こんにちは、しょる(@SHOLLWORKS)です。本日は中国のシューズブランド、フォクスセンス(foxsense)について。
基本的に、革靴はコストの差がモロに出ます。とはいえ、誰もが何万円も革靴に掛けたいとは思わないでしょう。一般的な数千円~1万円の予算の中で良い革靴を選びたいですよね。
そんな方にピッタリなのが、今回ご紹介するフォクスセンス。「数万円は出せないけれど、なるべく見た目が良いものがいい」という方にオススメできる革靴ブランドです。
フォクスセンスは主に、6,000円前後で購入可能な合皮のモデルと、1万円程度で購入できる本革のモデルがあります。
レビューの中にみられる「3万円くらいの高級靴に見えます!」というのは流石に言い過ぎだと思いますが、数千円~1万円の革靴の中で、かなり良いことは間違いありません。
というわけで、今回はプロのファッションデザイナー兼革靴マニアである私が、実際に購入してみた感想、長所や短所も含めても書かせていただきました。ぜひ、最後までご覧ください!
【2023年最新】フォクスセンスとはどんなブランド?特徴は?
フォクスセンスは、中国・福建省発の高コスパなシューメーカー
フォクスセンスは、中国の福建省・漳州市に本拠地を置くシューメーカー。Amazonが日本に普及した近年、あらゆるジャンルで中国のメーカーが日本市場に届くようになりましたが、フォクスセンスは革靴界の“そういう”メーカーです。
フォクスセンスは同価格帯の日本メーカーと比べると、高いコストパフォーマンスが特徴。Amazonは、まだまだちょっと使用しただけで壊れてしまうような粗悪品が多いと思います。しかし、フォクスセンスは安いのにまともで、廉価な日本メーカー以上に“ちゃんとしている”ブランド。
実際、2016年からAmazonで販売を開始したフォクスセンスは、あらゆるジャンルがひしめくAmazonの販売業者全体の中でもTop5,000に入る売り上げ規模の企業だそうです。一時的ならまだしも、粗悪品でそこまで売り続けることは難しいですよね。
日本の数千円~1万円程度の革靴ブランドの場合、人件費の問題&利益確保のために極端な低コストで作らせているため、品質的には非常に難しいことが多い価格帯です。
ブランドネームだけで非常に粗悪な作であったり、あるいは履き心地が良くても、パッと見がチープな靴にしか見えないものであったりするものばかり。見た目も履き心地も◎というブランドは、ほとんどありません。
その点、フォクスセンスは「見た目重視×1万円まで」という条件で探している人にとって痒い所に手が届くブランド。
フォクスセンスは怪しい?→日本語は若干不自然だが、モノはまとも
とはいえ、フォクスセンスの靴を「怪しい」と思う方も、それなりにいらっしゃるようです。
どのような「怪しさ」かというと、
- 販売ページの日本語が少し不自然
- 私たちが抱く中国製品へのステレオタイプ的イメージ
- 本当に6,000~1万円程度で、ちゃんとした靴を提供しているのか
という「怪しさ」です。
そこで、私が実際に購入してみましたが、結論、そこまでおかしいブランドだとは思いませんでした。
確かに、販売ページの日本語的には若干「怪しい」です。とはいえ、ネイティブではない人が書いた文としては上手だと思いますし、私たちのほとんどが他言語で何かを書いたらこのレベル以下でしょう。チャレンジの差でしかないと思います。
また、中国の製造業の「顔」は、もはや消費者に見えているか見えていないかの差でしかありません。ユニクロをはじめ多くの製品は中国製造ですし、私たちの生活はもはや中国製品なしでは成立しません。
一点だけ突っ込ませていただくとすれば、Amazonや楽天の商品ページの画像に「木製ヒール」と書かれていますが、「木」じゃなくて「合成ラバー」です。販売担当の方が、基本的な知識を有していないことは間違いありません。
靴底に木を使用してしまうとソールが返りにくく、足回りをピッタリと包む革靴では上手く歩けません。日本の浅沓(あさぐつ)や下駄も木製ですが、反り返らずに“カランコロン”と音を立てますよね。
こういった情報はブランドの信用に大きく関わるので、担当者の方に勉強して欲しいところ。とはいえ、こういった細かい部分に目を瞑れるのであれば、6,000円~1万円の革靴としてはオススメです。
【販売価格】合皮&本革で、多くの種類のモデルを展開【違いは?】
フォクスセンスは、多くの種類の革靴を合皮と本革の両方で展開しています。
展開されているモデルの価格帯(Amazonおよび楽天での販売価格)は、
- 合皮のモデル・・・6,000円前後
- 本革のモデル・・・1万円前後
となっています。
素材の違いは主に、
- 合皮の方が雨に強く軽量
- 本革の方が高級感&吸湿性に優れる
といった違いがあります。晴れの日用なら本革、雨の日用なら合皮がオススメ。
さらに、それぞれの素材で豊富なデザインを展開していることが特徴。木型もロングノーズ&ミドルノーズで分けられており多種多様です。
正直、「これはなかなか良い」という見た目と「これはないだろ!」という靴に分かれるので、オススメのモデルを後述させていただきました。
【2023年最新】プロ目線|フォクスセンスで買うべき靴5選
先述の通り、フォクスセンスは価格を考えると良い靴メーカーです。しかし、当然ながら作る側にとっても、6,000円~1万円の価格帯で可能なことは限られます。
例えば、代表的な革靴の種類であるストレートチップは、ステッチが多い&飾り穴がないので目立つ靴。「革質が良く、製甲工程が丁寧な靴でないと厳しい」という現実があります。
つまり、フォクスセンスの中でも、高見えしやすいものと厳しいモデルがあると心得てください。そこで、ここでは私がフォクスセンスで選ぶべきオススメモデルをご紹介します。
外羽根プレーントウ
まずは、外羽根プレーントウ。何も飾りがない革靴の総称で、迷ったらこれという一足です。革靴界の万能選手でサイズ調節のしやすさと汎用性が長所。
ストレートチップ同様に、シンプルでベーシックな革靴が欲しい方向けのデザインです。シンプルな無地のスーツから、ストライプやチェックなど幅広く合わせられます。
また、外羽根(靴ひもを通す鳩目のあるパーツが上から付けられている)タイプは、甲の高さに対してサイズ調節しやすいことが特徴です。紐靴で迷ったら、外羽根プレーントウを検討候補に入れてみると良いですよ。
シングルモンクストラップ
モンクストラップもステッチが見えにくく、さらに二列に掛けられているため高級感を演出しやすいモデルです。
ノーズがやや長めですので、どちらかというとスタイリッシュな人向け。どこの穴にバックルを通すかで、甲の高さに合わせて調節可能。
上述のプレーントウに比べると、ややカジュアルよりな靴。一般的にはビジネスカジュアルや、色のついたシャツ&スーツスタイルなどに良く合います。
コインローファー
コインローファーは純粋なビジネスシューズではないものの、スーツに合わせる靴としてメジャーな靴。ある程度、柄のあるスーツやジャケパンに合わせるのにオススメの靴です。
紐を結ぶ必要がないことから、loaf(怠ける)+er(人)で「怠け者」ということです。紐靴に比べるとホールド力が弱いものの、簡単に脱ぎ履き可能な点も、日本の風習に合っている靴。
また、紐&羽根がないだけでなく、ミシンのステッチがパンツの裾から覗かないことも特徴。つまり、「安物だな」と思われる箇所が少ないということです。
Uチップ
こちらのUチップは、あまり見ない珍しいモデル。
パッと見、イタリアの高級革靴ブランドによるハンドメイド感が出ています。程よくスーツにも合わせられるスタイリッシュさのバランスが面白い一足。
アッパーの見た目は文句なしですが、ソール部分に貼られたハーフラバー(前方向の黒い部分)が少し変なことが欠点。
具体的には、ハーフラバーのカットすべきカーブラインが「 ) 」ではなく、「( 」の方が良いです。
チェルシーブーツ(サイドゴアブーツ)
チェルシーブーツは、両サイドにゴムを張っていることが特徴のブーツ。元々は英・ビクトリア女王に献上したブーツが発端で、サイドゴアブーツともいいます。
現在の名前は、1950~60年代にかけてロンドンのチェルシー地区で人気を博したことに由来します。ビートルズなど著名なミュージシャンに愛用されたことで、知名度をグッと上げた種類の靴。
今では、ビジネスシーンでも履くことが定番化しました。また、雨の日用の靴としても最適。私もこの後に紹介している通り所有しています。
実際にサイドゴアブーツを購入してみた
フォクスセンスの革靴単体はこんな感じ
というわけで、実際にフォクスセンスのチェルシーブーツを購入してみました。
購入したのは合皮のモデルで、雨の日でも気軽に履けることが特徴。インソックが簡素になっているなどの点はありますが、全体的には6,000円とは思えません。
正面からの見た目です。触ると分かりますが、パッと見はかなり合皮の質感がリアル。ここまでパッと見の「変じゃない感」を、6,000円で実現できるのは本当にすごいと思いました。
ソール部分。合成ラバーソールで、滑り止めの溝やイミテーションステッチが見えます。この辺りは、よく見ると廉価な靴であることが分かる部分。
とはいえ、対滑性と防水効果は高い仕様になっていますので、革靴初心者の方にも安心できる設計になっています。
ソールの内振りは(そこそこ)ちゃんとしている上に、内側に貼られたスポンジのお陰でヒールの大きさも気になりません。足形にも依りますが、立っているとき&歩いているときの履き心地は悪くありません。
中身は問題ありませんでした
付属物は、上記の写真にある箱+不織布のシューバッグ、そして樹脂製の靴べらも同梱されていました。コストは掛けられないので高級感はありませんが、親切な設計だと思います。
また、靴のお手入れ方法や種類を解説した、初心者の方向けの説明書も同封されていました。革靴初心者の方は、購入したら読んでおいて損のない内容だと思います。
実際に履いてみた感想
実際に履いてみた印象や履き心地に関しては、
- ノーズは気持ち長め
- 足幅は標準〜やや細め程度
- 靴の中のスポンジがやや厚め&靴の返りが良い
という感じでした。3番目の項目は、合成ソール&セメンテッド製法であることも理由です。また、靴のインソックやライニングも本革風の合皮でできています。吸湿性はいまひとつですが、雨用の靴としては◎。
念のため言及しておくと、おかしな部材や臭いなどはしませんでした。ちゃんとした素材で作られています。一方、ヒールの芯は柔らかく、光らせるのは難しいですね。
「ここがあり得ない!」という致命的な項目がないので、スニーカーからはじめて革靴を履く人にもピッタリ。
疑問に答える|フォクスセンスのサイズ感は?どこで買える?
フォクスセンスのサイズ感は、一般的なスニーカー-0.5cm
フォクスセンスのサイズ感ですが、一般的なスニーカー-0.5cmが適正である確率が高いと思います。
私の場合、足形は、人差し指の長いギリシャ型で、踵~人差し指の先端までが27.5cm、親指までが27cmで足幅の一番長い部分が10cm。甲も足幅もサイズに対して標準的~やや細い程度で、あまり特徴がありません。
そんな私の場合、フォクスセンスは26.5cmがピッタリでした。
他メーカーの場合、スタンスミスで27.5cm、クラークスのデザートブーツやワラビーでUK8.5(US9)、チャーチの173で85F、チーニーの137ラストで8.5、ジョンロブの7000も8.5、スコッチグレインのオデッサやインペリアルは26.5E、リーガルが26.5cm、その他大体の英国靴で8.5サイズです。
余談ですが、フォクスセンスをAmazonで購入する場合“Try before you buy”も(サイズによっては)使えます。サイズ違いや色違いを7日間無料で試着でき、さらに送料と返送料は無料というもの。
届いてから支払いをすることが可能ですので、サイズ感でミスることが実店舗かそれ以上に少ないですよ。
【販売店舗】フォクスセンスは実店舗なし、Amazon&楽天市場にて販売
フォクスセンスはコスパに全振りした&中国のブランドということもあり、日本で実店舗はありません。
販売は、Amazonと楽天市場、そしてQoo10という、川口春奈さんが「メガ割」のCMをやっていることで有名な韓国のショッピングモールでも取り扱いがあります。
この中で、ビジネスシューズを購入するならAmazonか楽天がオススメです(Qoo10は少し高め)。
【リーガル?】フォクスセンスじゃなかったら、どんな1万円で革靴がオススメ?【テクシーリュクス?】
それでも、どうしてもフォクスセンスじゃないブランドが良い!という方もいらっしゃると思います。
そこで、価格帯的に競合となるメーカーもご紹介します。フォクスセンスと比べた際の長所・短所も解説しているので、比較の参考にしてくださいね。
【フォクスセンスvsリーガル】1万円の価格帯ならフォクスセンスの方が良い
まず、比較対象となりがちなのが、日本を代表するリーガルというブランド。非常に知名度が高くポピュラーで、「日本の靴ブランドといえばリーガル」という存在です。
リーガルの場合、様々な価格帯の靴を展開しています。廉価なもので1万円、高額なものになると牛革のもので8万円程度。フォクスセンスの比較対象となるのは1万円の廉価なモデルになりますが、この価格帯であればフォクスセンスの方がオススメ。
リーガルで購入すべきは定価2万円台後半~のモデル。詳しくは、下記記事にて解説していますので、リーガルに興味のある方はぜひ覗いてみてくださいね。
「テクシーリュクス」は、スニーカー的で履き心地が良い日本ブランド
アシックス傘下のブランドであるテュクシーリュクスは、Amazonでフォクスセンスと人気を二分している高コスパブランド。日本での売り上げは、テュクシーリュクスの方が上のようです。
フォクスセンスと比べて価格が安く、本革のモデルでも5,000円前後の価格帯で購入可能。そして、テュクシーリュクスは軽量でスニーカー的な履き心地が特徴。
一方、アッパーの革質は低め&ソールの裏の見た目がウィークポイント。
カッコよさを選ぶならフォクスセンス、歩きやすさ&本革の安さを選ぶならテュクシーリュクスを選んでくださいね。
アンダー5,000円ならGUのリアルレザーシューズも検討候補に
GU より引用
あるいは、GUもリアルレザーシューズを展開しています。なんと、3,990円で本革の靴にトライできるという、驚くべき価格設定。
とはいえ、GUのリアルレザーシューズは全体的にスペックが不足ぎみです。見た目はフォクスセンスの方が上、歩きやすさはテュクシーリュクスの方が上で半端なことも否めません。
アンダー5,000円で選ぶならGUがオススメですが、下記記事ではGUの革靴と共に、1万円ちょっとで購入できるオススメの革靴もご紹介しています。併せて参考にしてくださいね。
見た目の高級感なら、ブリドレンというインドのシューズブランド
Bridlen 公式HPより引用
あるいは、ブリドレンというインドのシューズメーカーの「ブレイクライン(要はマッケイ製法)」も、本革×1万円余の価格で本格的な靴をお探しの方は検討してみても良いでしょう。
むしろ、費用に対する高級感という点では、フォクスセンス以上だと思います。
今日は友人の結婚式に行ってきます。#ブリドレン のシューズ、コートはだいぶ前の #ユニクロU、スーツは #サルトリアイプシロン
— しょる | めちゃくちゃ詳しいファッションブロガー (@SHOLLWORKS) March 13, 2021
映ってないけどシャツは #フェアファックス、ネクタイは #リングヂャケットナポリ の #アーサーハリソン 生地、ネクタイピン&カフリンクスは #一銀工芸社 #shollworks pic.twitter.com/AwUWINDSI0
↑1万円ちょっとでこの見た目は、ブリドレンにしか出来ないと思います。本革にレザーソール、イミテーションでないマッケイ縫いと、キチンとした本格的な造りの靴。
ただし、ブリドレンは非常に甲が低いので、甲高幅広の方では合わないと思います。
かなり合う人が限られるので、足が薄くて普通の靴では浮いてしまうくらいの方なら購入候補にして良いと思います。
まとめると、フォクスセンスは、
- 履き心地の柔らかさはテクシーリュクスに劣るが、見た目のカッコよさは上
- GUのリアルレザーシューズよりも見た目がカッコよく、値段もやや高め
- 見た目の高級感はブリドレンに劣るが、サイズの合わせやすさは上
という、「いずれの要素もそこそこ」というバランスの良さが長所。
標準的な日本人の足型でも合いやすいという点や、Amazonや楽天で買いやすい点も、オススメできる理由です。
特に、コスパの高い革靴は欲しいけれど、お手入れ方法が分からなかったり、とりあえずチャレンジしてみたい初心者の方には特に向いていると感じました。その他、革靴フリークの方でも、合皮のモデルを雨用の靴として選択肢に入れても良いかもしれません。
ぜひ、比較検討してた上で、あなたの革靴選びの参考にしてくださいね!
おしまい!