イギリスの革靴ブランド14選!英国靴おすすめ&特徴を解説【ノーザンプトン】
こんにちは、しょる(@SHOLLWORKS)です。
今回は、イギリスの革靴について有名&おすすめのブランドをご紹介します。
今もなお、革靴の中心地はイギリス(英国)と言ってよいと思います。
2000年代のクラシコブーム以降、スーツに関しては“イタリア勢”が優勢に思えますが、革靴に関してはイギリスが主役となっている勢力図は変わっていません。

「スーツはイタリア、革靴は英国」というのが、いまのクラシックなお洒落の流れだと思います。
そして、この勢力図は今後もしばらく変わらないだろうな、と感じています。


ちなみに、日本のファッションに英国靴が本格的に“入ってきた”のは1980年前後のことです。
戦後しばらくは、メンズファッションの“お手本”がアメリカから始まったことなどもあり、靴に関してもアメリカ型の流れが強かったと言われています。
しかし、英国靴が決して「日本人に合わない」ということではありません。
ブランド的な知名度からしても、英国靴ブランドは(国産ブランド同様に)チョイスの中心にあります。

今回は、プロのファッションデザイナー&革靴マニアの私が、イギリスの主要な革靴ブランドと、英国靴ならではの特徴を「はじめての人にも分かりやすく」お話します!
【結論】はじめての英国靴で迷ったら、ここから選べばOKです
「とりあえず、このあたりから選べば大きく失敗しにくい」というブランドを、先にざっくりまとめておきます。
- 5〜8万円前後で、“ちゃんとした英国靴”デビューをしたい人
➡ジョセフチーニー&サンズ/サンダース/バーカー/ローク
価格とクオリティのバランスがよく、ビジネス〜休日まで使いやすいゾーンです。 - 10〜15万円前後で、「一生モノ寄りの一足」が欲しい人
➡クロケット&ジョーンズ/チャーチ/ジョージクレバリー
革質・作り・ブランド力のバランスが高く、スーツスタイルの“格”も上がります。 - 20万円〜で、趣味としてしっかり楽しみたい人
➡エドワードグリーン/ジョンロブ(パリ)/ガジアーノ&ガーリング/アンソニークレバリー/フォスター&サン
履き心地や造形・ストーリー性まで含めて“沼”にハマるゾーンです。 - ブーツやカントリー靴から英国靴を楽しみたい人
➡トリッカーズ/サンダース/グレンソン
ジーンズやミリタリーパンツにも合わせやすく、休日靴として取り入れやすいです。
このあとで各ブランドを詳しく解説しますが、まずは「自分の予算」と「履きたいシーン(スーツ/カジュアル/ブーツ)」を決めておくと、読みながら自然と候補が絞れてきます。

この記事では、難しい専門用語はできるだけかみ砕きつつ、「どのブランドを買えば失敗しにくいか」が分かるように順番にお話ししていきます。
イギリスの革靴ブランドの特徴|高級紳士靴の中心にして王道

現在とほぼ同様のドレス靴のスタイルが生まれていました
いま私たちが「クラシックな革靴」と聞いて思い浮かべるデザインは、19世紀末〜20世紀初頭にかけて、ヨーロッパのシューメーカーが競い合う中で形づくられました。
この時期に生まれた靴の基本デザインが、現在の「ストレートチップ」や「ウィングチップ」などの原型になっています。

中でもイギリスは、当時から「ビジネスで履く靴」の中心的なポジションにいました。
今回ご紹介するイギリスの革靴ブランドも、この時期前後に誕生した老舗が多く「歴史+いまの履きやすさ」が両立しているのが魅力です。
既製靴はグッドイヤー・ウェルテッド製法が中心
イギリスの靴ブランドは、工業化による機械式の底付け製法、つまりグッドイヤー・ウェルテッド製法が中心となっています。
グッドイヤー・ウェルテッド製法とは、ざっくり言うと「長く履けて、ソール交換(オールソール)がしやすいように作るための底付け方法」です。
もともとは、手縫いによる「ハンドソーン・ウェルテッド製法」が英国の伝統的な製法でした。
イギリスは産業革命でいち早く機械化を進めましたが、「ハンドソーンの考え方」を機械で再現するためにグッドイヤー製法が発達していったイメージです。

機械による生産効率化を図りつつ、「修理しながら長く履ける」という良さを残した中間点のような製法がグッドイヤー・ウェルテッドです。
現在も、ビスポークシューズ(フルオーダー靴)ではハンドソーン・ウェルテッド製法の靴が多く、既製靴ではグッドイヤー製法が中心という住み分けになっています。

Image Photo by UNION ROYAL
グッドイヤー・ウェルテッド製法の構造としては、アッパー(甲革)とインソールを直接縫い付けず、「ウェルト」と呼ばれる帯状の革や、「リブ」と呼ばれるテープ状のパーツを挟んで縫い合わせていることが特徴です。
製法名は、ウェルト縫い機の特許に名が残るアメリカ人、チャールズ・グッドイヤー・ジュニア(Charles Goodyear Jr.)の一族にちなんでいます。
ゴムの「加硫」で有名なチャールズ・グッドイヤー1世とも関連づけて語られることが多いです。

特に、英国と米国はこの機械式グッドイヤー・ウェルテッド製法を積極的に導入したことで、現在の「高級既製靴」という市場が形になっていきました。
グッドイヤー製法とハンドソーン製法の違いは?

Image Photo by REGAL
ちなみに、グッドイヤー・ウェルテッド製法とハンドソーン・ウェルテッド製法の違いは、ざっくりまとめると次のようなイメージです。
- ハンドソーン・ウェルテッド製法にはリブがなく、ソールの返り(曲がり方)が良好になりやすい
- ハンドソーンは中物(なかもの=コルクなどの詰め物)が薄めで、足裏の感覚がダイレクトになりやすい
- 木型(ラスト)の再現度が高くなりやすく、フィット感を追い込みやすい
などが挙げられます。
グッドイヤー・ウェルテッド製法は機械による生産性重視の製法であるため、どうしてもフィット感の限界や、履き慣らしの最初の段階での「硬さ」は出やすいです。

製法としてはハンドソーン・ウェルテッド製法の方が長年の耐用に向いていますし、履きはじめからサイズの変化が小さい傾向になります。
一方、革靴マニアにとっては、この「最初は硬いけれど、だんだん自分の足に馴染んでくる」という過程こそが楽しかったりもします。


「靴の聖地」ノーザンプトンにて製造するブランドが中心
英国を代表する靴メーカーの多くは、19世紀以降にノーザンプトンという都市に拠点を構え、ファクトリーとして生産を続けていることも大きな特徴です。
ノーザンプトンは、ロンドンから北へ約100kmほどの場所にある地方都市です。
中世から、ロンドンやバーミンガム、オックスフォードやケンブリッジといった主要都市の中間地点として、物流の中心地となっていました。

さらに、周辺で食用の牛が多く育てられ、革の安定供給を受けられたことも追い風になりました。
こうした地理条件・物流・原材料がそろったことで、徐々に「靴作りの街」としてのスタンスを確立していったと言われています。

歴史的な出来事としては、清教徒革命(イングランド内戦)の時期にまつわる話も有名です。
こうした歴史や産業の積み重ねから、「ノーザンプトン=靴作りの街」として広く知られるようになりました。

ノーザンプトンは、地理・歴史・産業が重なって「靴の聖地」となった街です。
1980年代以降、英国の製造業が厳しい時期もありましたが、いまでも世界中の靴好きが訪れる場所になっています。
有名ブランドの既製靴だからこそ、有名モデルを共通言語として語れる
さらに、有名モデルの“共通言語性”こそ、イギリスの革靴ブランドにおける最大の特徴と言えます。
要は、他国の革靴ブランドと比べて「ブランドステータスや、有名モデル名で通じる知名度が段違い」ということです。
たとえば、ジョンロブの「フィリップ」やエドワードグリーンの「ドーヴァー」は、靴好きの中で知らない人はいないと言ってよいくらい有名なモデルです。
「有名モデルを共通言語として語れる点」は、英国の革靴ブランドが圧倒的に秀でていると言ってよいでしょう。

もちろん、英国の有名靴ブランドの中でも“共通言語力=ブランド力”には差があります。
長くOEM(他ブランドの靴を製造する仕事)や別注を手掛けているメーカーと、自社ブランドとして高い知名度を誇るメーカーとでは、認知度が異なる点は他国や他ジャンルと同じです。

とはいえ、今回ご紹介するブランドは、どれも(多かれ少なかれ)「モデル名で語れる」ことを意識して選んでいます。
英国の高級既製靴は、ブランドステータスと一定の生産性・入手しやすさを両立していると言ってよいでしょう。
イギリスの革靴ブランド14選|英国靴のおすすめと特徴まとめ【価格帯・シーン別】
それでは、具体的に有名&おすすめの英国靴ブランド14選をご紹介します。
サイズ選びのイメージも掴んでいただきたいので、私自身の足のサイズ感も共有しておきます。
私の場合は人差し指の長いギリシャ型で、踵~人差し指の先端までが27.5cm、親指までが27cm、足幅の一番長い部分が10cm。
多くの英国靴ブランドやラストではUK8.5 F(日本サイズで27.0cm前後)がジャストサイズです※。
※もちろん、木型(ラスト)によって0.5インチ程度前後する場合があります。
スニーカーだと、スタンスミスで27.5cm、クラークスのデザートブーツやワラビーでUK8.5(US9)、ドクターマーチンでUK9(少しゆるめ)。

特記事項があるブランドや木型(ラスト)に限り、サイズ感のコメントも追記していますので、購入前のイメージづくりに使っていただけたら嬉しいです。
エドワードグリーン(EDWARD GREEN)

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- 参考価格(目安)
- 約269,500円
※国内正規店の税込参考価格(2026年1月時点の目安。為替やモデルにより前後します)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・英国&革靴を代表するトップブランドを履きたい
・モデル名&木型で語られるブランド力が欲しい
・土踏まずの“突き上げ感”がしっかりあるフィットが好き
エドワードグリーン(EDWARD GREEN)は1890年創業、英国靴の中心ブランドにして世界最高峰の革靴ブランドのひとつです。
多くの有名モデルを擁するブランドで、代表的なものはストレートチップの「チェルシー」や、スキンステッチ入りUチップの「ドーヴァー」などが挙げられます。

Image Photo by EDWARD GREEN
革のクオリティも高い個体が多く、履き心地に関しては独特の土踏まず(ウエスト)部分の突き上げが特徴。
通常ラインの他、ヒールカップやウエスト部分の絞りを強くした「トップドロワーライン」も存在します。

エドワードグリーンの工場移転前の「旧工場製」は、いま以上に細部まで手が入っている個体も多く、二次流通でも高値で取引されることがあります。
また、元々はOEM中心のメーカーだったこともあり、1980年代以降はラルフローレンやブルックスブラザーズといった有名ブランドの靴を製造した実績もあります。
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ジョンロブ(パリ)(JOHN LOBB)

Image Photo by JOHN LOBB
- 参考価格(目安)
- 約312,400円
※国内正規店の税込参考価格(2026年1月時点の目安。モデルにより変動します)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・「革靴界のロールスロイス」的ブランド力を求める
・モデル名や木型で語られる有名な靴が多いブランドが良い
・無骨さよりも、優雅でエレガントな雰囲気が好き
ジョンロブ(JOHN LOBB)は、数ある革靴の中でも最高峰のブランド力を持つ「キング・オブ・シューズ」。
1866年、ロンドンのビスポークメーカーとして創業し、英王室御用達としても知られるブランドです(ロンドン工房側)。
その後1970年代に経営難に陥り、ロンドン本店とは資本を分ける形で、パリを中心に展開する既製靴ラインがエルメスの傘下となりました。

結果、ロンドンのビスポークのみを扱う通称「ジョンロブ・ロンドン」と、エルメス傘下で既製靴中心の「ジョンロブ・パリ」に分かれました。
私たちが普段ショップで目にするのは、ジョンロブ・パリの既製靴です。
エルメス資本によるジョンロブ(パリ)は、1982年に既製靴コレクションをお披露目し現代に至ります。
ビスポークシューズの技術を生かした既製靴を展開し、いまでもトップブランドとしての地位を築いています。
「パリ」と呼ばれるだけあって、クラシックさの中にフランス・パリ的なエレガンスが香る靴が多いです。

Image Photo by JOHN LOBB
代表的なモデルは、パンチドキャップトウ(つま先に穴飾り付きストレートチップ)の「フィリップⅡ」や、ベーシックなストレートチップの「シティⅡ」など。
ラスト(木型)は、シャープなラウンドトウの7000番(ハーフサイズアップでジャストの人が多い)や、セミスクエアトウの8000番などが有名です。

スタンダードラインの他に、カントリー寄りの「コテージライン」、より贅沢な仕様の「プレステージライン」などに分かれます。
毎年秋に発表される「イヤーモデル」は、デザイン好きにはたまらない一足です。
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フォスター&サン(FOSTER&SON)

楽天市場より引用
- 参考価格(目安)
- 約154,000円
※国内での流通価格の一例(新品の正規輸入はかなり少なく、並行輸入・セール・モデルによって大きく変動します)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・歴史ある名店の、ハイクオリティな既製靴が気になる
・ラウンドトウ×クセの少ない標準的な木型が好み
・「少し手間をかけてでも、良い英国靴を探したい」タイプ
フォスター&サン(FOSTER&SON)は、ロンドンで1840年に創業した英国老舗靴工房&ブランドです。
紳士ブーツや乗馬靴に強く、ビスポーク(フルオーダー)で名を上げたお店ですが、近年は既製靴コレクションも展開しています。
一時期、ショップのクローズなどもあり動向が心配されましたが、2026年時点では公式サイトで既製靴コレクションを案内しており、ブランドとしては継続しています。
フォスター&サンの既製靴は、ラウンドトウの英国らしいベーシックなモデルが中心です。
素朴かつ上品な見た目だけではなく、グッドイヤー製法の既製靴でありながら、土踏まずに沿うフィット感がかなり良いのもポイント。
ブランド力はもちろん、クオリティや価格バランスという点でも非常に優秀なブランドだと感じます。

初めて実物を手に取ったとき、「このクオリティで定価15万円前後は正直かなりお得だな・・・」と驚いたブランドです。
流通量は多くないので探す必要はありますが、多少プレミア値が付いても「一足良いものを」と考えている方には本気でおすすめできます。

ガジアーノ&ガーリング(GAZIANO&GIRLING)

Image Photo by TRADING POST
- 参考価格(目安)
- 約302,500円
※国内正規店の税込参考価格(2026年1月時点の目安。DECOラインなどはさらに上がります)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・英国靴界の「革命児」的な新興ハイエンドブランドに興味がある
・今回の中でもトップクラスのクオリティを味わいたい
・シェイプの効いたスタイリッシュなスクエアトウが好き
ガジアーノ&ガーリング(GAZIANO&GIRLING)は2006年に創業した新興ブランド。
わずか10年ほどでトップブランドと認知されるようになり、「老舗であることがブランドステータス」という英国靴界の価値観を揺さぶった存在です。
設立者は、エドワードグリーン再興の立役者であったトニー・ガジアーノと、高名なビスポークシューメーカーであったディーン・ガーリング。

「老舗だから」ではなく、「いま作っている靴の出来で勝負したい」という気持ちを強く感じるブランドです。
代表的なローファー「アンティーブス」や、上級ライン「DECO」のラインナップは必見ですし、MTOの「Optimum」ラインは既成靴の木型をフルハンドソーンで仕上げる超絶ラインです。
ガジアーノ&ガーリングは、既製靴でありながらビスポークのような「細いウエスト」「立体的な絞り」を持つ見た目が特徴です。
ウエストだけでなく足幅も細めで、スクエアトウ(つま先の輪郭がやや四角い形)が中心。
全体的にメリハリが効いたシャープな靴です。

Image Photo by TRADING POST
その他、アッパーの革質が非常に高いこともガジアーノ&ガーリングの強みです。
サイズ感に関しては細身な木型が多いため、普段の英国靴よりハーフサイズ上げる方もいます。

代表的なTG73やDG70などの木型は、私の足だとハーフサイズ上げるほどではありません。
ただし、足幅が普通〜やや広めの方は、一般的な英国靴よりもハーフサイズ上げるくらいを基準に試してみると安心だと思います。
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アンソニークレバリー(ANTHONY CLEVERLEY)

Image Photo by MITSUKOSHI ISETAN
- 参考価格(目安)
- 約308,000円
※国内百貨店での税込参考価格(2026年1月時点の目安。仕様により変動)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・歴史ある名店が手掛けるプレミアムラインを履いてみたい
・シェイプの効いた「チゼルトウ(ノミで削ったような角張ったトウ)」が好き
・「レイジーマン」タイプの靴に興味がある
アンソニークレバリー(ANTHONY CLEVERLEY)は、「ジョージクレバリー」創業者の甥であるアンソニー・クレバリーが1990年代に立ち上げたプレミアムラインです。
アンソニークレバリーの既製靴は、ビスポークで培われた意匠を生かしたプレミアムな既製靴ラインで、伝統的な英国靴とは一線を画する色気と意匠性のあるスタイリッシュなモデルが中心です。
最大の特徴は「チゼルトウ」と呼ばれる、ノミ(=チゼル)の刃先のように両サイドのエッジを効かせたつま先のシルエット。

Image Photo by MITSUKOSHI ISETAN
写真は「チャーチル」というサイドエラスティックのモデルで、レイジーマン(レイジー=怠惰)とも呼ばれるものです。
チゼルトウのシャープさが気に入った人や、レイジーマンにチャレンジしたい方にはピッタリのブランドです。

(レイジーマンの靴に限らず)アンソニー・クレバリーは、個人的には「とても歩きやすい靴」だと感じています。
私の足にたまたま合っているのか、靴としての重量バランスが良いのか、その両方だと思いますが、設計が優秀でとにかく足運びが軽い靴です。
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ジョセフチーニー&サンズ(JOSEPH CHEANEY & SONS)

楽天市場より引用
- 参考価格(目安)
- 約74,800円
※国内正規店〜大手ECでの税込参考価格(2026年1月時点の目安)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・「ちゃんとした英国靴」を、比較的手に取りやすい価格で探したい
・クセの少ない木型&モデル数の多さを重視したい
・コストパフォーマンスや実用性を大事にしたい
ジョセフチーニー&サンズ(JOSEPH CHEANEY & SONS)は1886年創業。
長らくOEMや別注品を中心に手掛けてきつつ、近年はブランドとしても展開しているため、定番モデルの魅力と英国靴らしさがあるスタンダードな靴作りをそこそこの価格で味わえるのが特徴です。
ここまで紹介してきたブランドとは異なるタイプで、「コストパフォーマンスの高い英国靴」としてショップでもよく見かけるブランドです。

2009年にチャーチ傘下から独立して以降は“モデル名で語れるブランド”化にも注力しており、代表的なモデルはストレートチップの「アルフレッド」や、アデレード型(V字の飾り穴が入る)の「フェンチャーチ」などが挙げられます。
全体的に癖のない木型で、幅広い人に合わせやすいサイズ感です。
その他、チーニーは英国軍への供給や、「ロイヤルツイード(Royal Tweed)」ネームなどで輸出にも注力してきたブランド。
高級靴デビューにちょうど良く、ある程度気兼ねなく履けて、手入れのし甲斐もあるブランドを探している方におすすめです。

現在のチーニーはプラダ傘下のチャーチの創業一家であるチャーチ家が買収し、チャーチ(およびプラダ)とは独立したブランドとして再出発した、という流れも面白いポイントです。
元チャーチ一族が「自分たちの理想の英国靴」を、比較的手の届きやすい価格帯で提案している、と捉えるとイメージしやすいと思います。
チャーチ(Church’s)

Image Photo by Church’s
- 参考価格(目安)
- 約176,000円
※国内ブティックのドレスライン税込参考価格(2026年1月時点の目安)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・特に知名度が高い英国靴ブランドから入りたい
・「既製靴らしさ」もある、独特の雰囲気が好き
・コストパフォーマンスより、モデルのカッコよさやストーリーで選びたい
チャーチ(Church’s)は1873年創業、英国靴の中で最も「どの時代にも第一線にいた」ブランドのひとつだと思います。
チャーチの靴に対する歴史的な貢献度はすさまじく、現在の「既製ドレスシューズの基礎」を作ったブランドと言っても過言ではありません。

Image Photo by Church’s
代表的なモデルは、ストレートチップの「コンサル」、セミブローグの「ディプロマット」、フルブローグの「チェットウィンド」、プレーントウの「シャノン」など、本当にたくさんあります。
(チェットウィンドは、トニー・ブレア英元首相の愛用シューズとしても有名でした。)
その他、ポリッシュドバインダーという、革の表面に樹脂加工を施した独自の素材もチャーチのお家芸。
ビスポークのエレガンスや緻密な手仕事よりも、ざっくりどっかりした“実用物”としての既製靴にブランド感が乗ったというのがチャーチらしい立ち位置です。

私が間違いなく一番集めた英国靴ブランドで今でも大好きです。
トリッカーズ同様、モデルそのものの魅力で勝負するブランドだと思っていますが、細部の作りも存外ちゃんとしているのも魅力ポイントです。

Image Photo by Church’s
チャーチもビンテージ市場で人気のブランドです。
私がこれまで確認しただけでも、CC41(第二次世界大戦中の物資統制商品)から筆記体ロゴ、都市名表記ナシ、2都市(LONDON/NEW YORK)、3都市(+PARIS)、4都市(+MILANO)、5都市(+TOKYO、現行品)と、時代ごとにインソック(中敷き)に記された都市表記が異なります。
ただし、3都市期も前期と後期で作りのレベルがだいぶ異なるなど、ヴィンテージ品の年代を大まかに特定できるのもマニア心をくすぐるポイントです。

私のように「有名モデル×あえての既製靴感」を求める変わった方には、チャーチはかなり刺さると思います。
トリッカーズ(TRICKER’S)

Image Photo by TRICKER’S
- 参考価格(目安)
- 約132,000円
※カントリーブーツ「ストウ」などの税込参考価格(2026年1月時点の目安)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・ノーザンプトン最古クラスの歴史×現役の英王室御用達ブランドが気になる
・重厚感あふれるブーツやカントリーシューズが好き
・別注やコラボなど「色違い・仕様違い」を集めて楽しみたい
トリッカーズ(TRICKER’S)は1829年創業。
現存するノーザンプトン最古クラスのシューメーカーで、チャールズ英国王のロイヤルワラント(英王室御用達)の認定も受けているブランドです。
トリッカーズはドレスシューズもありますが、なんといっても写真の「ストウ」や、短靴の「バートン」が有名で、厚めのソール&頑強なグッドイヤー製法による土臭いカントリーテイストの靴作りが持ち味です。
トリッカーズも作りの精密さや繊細さというより、「アイコンモデルの世界観」で魅せるブランドです。
別注品が本当に多く、日本のブランドだけでもかなりの数があります(困ったらトリッカーズ別注やコラボみたいなところあります)。

それだけさまざまなブランドとの世界観に調和する汎用性が高い名作であることの証左でもあります。
ソールをコマンドソールに変えたり、配色を変えたり、遊び心のある別注が多いのも人気の理由です。
サンダース(SANDERS)

Image Photo by SANDERS
- 参考価格(目安)
- 約68,200円
※代表的な外羽根短靴の税込参考価格(2026年1月時点の目安)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・官庁・軍向けの供給実績がある、実用志向の英国靴が好き
・ミリタリー要素の強いデザインが好み
・有名モデル名より、「コスパ」「実用品としてのタフさ」を重視したい
サンダース(SANDERS)は、ノーザンプトンにほど近いラシュデンで1873年に創業したファクトリー。
英国国防省をはじめ官庁向けの靴を多く手掛けてきた実績があり、いまも工場の製造ラインの大部分が官庁向け製品に割り当てられていると言われています。

Image Photo by SANDERS
サンダースの特徴は、ミリタリー色の強いコレクションが中心であること。
いわゆる「英王室御用達(ロイヤルワラント)」ブランドではありませんが、日常的にガシガシ履ける実用靴としての信頼感はかなり高いです。

外羽根の重厚感あふれる短靴やブーツが、サンダースを代表する商品。
ヤフオクやメルカリなどでも「UKオフィサーシューズ」として、サンダース製の軍・官庁向けシューズをよく見かけます。
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グレンソン(GRENSON)

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- 参考価格(目安)
- 約59,000〜110,000円
※ラインや仕様により価格差大(2026年1月時点の国内相場目安)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・日本での知名度より、“良い靴を作る実力派ファクトリー”が好き
・予算に応じてラインを選びたい(G-TWO〜G-ONEクラスなど)
・武骨なフォルム×高耐久な靴が好み
グレンソン(GRENSON)は1866年、ウィリアム・グリーンがラシュデンの小さな工房で靴製造を始めたことからスタートしたブランドです。
内羽根フルブローグ(穴飾り付きのクラシックな靴)が代表的で、G-ONE/G-TWOなど、グレード別のライン展開があります。

Image Photo by GRENSON
カントリー寄りの靴から、ダークスーツにも合わせられるドレス寄りの靴まで幅が広いのが特徴。
メンズのカジュアルシューズからレディースの革靴まで展開する、総合シューズブランドとしての顔も持っています。
特定の木型やモデル名が飛び抜けて有名、というよりは、「実力派ファクトリー」として信頼できるブランドというイメージです。

現在は廃番ですが、最高峰のG-ZEROラインは、他ブランドで言うとクロケット&ジョーンズのハンドグレード以上のクオリティでした。
G-ONEもチーニー以上のレベルだと感じます。
また、一昔前よりは話題に上がる頻度が減った印象もありますが、実は日本でもオンラインで買いやすいブランドで、楽天市場などで積極的に販売されています。
ラストは#73や#103が比較的メジャーですが、いずれもミドルノーズ~ややロングノーズ程度のラウンドトウで、クセの少ない型が中心です。
ウィズも(E/EX/F/FX/Gと少し変わった表記ですが)細め~広めまで用意されており、「幅広い人に合わせやすい英国靴」というポジションです。
クロケット&ジョーンズ(CROCKETT&JONES)

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- 参考価格(目安)
- 約110,000〜150,000円
※スタンダード〜ハンドグレードラインの税込目安(2026年1月時点)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・歴史ある英国の実力派ブランドを一足目に選びたい
・「中庸〜ややエレガント」な、使いやすいバランスの靴が欲しい
・実力とモデル名の知名度、両方を重視したい
クロケット&ジョーンズ(CROCKETT&JONES)は1879年創業、ジェームズ・クロケットとチャールズ・ジョーンズによって設立されたファクトリーです。
「実力」と「モデル名の知名度」のバランスが非常に良い、優等生的なシューズブランド。
英国靴の名だたるメーカーのOEM生産を担当しつつ、自社モデルの「オードリー」などでも頭角を現しました。

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1997年にロンドンのジャーミンストリート、1998年にパリに直営店をオープンし、2002年に発表した#337(通称パリラスト)がヒット。
近年は#337のフィットを改善した#367ラスト(ウエストを絞り、かかとを小さくした木型)も人気です。

個人的には#367ラストはかなりの傑作だと思います。
細すぎず、でも野暮ったくもない、絶妙なバランスです。
また、クロケット&ジョーンズは、主にスタンダードラインとハンドグレードラインの二種類に分かれます。
ハンドグレードラインは「オークバークソール」「ヒドゥンチャネル(縫い目を隠したソール)」「半カラス塗り(ソールの一部を黒く塗ったドレス仕様)」と、高級感のある仕様です。

私が最初に買った「ちゃんとした英国の高級革靴」は、クロケット&ジョーンズのハンドグレード(#337ラスト)でした。
革質やソールの質感は、いま思い出してもかなり良かったですね。
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ジョージクレバリー(GEORGE CLEVERLEY)

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- 参考価格(目安)
- 約143,000円
※国内セレクトショップでの税込参考価格(2026年1月時点の目安)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・歴史ある名店が監修した、「ちょっと特別な既製靴」を選びたい
・エレガントなディテールやフィドルバック(ウエストの立ち上がり)などが好き
・ノーザンプトンの実力派ファクトリーによる確かな作り×少しひねったデザインに惹かれる
ジョージクレバリー(GEORGE CLEVERLEY)は、1958年創業の英国を代表するシューメーカーです。
元々はビスポークで著名になったブランドですが、1990年代以降は既製靴も展開。
現在はジョージクレバリー社のスタンダードラインとなっており、プレミアムラインは先述の「アンソニークレバリー」です。
既製靴は、同じノーザンプトンの実力派ファクトリーによるグッドイヤー製法で作られています。
クオリティのイメージとしてはクロケット&ジョーンズのハンドグレードラインに、フィドルバック仕様(ソールのくびれ部分を山なりに立ち上げた意匠)などを加えたような内容です。

ビスポークブランドとしてのジョージクレバリーは、帝政ロシア時代にトナカイの皮を鞣して製造されていた幻の「ロシアンカーフ」を使用したことでも有名です。
バーカー(BARKER)

楽天市場より引用
- 参考価格(目安)
- 約63,800円
※スタンダードラインの税込目安(2026年1月時点)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・「高級英国靴の入り口」としてちょうど良いブランドを探している
・軽量で滑りにくいダイナイトソール仕様を重視したい
・まずは通常ライン、その後で「ちょっと攻めた」特別ラインも試したい
バーカー(BARKER)は1880年創業、(高級英国靴の中では)比較的手に取りやすい価格帯で展開されており、革靴初心者にもピッタリなメーカーです。
10万円クラスの革靴とはさすがに比べられませんが、「ちゃんと英国靴に見える」レベルの質感があり、革質も3〜4万円台の国産靴より優れている個体が多い印象です。
ダイナイトソールの採用率が非常に高く、レザーソールと比べて軽量で滑りにくいことが特徴です(ゴム製で、表面に小さな突起が並んだ実用的なソールです)。
また、バーカーブラック(BARKER BLACK)という、2005年にデリック&カーク・ミラー兄弟によってニューヨークで創業したブランドの製造も担当しています。
バーカーブラックでは、ドクロのモチーフや特徴的なレースの通し方など、遊び心のあるコレクションが見られます。
ローファーやブローグなど、クラシックな形に少しパンクな要素を足したようなモデルが代表的です。

バーカーブラックは価格も10万円前後と高めですが、その分「ちょっと人と被らない英国靴」を楽しめるラインだと思います。
まずは通常ラインのバーカーで英国靴に慣れつつ、次の一足としてバーカーブラックを検討する、というステップも良いですね。
ローク(LOAKE)

Image Photo by Madras
- 参考価格(目安)
- 約56,100円〜
※LOAKE1880 CLASSICラインの国内税込目安(2026年1月時点)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・リーズナブルでコストパフォーマンスの高い「ちゃんとした英国靴」を探している
・価格帯に応じてラインを選びたい(クラシック〜カントリーまで)
・「そこそこ良い靴」を日常のビジネスでガシガシ履きたい
ローク(LOAKE)は1880年創業、ノーザンプトンシャーのケタリングでトーマス、ジョン、ウィリアムのローク3兄弟によって設立されました。
2007年にはエリザベス2世女王から英王室御用達(ロイヤルワラント)を授与され、さらに2025年にはチャールズ3世国王から新たなロイヤルワラントも授与されています。
比較的リーズナブルな価格ながら、「英国靴らしい見た目と作り」を楽しめるブランドです。
ロークは、いくつかのラインに分かれていることが特徴です。
代表的なラインを挙げると、
- LOAKE 1880 CLASSIC(クラシック) … 英国製グッドイヤー製法の基本ライン
- LOAKE 1880 COUNTRY(カントリー) … ラバーソールなどを使ったカントリー寄りライン
- PROFESSIONAL … よりビジネス使いしやすい実用ライン
などがあります。

「モデルに凄いストーリーがある!」というタイプではないものの、初心者にも取り入れやすい、素直な英国靴という意味ではかなり優秀です。
靴にそこまで予算はかけられないけれど、安物の消耗品ではなく、きちんとした一足が欲しい…という方におすすめのブランドです。
どの英国靴ブランドを選べば良いの?
そして、「結局どの英国靴ブランドを選べば良いの?」問題について、ざっくり整理しておきます。
選ぶ際、予算はもちろんですが、まずは「見た目や雰囲気が好きかどうか」が一番大事です。
そのうえで、ざっくりと次の3タイプで考えてみると整理しやすいと思います。
- 特定モデルやブランド色の強い「アイコンモデル重視タイプ」
- 既製靴らしい「コストパフォーマンス重視タイプ」
- ハンドメイドスーツと合わせたい「作りの良さ重視タイプ」

どれが正解・不正解という話ではなく、「いまの自分のライフスタイルと気分」に近いものから選んでいくイメージで大丈夫です。
特定モデルやブランド色の強いタイプ
特定モデルやブランド色の強いタイプは、
- ジョンロブ
- エドワードグリーン
- トリッカーズ
- チャーチ
などが代表的です。

Image Photo by EDWARD GREEN
たとえば、スキンステッチ入りのUチップといえばエドワードグリーンの「ドーヴァー」ですし、カントリーブーツといえばトリッカーズの「ストウ」。
それぞれが、ジャンルの代名詞のような存在になっています。

(エドワードグリーンのトップドロワーはさておき)これらは価格に対して「とにかく作りが凄い」というより、「アイコンとしてのカッコよさ・ストーリー」で魅力を発信するブランドだと思います。
既製靴らしい、コストパフォーマンス重視タイプ
一方、
- チーニー
- サンダース
- バーカー
などは、「それなりの高級品で、既製靴としてのコスパがよい」ことが特徴です。

私が英国の既製靴と接するスタンスも、どちらかといえばこちらに近く、スーツを着る日によく履くのはチーニーで、以前はチャーチがそのポジションでした。
ちなみに、クロケット&ジョーンズはあえて分類するなら「ブランドタイプ寄りの実力派タイプ」くらいの塩梅だと思います。
ハンドメイドスーツと合わせる、作りのブランドを選ぶ
- ガジアーノ&ガーリング
- フォスター&サン
- アンソニークレバリー
などは、ビスポーク(ハンドメイド)のエッセンスを感じさせる靴です。

Image Photo by TRADING POST
今回ご紹介している中で「作りのよさ」だけを評価するなら、アンソニークレバリー(靴としての設計)か、ガジアーノ&ガーリングのDECO(革質やディテールの手間)あたりがトップクラスだと思います。
どちらもグッドイヤー・ウェルテッド製法ですが、手吊り込み(アッパーを木型に手で引き込む作業)を取り入れており、革質も非常に高く、造形もかなり凝っています。
そして、フォスター&サンも非常に優秀な既製靴を作っています(今後の展開にもぜひ注目してほしいブランドです)。

ぜひ、あなた自身の価値観やライフスタイルを一度整理して、「いまの自分にしっくりくる一足」を選んでみてくださいね。
【Q&A】イギリスの革靴ブランド(英国靴おすすめ&特徴)の疑問に答える
そして、ここまでの内容やその他をまとめて、Q&A形式にしました。
終わりに|英国靴は「予算×シーン」で選ぶと、ぐっと楽になります
今回は以上です。
英国靴は、歴史やブランドの物語はもちろん、実用品として「付き合っていく楽しさ」があるのが魅力だと思います。
最初から完璧に理解しようとせず、まずは“好きだな”と思える雰囲気を大事にしてみてください。
そのうえで迷ったときは、予算と「スーツ中心なのか/休日にも履きたいのか/ブーツから入りたいのか」を先に決めるだけで、候補がきれいに絞れてきます。
英国靴は選択肢が多い分、選び方の軸さえできれば失敗しにくい世界です。
そして、初めの一足でぜひ意識したいのは、サイズ感とローテーションです。
無理のないフィットを探しつつ、履く日と休ませる日を作ってあげると、靴の良さがじわじわ分かってきます。

まずは気になるブランドを1つ選び、できれば試着や返品条件を確認しながら「スタートサイズ」を固めてみてください。
そこから一足ずつ、自分の生活にしっくりくる英国靴を増やしていくのが、いちばん楽しくて確実な第一歩だと思います。
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