なぜ「ZOZO横丁」なのか? 札幌・すすきので仕掛ける“ファッション×飲み”の新体験
ファッションEC「ZOZOTOWN」が、サービス開始20周年という節目に、北海道・札幌の歓楽街すすきのを舞台に開催される「ZOZO横丁 SAPPORO」を発表しました。
2025年6月27日(金)から7月6日(日)までの期間、ZOZOTOWNで人気のEC専業ブランド計45ブランドが一堂に会します。
この試みは、一般的なポップアップストアの枠組みを超え、ZOZOTOWNの原点と未来が交差する実験的な場と推察します。

テクノロジーの代わりに「酒」という最も人間的なコミュニケーションツールを用いて、新たなファッション体験を創造しようとする、野心的で実に興味深い企画です。
原点回帰と未来への挑戦:ZOZOがリアルイベントに込める想い

今回の「ZOZO横丁」を理解するには、まずZOZOTOWNが歩んできた歴史を紐解く必要があります。
そこには、常に「オンラインとリアルの融合」を模索し続けてきた、一貫した哲学が存在します。
インターネットの「町」から始まったZOZOTOWN
今でこそ巨大なファッションプラットフォームとして知られるZOZOTOWNですが、その始まりはインターネット黎明期の2004年12月。
サイト上に仮想の「町(TOWN)」を作り、そこにユーザーが好みのセレクトショップを構える、というコンセプトにその名は由来します。

ユーザーは、まるでリアルな町を散策するように、インターネット上の様々な店を巡り、新たなファッションと出会う。この「架空の町」という概念こそが、ZOZOTOWNの原点でした。
(当時はイケてない、使いにくいといった声が多かったと思いますが、個人的には結構好きでした。)
今回の札幌・すすきのというリアルな区画に、期間限定でファッションブランドが軒を連ねる「ZOZO横丁」は、リアルタウンでの面白い世界観を創出する、興味深い試みでもあります。
テクノロジーとリアルを融合させてきたZOZOのDNA
ZOZOTOWNはこれまでも、ECの枠を超え、リアルな体験価値を追求してきました。
例えば、身体や顔の3D計測を可能にする「ZOZOSUIT」や「ZOZOMAT」、「ZOZOGLASS」といった計測テクノロジー。
あるいは、AIとプロのスタイリストが“似合う”を徹底解剖する超パーソナルスタイリングサービス「niaulab by ZOZO」もありました。

一方で今回、ZOZOが持ち出したのは、最新のテクノロジーではなく、「酒」と「横丁」という、極めて人間的でアナログな装置です。
これまでとは少し異なるアプローチが、却って興味をそそられる気がします。
ファッションと酒の融合点、札幌・すすきのという必然
なぜ、札幌・すすきのか。そしてなぜ「横丁」なのか。
そこには、この街が持つカルチャーと、ZOZOが提供したい体験価値との合致点があるからと考えます。
「横丁文化」が根付く街での新たな試み
札幌・すすきのは、古くから小さな店が軒を連ね、見知らぬ人々が肩を寄せ合い、酒を酌み交わす、「横丁文化」が根付く街です。
目的の店に向かうだけでなく、路地をそぞろ歩く中で偶然見つけた店にふらりと立ち寄る、といった予期せぬ出会いが生まれます。
この「横丁」が持つ、偶発性と親密なコミュニケーションの構造を、ZOZOはファッションの場に持ち込んでいると考えられます。
来場者は、お目当てのブランドを目指すだけでなく、ドリンクを片手に会場を巡る中で、今まで知らなかったブランドのブースに立ち寄り、その世界観に触れることができます。
まさに、デジタル上の「回遊」を、リアルな「はしご酒」の体験へと置き換えた、画期的なアイデア・・・なのかも。
「よい服。よい酒。よい出会い。」という体験価値
イベントのテーマ「よい服。よい酒。よい出会い。」は、本企画の核心を象徴しています。
普段は画面越しでしか見られないEC専業ブランドのアイテムを、実際に手に取り、試着できる喜び。 無料で提供される一杯の酒がもたらす、リラックスした雰囲気。
そして、ブランドの作り手とユーザーが、「飲みカウンター」を挟んで直接ファッションを語り合える、濃密なコミュニケーション。
これらが融合することで、単なる「購買」行為は、忘れられない「体験(こと)」へと昇華します。
ECの最大の課題である「リアルな熱量の欠如」に対して、人間的なアプローチで“戦ってみる”試みと、著者は推測しています。
「ZOZO横丁 SAPPORO」で体験できること
この実験的な空間では、20周年の感謝を込めた数々の「おもてなし」が用意されています。
実店舗を持たない人気45ブランドとのリアルな出会い
会場には、ZOZOTOWNで絶大な人気を誇る、実店舗を持たないEC専業ブランドが計45ブランド集結します。
中には、今回が初のポップアップ出店となるブランドも参加し、さらに、期間中に出店ブランドが3回入れ替わるため、いつ訪れても新しい発見がある仕組みです。
気に入ったアイテムは、その場でQRコードを読み取り、ZOZOTOWNで購入できます。
横丁気分を盛り上げる、20周年の感謝を込めた“おもてなし”
- ドリンク一杯、奢ります: 来場者には、ZOZO横丁オリジナルデザインのドリンクカバーと共に、好きなドリンクが1本無料で提供されます。
- ZOZO×ニッカウヰスキー: 札幌・すすきのの象徴である「ヒゲのおじさん」との異色のコラボが実現しました。 ユーモラスな屋外広告のほか、提供ドリンクには数量限定で「ブラックニッカ クリアハイボール缶」も登場します。
- スタンプラリー: 各ブランドブースを巡るスタンプラリーも実施します。 スタンプを3つ集めるとおつまみが、5つ集めるとZOZOTOWNで使えるクーポンがプレゼントされます。
「買う」から「こと」へ、ZOZOが描くファッションの未来
ZOZOは、企業戦略として「ファッションを『買う』なら ZOZO」から「ファッションの『こと』ならZOZO」への進化を掲げています。
今回の「ZOZO横丁」は、そのビジョンを具現化するための一貫と考えられます。
ECが当たり前になった現代において、またAIが生活に当たり前に普及するフェーズにおいて、ファッションは“人の楽しみ”として存在し続けます。
イベント概要
- イベント名:ZOZO横丁 SAPPORO
- 開催期間:2025年6月27日(金)~7月6日(日)
- 開催時間:12:00~20:00
- 開催場所:COCONO SUSUKINO 3F屋内広場(北海道札幌市中央区南4条西4丁目1-1)
- 入場料:無料 ※参加にはZOZOTOWNの会員登録(無料)が必要です。