骨格診断がわからない人へ|プロがわかることや考え方、大事なことをアドバイス

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こんにちは、しょる(@SHOLLWORKS)です。本日は「骨格診断」について、プロのファッションデザイナーが気にすべきポイントや、思うところをお話しさせていただこうと思います。

骨格診断は、すっかりポピュラーなファッションコンテンツになりましたね。一方、3タイプどころか、7タイプや9タイプ、12タイプに分かれていたり、「自己診断してみたけれど結局分からない!」という悲鳴も数多く聞こえます。

メンズも気になっている人が(それなりに)多いようですが、そもそも仕組みもよく分からないし、本当に意味があるのかも疑問に思われている方が多いのではないでしょうか。

最初に結論から申し上げると、骨格診断はパーソナルカラー診断同様に「普通の美を目指している人」には(多少~そこそこ)意味があります。とはいえ、万能ではないからこそ“しっくり”こない人も多い指標。必ずしも、分かる必要はありません。

何より、骨格診断は「自己承認」に近づくためのツールのひとつでしかありません。必ずしも通らなければならないというものではありませんし、重要なことは「あなたが何タイプの骨格か」ではなく、服装を通じてあなたが自分のことを(より)好きになることではないでしょうか。

しょる
しょる

というわけで今回は、ファッションのプロフェッショナルである私が、骨格診断がどのような特徴があり、向き不向きや付き合い方、その他、気にすべきポイントをお教えします。

目次

骨格診断とは?特徴や見分け方、意味があるのかを解説

主にストレート/ウェーブ/ナチュラルの3タイプに分かれる

イラストAC より引用

骨格診断とは、骨や肉のつき方から主にストレートタイプ(骨格ストレート)ウェーブタイプ(骨格ウェーブ)ナチュラルタイプ(骨格ナチュラル)に分類される診断。

それぞれの特徴を簡単に述べると、

  • 骨格ストレート・・・全体的に「上に上に」骨や肉が付いているタイプ。標準体型〜スリムな方はXラインになりやすいことも特徴
  • 骨格ウェーブ・・・肩周りが華奢で、下半身に重心が集まるいわば「重力に従順なタイプ」
  • 骨格ナチュラル・・・そもそも重力に影響されそうな肉付きが上下共に少なく、骨や筋が目立つタイプ

です。より複雑になった7タイプや9タイプ、12タイプなどもありますが、いずれも「3タイプではハッキリとは当てはまらない人」に向けて細分化しただけです。詳細は後述しますが、本質的な違いは特にありません。

「ハッキリ分からない人がいる」というのは、まさしく骨格診断の万能性を否定するものです。区分の多さは本来重要ではないのですが、それではサービスを提供する側が「教えられない」からこそ、このようなカオスな状態になっているのですね。

そもそも、どうやって自分の骨格が分かる?

結論、完璧には無理です。知りたい方には「ごめんなさい」ですが、事実を捻じ曲げるよりかはマシなのでハッキリと述べておきます。そして、

そもそも区分は絶対ではないし、いずれかと診断されたからといって、その骨格タイプに似合うとされる全てのアイテムがあなたに似合うわけでもない

ということも心に留めておいてください。つまり、「完璧には分からないし、無理矢理に分かった気になっても実際は何も解決していない」ということです。

自分が骨格ストレートと診断されたとして、「骨格ストレートに似合うとされる服を着てみたけれどイマイチだった・・・」という経験は、決して珍しくないので覚悟してください。

正直、人間全てを3タイプに分けるのは無理があります。同様に、7タイプでも9タイプでも12タイプでも無理があります。というより、本当に人間が骨格の特徴によって区分できるのであれば、人類学や解剖学の分野で大変な発見になってしまいます。「人種」と同じような軸がひとつ増えてしまうことになりかねません。

本当は遥かに多様だからこそ、「あなたは骨格ストレートです」と言われたからといって、完璧に骨格ストレートの服全てが似合うわけではありません。単に、コミュニケーションにおいて分かりやすく伝えられるように「ざっくりと」言語化しているに過ぎません。

置き換えれば分かりやすい話です。例えば「白人は全員〇〇が似合う」とか、「丸顔は全員××を着なきゃ変」というのは暴論ですし無理がありますよね。ところが、骨格診断となると、疑う人が極端に少なくなってしまうのです。一体なぜでしょうね。

自分の骨格タイプが分からない→そもそも、分かる必要が本当にあるとも限らない

そして、骨格診断が分からなくて困っている人とは、

  1. どうしても知りたいのに、センスが絶望的でわからない(と思い込んでいる)
  2. そこそこお洒落を頑張ってきたし、実際に診断も服も色々試してみたけれど結局わからなかった

のいずれかのパターンではないでしょうか。

①の場合は、どうしても知りたいのであれば、まずは診断を受けても良いと思います。しかし、②の場合は、そもそも骨格診断というコンテンツ自体、あなたに合っていない可能性があります。

その場合は、「そもそも骨格診断が〇〇タイプだから・・・」という考え方をやめて、自分が理想の体型と比べてどうなのかをパーツ毎に比較してみるべきです。無理にカテゴライズする必要はありません。

骨格診断の本質は「理想体型」に近づくよう視覚効果を狙うこと

骨格診断は既存の美に対して、とりわけ「いかに“欠点”を補える服を選べるか」という減点方式に対応した教科書的な指標です。そして、「あてはまらないぞ!」というユーザーの突っ込み対応するがごとく、区分が増えていっただけに過ぎません。

だからこそ、最強の診断方法は、自分自身の各パーツに対して「美の理想像」と比べて良い部分(近い部分)は見せる、あまり自信のない部分(遠い部分)は錯覚させるように工夫する。これだけでいいのです。

そもそも、自分のパーツの特徴が分かっていれば、わざわざ「骨格〇〇タイプで、だからスカートはこんな感じで・・・」という過程を辿る必要がないのですね。「どうせ複雑なんだから、わざわざ複雑&完璧に細分化できないコンテンツにコミットしなくても良い」ということです。

 

「美の理想像」だなんて、まるでプラトンのイデア論みたいな話ですが、ここで言う「理想像」とは社会通念上の美です。私や皆さん各々の持っている個人の価値観ではありません。

例えば女性の場合、

  • 首は長く細い、顔は小さい
  • 肩幅は狭め、厚みを感じさせない
  • 腰の位置は高めで、ウエストとのメリハリがある
  • スリムだけれども、“ガリガリ感”は感じさせない程度

こんなところでしょうか。骨格診断による“似合う服”とは、このような「教科書的な美」に近づくことで、「理想的」という名の「普通に綺麗・可愛い」へコミットするためのものです。

骨格ストレートさんならば、「理想の女性像」と比べて首が短くなりがち。「首の長い女性が美人」とされていることから、「首が短く見えないよう、首がつまっていないUネックやVネックのカットソーを着ましょう」という理屈です。

同様に、「骨格ウェーブだからチュールスカートを穿くべき」ではなく、本来は「腰の位置が低い人」がチュール素材のふんわりとしたスカートを穿いたら腰周りが“もこっと”して重心が低く見えづらいだけなのです。

ただし、一般的な「骨格ストレートタイプ」は首は短いけれど腰の位置は高く、骨格ウェーブタイプは首は長めなことが多く、腰の位置は低いことが特徴です。

もし、腰の位置が低いのに首も短い人がいたら、自分の骨格タイプがウェーブかストレートか分からなくなって当然ですよね。無理矢理にどちらかのタイプと思い込むことや、診断してもらいたいがために頑張っても損をするパターンです。

別に、合わない人は「自分が何のタイプかな・・・?」などと気にする必要はありません。トップスは首が短く見えないもの、ボトムスは腰周りがふんわりとボリュームアップするものを着ればいいだけで、パーツ毎に向き合い、自分はどうしたいかを考えることが本来の正しい向き合い方です。

骨格診断は、アピールしたい点は「見せる」だけ

  

骨格診断で叶えたい本来の目的とは、あなたの身体の各パーツの特徴が理想に対して「細いのか太いのか」「長いのか短いのか」を基準に、

  • 太ければ隠す/細ければ出す
  • 短ければ長く見せる/長ければ出す

という対応をすることで、「少しでも良く見られたい!」というものではないでしょうか。

確かに、骨格診断は「あなたは骨格〇〇タイプです!だから××が似合います!」という過程と結果が、まるで占いのような楽しさがあります。だからこそ、「自分は骨格〇〇だからこれを着るんだ!」という、SNS時代特有の言語&見た目によるコミュニケーションを取りがち。

しかし、3タイプが7タイプ、9タイプ、12タイプ・・・と増えているのは、ユーザーに優しくない傾向です。めちゃくちゃ厳しいことを言えば、「感性に自信が無かったり、楽したい人向けのコンテンツなのに難しくしてしまっている」本末転倒な傾向であるとしか言いようがありません。

【わからない人へ】結局、骨格診断は意味があるの?疑問に答えます

というわけで、骨格診断は、

  • 信じたい人、分かりやすく当てはめられる人は頼っても良い
  • どうしてもしっくりこない人は、当てはまりにくい人の可能性が高いので頼らなくて良い
  • 分からない場合、自分の身体の各部位の特徴と理想の女性像を比較して「どうすれば近付けるか」を考える

というものです。そして、

社会通念上の美なんて興味ない、むしろ抗いたい

という方は、全く気にする必要がありません。「そんな人いるの?」と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、モードとは本来、そのような考え方ですからね。皆が皆、「自分は特別ではない」と思った瞬間、多かれ少なかれ「普通」に迎合するものです。

しかし、新しいものを生み出すためには、「撥ねること」は必要な存在です。

「普通の美」を目指すなら、意味はある指標

SNIDEL 公式HPより引用

以上のことを踏まえた上で、改めてお伝えしたいのが、骨格診断は直観的にしっくりくる上で、普通の「可愛い」「美人」「カッコいい」を目指すならば頼っても良い指標。

例えば、ユニクロは究極的に“普通”であり、体型を大きく変えるような服も展開されていません。その他、「普通に可愛い」を目指すスナイデルやフレイアイディーなどのブランドも、骨格診断と相性が良いブランド。

いずれにせよ、個性派デザイナーズブランドよりは、「普通」のブランドが好きな人の方が、骨格診断を気にする意味があるのではと思います。

モードの世界でも骨格診断はある?→聞いたことがなかった

 

ちなみに、骨格診断は(ほぼ)日本独自のコンテンツです。私が日本の大手アパレルメーカーでデザイナー職をやっていた20代は恐らくなかったと思いますし、ヨーロッパのブランドで働いていた時期は全く聞きませんでした。1回も聞いたことありません。

「骨格診断」という言葉の英語すら聞いたことがないのですが、直訳英語“skeletal diagnosis”と検索しても、見事に日本のコンテンツしか出てきません。

また、日本のブランドでも、たとえばコムデギャルソンやsacaiを纏う人が自分は骨格〇〇だから~」と言っていたら、「何だかなあ・・・」となりますよね。モードは既存の美を打ち破るのです。「既存の美に倣ってどうするの?」と思わずにいられません。

なぜ、日本でこんなにも流行っているのか

なぜ、骨格診断が日本でここまで流行っているのか。これは、

  • 自己承認の低さ&自分や他人の欠点を見つけることが得意
  • 属性を明確化した上でコミットしたいという“和”の意欲
  • 占いのような楽しさ

などの理由が考えられます(ちなみに、占いや血液型性格診断に関しても日本人が圧倒的に好きなコンテンツで、特に血液型占いなんか、頭お〇しいとすら思われます。病気に対する免疫力などに差が出るそうなので、何とも言えなさそうですが・・・)。

もはや、骨格診断は一種のコミュニケーションツールなのですね。TwitterやInstagramのプロフィールに「ブルべ夏/骨スト」と書けば、一瞬で「ああ」と伝わるじゃないですか。日本人は「阿吽の呼吸」が好きですから。

(念のために言及しておきたいのですが、日本独自の要素があることを否定したいわけではありません。国民全体がこれほどまでオシャレに興味がある国も、日本くらいだと思います。)

「骨格診断を参考にする必要のない人」はこんな人

骨格診断を必要としない人/するべきでない人としては、

  • 身体のパーツ毎に特徴が入り混じっている人
  • 社会通念上の美なんて興味ない、むしろ抗いたい人
  • 完璧な人や、自己承認MAXな人

です。上二つは解説してきました。そして、圧倒的に「理想とされる美」に近く、非の打ちどころのない人にも骨格診断は必要ありません。

例えば、いわゆる4大コレクションのランウェイに登場するスーパーモデルの皆さんは、だいたい身長が私(181cm)と同じくらいです。ところが、顔の大きさは半分、首の長さは1.5倍くらいです。もちろん、脚も私より長いです。

もはや「骨格◯◯」とか言っている場合じゃない人も、存在することは確かです。

先述にて「イデア論」を引き合いに出したわけですが、確かに完璧は存在しません。しかし、限りなく「既存の社会通念上の美」に対して近い存在ではあります。「完璧」に近ければ近いほど骨格診断を気にしなくて良くなることも、感覚として理解できるのではないでしょうか。

いくら骨格ストレートさんが相対的に「腰の位置が高い」といっても、スーパーモデルのような高さはありません。トップモデルたちの中にも首が長めだったりバストトップの位置が高かったりありますが、極論、私たちが「苦手なもの」と思っているものを着させても、“バチくそに”似合います。

そして、美を求めて研鑽することは、その行為自体が素敵です。ただ、どこかの段階でご自身を認めることを必ず行って欲しいと思います。これほどまでに恵まれた環境の国において、人と違うことを恐れて自己肯定感が低いままでは、何をしても報われません。

本当に重要なことは自己承認をすること。それが出来るのであれば、骨格診断とどのような距離感で付き合っても構わないのです。

プロが選ぶ、コーデが届く「airCloset」

 

それでも、骨格診断を気にする人へ|+αで知っておいてほしいこと

誰しもが、限られた自分、限られた機会、限られたセンス、限られた予算を持っています。そして、あなたの「好き」や「個性」の中から、総合的に選んでコーディネートをして、あなたの服装は決められます。

だからこそ、骨格診断だけでなく以下の点にも気を留めて、あなたの服装を選んでくださいね。

気にするなら「顔立ち」や「なりたい自分」とのバランスや取捨選択も考えて

イラストAC より引用

恐らく、多くの方にとっては「顔の傾向(タイプ)」も服装選びにおける重要な指針になると思います。というより、骨格よりも優先して考えた方が良いとすら思います。

骨格診断は、あなたに似合う雰囲気を選ぶための一つの軸、一つの手段でしかありません。ざまざまな要素や感覚を総合的に取り入れられることがコーディネートにとって重要です。

もちろん、上図も骨格診断と同様に“完璧”な指標ではありませんが、「骨格診断が~、骨格が~」で、迷子になった挙句、本来のご自身を見失っているような感じの方、あなたの周りにもいらっしゃいませんか。

骨格診断は自己承認のひとつの「手段」、距離感をキチンと定めて

Site Engine 公式HPより引用

ここまで、骨格診断についてつらつらと書いてきました。いずれにせよ、向いている人、向いていない人がいるコンテンツであるということは忘れないでください。

骨格診断は、上図の「イノベーター理論」でいうところの「アーリーマジョリティー」&「レイトマジョリティー」向きであって、消費者のためのコンテンツであるという意味合いも強いと思います。

これは、どの属性の人が良いor悪いとうものではありません。向き不向きがあって、それは体型的な特徴と、メンタリティとしての向き不向きがある。だからこそ骨格診断は難しいのです。

自分にレッテルを貼ることで、SNSで共感できる存在を探しやすくなりますよね。私たちは「何かに属すこと」で安心感を得られる生き物だからこそ、無理やりにでも「骨格診断されたがる」のかもしれませんね。

本当に何が似合うか分かる人や、今の自分が大好きで仕方ない人にとっても、そこまで必要なものではないのかもしれません。多くの人にとって、「自分は骨格ストレートだからこれが似合う(はずだ)!」という安心感を得る指標、つまり占いの結果が、骨格診断なのだと考えます。

もちろん、人間は社会的な動物ですし、皆が皆、自分に似合うものが分かるわけではありません。また、似合うと思い、満足感を得られるとするならば、それはそれで価値があるのだと思います。

私が書いたこの文章によって、一人でも「自分のスタンスはこうなんだ!」と、ひらめいていただけたら嬉しいです。

おしまい!

(少しでもお役立てられたなら、TwitterやWEBページに拡散していただけると嬉しいです!)

SHOLL(しょる)
皆さまこんにちは。“SHOLLWORKS”運営者のSHOLL(しょる)と申します。

1987年、山梨県甲府市生まれ。国内デザイナーズブランドを経て、ファッションコングロマリットのブランドでデザイナー職を経験。

現在は東京在住、デザイナー含め様々な事業に携わっています。
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