「ゴム部分ではネジが効かない」として受け付けない修理店もあります。

スチール仕様を前提にする場合は、購入前に依頼予定の修理店へ確認した方が確実です。

中物がコルクではなくEVAだけど品質に問題はない?

問題ありません。

スコッチグレインでは、一般的なグッドイヤーウェルト靴に使われる練りコルクではなく、中底と本底の間に6mm厚の硬質EVAスポンジを使用しています。

劣化しにくさ、反発性、軽量化を狙ったスコッチグレイン独自の仕様であり、ウェルトを介してソールを交換できるグッドイヤーウェルトのメリットは変わりません。

「ノーブルカーフ」はどこの革?特定のタンナーの商品名?

特定のタンナー一社の商品名ではありません。

「ノーブルカーフ」は、ヨーロッパ各国のメーカーから調達した多数の革の中から、革のグレードや品質を自社基準で判断し、各製品に適したものを選んだ革の総称です。

インペリアルでは、その中からさらに厳選した革を使用しています。

EEEの936と、アシュランスのEEEは木型が同じ?

936はアシュランスやインペリアルIIIと同系統の木型です。

アシュランスのEEEが合う人は、936でも近いフィッティングが期待できます。

スタンダードからインペリアルへの乗り換えで、最もフィット感の変化が少ないモデルです。

インペリアルと海外高級靴(エドワードグリーン等)はどちらが良い?

品質の単純な上下ではなく、何に価値を置くかで評価が変わります。

インペリアルは74,800円で、選別されたヨーロッパカーフ、国内生産、メーカー純正修理が揃う実用重視の高級靴です。

一方、エドワードグリーンやチャーチは現在20万円以上の価格帯であり、ブランドの歴史や英国靴としての意匠、オークバーク系ソール等の趣味性まで含めて選ぶ世界です。

終わりに|スコッチグレイン「インペリアル」は賛否両論の靴だが・・・

今回は以上です。

スコッチグレイン「インペリアル」、特に「通常のインペリアル」は、人によって賛否が分かれるシリーズだと思います。

「オデッサ」と全体的にはそこまで変わらないけれど、それでもアッパーの質は高くなり、木型もオデッサがカバーできていない部分を担当しています。

だからこそ、13,200円(税込)という価格差が、人によっては妥当でもありますし、人によっては「オデッサで良いよ」となる賛否両論ラインに乗る違いです。

だからこそ、インペリアルは「オデッサだと足幅が狭すぎる人」なら936、逆にオデッサだと甲が高い/踵が緩い人は946や948を選びつつ、「さらにアッパーをアップグレードできちゃう」という考え方が妥当だと思います。

実際、今の革靴の相場において、「インペリアル」は7万円台の革靴としては相当良い部類だと思いますし、一方で「インペリアル」と「インペリアルフランス」は6万円近い価格差があります。

だからこそ、高級靴の中ではそこそこの価格でありつつ、ちゃんと適材適所でまとめているため、木型さえ合えば非常におすすめできるシリーズです。

上記記事の終わりに、「スコッチグレインは革靴界のクラウンやレクサス」と書きました。

実際、インペリアル以上のスコッチグレインは革質も良いですし、作りの丁寧さも含めると、そこいらの欧米の高級靴と比較しても負けない革靴です。

SHOLL

個人的には、グッドイヤー・ウェルテッド製法の靴は修理して履いてナンボの世界だと思っています。
個体差が小さく規格的に修理しやすく、余計なハンド風のディテールもなく、アッパーの革質も良い、素直に良い靴だと思っています。

おしまい!

(少しでもお役に立てたなら、SNSで拡散していただけると嬉しいです!)

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