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SHOLL(しょる/今宮章宏)
ファッションブロガー・デザイナー・服飾評論家
1987年生まれ。国内大手アパレルメーカーのデザイナーズブランドを経て、伊ファッション・コングロマリットでデザイナー職を4年間経験。

現在は日本の服飾産業を振興するため、SHOLLWORKSを運営する傍ら、ファッション分野を中心にマーケティング支援も行っています。

素材の機能性からパターンまで精通し、シンプルかつ素敵な服装の普及に努めています。

リングヂャケットマイスター「No-286EH/S-178H」×南米ウール、日常に着たいグレースーツの理想形

※当サイトのリンクの中には広告が含まれます。

リングヂャケットマイスターの南米ウール製グレースーツ。幅広のラペルと肩周り

こんにちは、しょる(@SHOLLWORKS)です。

突然ですが、私はグレーのスーツが大好きです。

同じく定番のネイビーと比べても、グレーのスーツは落ち着きと大人っぽさ、シックな印象を与える点が魅力です。

今回は、そんな「グレーのスーツ」に対して、

  • 南米ウールの強いクリンプ(縮れ)による柔らかさと、ハリ・コシによる耐久性
  • 既製スーツ屈指の仕立てであるリングヂャケットマイスターの中で、クラシックでシックな「No-286/S-178」モデル

の、組み合わせがハマりすぎていたので、その購入レビュー回です。

SHOLL

南米ウールという、着心地が良く、日常使いにぴったりな生地感と、仕立ての良いグレーのスーツという大人の一着。
個人的に非常にハマる組み合わせでしたので、とても良い買い物ができたと思っています。

著者「SHOLL(しょる/今宮章宏)」プロフィール

1987年生まれ。国内大手アパレルメーカーのデザイナーズブランドを経て、伊ファッション・コングロマリットでデザイナー職を4年間経験。現在は日本の服飾産業を振興するため、SHOLLWORKSを運営する傍ら、ファッション分野を中心にマーケティング支援も行っています。

素材の機能性からパターンまで精通し、シンプルかつ素敵な服装の普及に努めています。


※当サイトのコンテンツは著者の知識と専門性、情報に基づき、完全に独自に制作しています。PRの有無に関わらず、メーカーはコンテンツや評価の決定に一切の関与をしていないことを宣言します。なお、この記載は景表法第5条第3号を遵守するためのものです。

目次

リングヂャケットマイスターの南米ウール製グレースーツ「No-286EH/S-178H」を実物レビュー

著者私物の26AWリングヂャケットマイスター「No-286/S-178」グレースーツの全体

早速、今回購入したリングヂャケットマイスター「23-24マイクロン チャコールグレースーツ NO.286EH/S-178H」が写真のものです。

2026年秋冬シーズンの新作で、「南米ウール」を使った中間~やや濃いめくらいのグレースーツです。

「南米ウール」は2025年秋冬にも「No-253/S-172」モデルで展開されていましたが、2026年秋冬はよりクラシックなモデルである、「No-286/S-178」モデルで展開されています。

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本体価格は275,000円(税込)で、現在のリングヂャケットマイスターとしては真ん中(~やや低め)くらいの価格帯です。
今回は袖出しとハンド本切羽、裾上げもお願いしたので、トータルで29万円ちょっとでした。

幅広のラペルと下り気味のゴージが、グレーに似合うクラシックな顔つき

著者私物のリングヂャケットマイスター製グレースーツ。幅広のラペルと下り気味のゴージライン

「NO.286EH」モデルは何よりも、ラペルの大きさとゴージラインの角度が印象的です。

ゴージラインとは、上襟と下襟のつなぎ目にできる線のこと。

幅のあるラペルと下り気味のゴージによって、胸元が落ち着いた印象になります。

ラペルが細く、ゴージラインが高いとシャープな印象を与えますが、「286」は、よりゆったりと構えたような顔つきで、大人向けのディテールです。

また、クラシカルなグレーの生地感と、このクラシカルで落ち着いたディテールが非常にマッチしています。

個人的にマイスター「NO.286EH」と、こういう生地の相性は特に良いと感じています。

さらに言うと、マイスターラインはマニカカミーチャ(雨降り袖)を採用しているのも特徴です。

ここが「南米ウール」のような柔らかくも適度に弾力性がある生地だと、見た目に現れるギャザーの配分バランスが良く、マイスターラインならではの仕立てがよく映えています。

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私のように顔立ちががっちりしていると、細いラペルよりも、このくらい幅がある方が全身のバランスを取りやすいと感じます。
クラシカルな生地とクラシカルなディテールのバランスが良くとれています。

上襟の「殺し襟」と、首に沿うフィット感

ジャケットを開いて見た上襟のカーブと首周りの仕立て

見た目に加えて好きなのが、首周りのフィット感です。

以前の「NO.286EH」モデルのレビュー(下記記事)でも触れましたが、私にはこのモデルの首に沿う感覚がとても心地良く感じられます。

その形を支えているのが、上襟を首の曲線に沿うよう立体的に整える「殺し襟」の仕立てです。

アイロンによるクセ取りなどで、平らな生地に丸みを与えていきますが、「NO.286EH」はこの殺し襟の分量がかなり優秀です。

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首に沿って襟が立ち上がる「のぼり」の部分が整うと、後ろ襟が浮きにくく、首から肩へ自然につながる見え方になります。
こうした形と自分の体型が合ったときの着心地は、既製スーツを選ぶ大きな楽しみです。

フル毛芯の端正さがありながら、着心地は柔らかい

著者私物のリングヂャケットマイスター製グレースーツ。ジャケットの総裏と内ポケット、ブランドタグ

リングヂャケットマイスターは基本的に、総毛芯(フル毛芯)の仕立てです(春夏用の軽量モデルや、繊細で摩擦や滑りに弱い生地は半毛芯にしていることはあります)。

毛芯は表地の内側で胸元や前身頃の形を支える芯地で、総毛芯では前身頃の裾近くまで入ります。

さらに、リングヂャケットマイスターの場合、総毛芯の中でも接着芯を採用している箇所が非常に少なく(ポケット周りなど、一部のどう考えても接着した方が機能的に優位性がある箇所は接着芯です)、柔らかさと耐久性、立体感による高級感を生んでいます。

しっかりした構造と聞くと「硬い着心地」を想像するかもしれませんが、生地と芯地のハリ・コシを感じさせながら、着ると柔らかく、絶妙に着心地が良いです。

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胸元の立体感はきちんと出ているのに、柔らかく着心地も良いため、見栄えのするスーツでも日常的に着られる一着になっていると思います。

ボタンの小さな表情にも、所有する楽しさがある

南米ウールの織り目と、淡い筋模様が入ったジャケットのウエストボタン

「南米ウール」の生地と本水牛ボタンを寄って見ると、遠目の無地とは違う表情も楽しめます。

明暗のある織り目の上に、濃色のボタンがよくなじんでいます。

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ウエストボタンが綺麗な模様だとテンション上がりますよね。
今回のボタンには淡い筋がすっと入っていて、良い個体だと思いました。

「S-178」は腰周りにゆとりがあり、裾へすっきりつながる2プリーツ

著者私物のリングヂャケットマイスター「S-178」グレーパンツの全体と2アウトプリーツ

組下の「S-178」は、2アウトプリーツのパンツです。

腰周りとワタリにゆとりを持たせ、膝から裾へ向けて細くなるテーパードシルエットになっています。

上半身を細く絞りすぎない「NO.286EH」に対して、パンツも太ももを締め付けるような細さではありません。

S-178パンツの2アウトプリーツ、ベルトループと腰周り

ウエスト~膝付近まで。

2タックになっているのが「S-178H」の特徴で、ここもクラシカルな印象を与えるディテールです。

とはいえ、適度なテーパードラインでダボダボするような感じではありません。

私物のS-178パンツの裾。ダブル仕上げとセンタークリース

私物の裾はダブル仕上げにしています。

この生地×このモデルの裾は否応なしにダブルです。

少し重みのある表情が加わることで、ジャケットの幅広ラペルとも釣り合うバランスです。

SHOLL

「S-178H」は裾幅が細めなのも特徴です。
スタンダードフィットという名の全体的にやや細めな「S-172」とは、全体的なシルエットが異なります。

「23〜24マイクロン」×「ウエイト350g」とは思えない柔らかさと着心地

今回のスーツに採用されている「南米ウール」の原毛は23〜24マイクロン、生地のウエイトは350gです。

数字を見ると、太めの毛による重めの秋冬向けのスーツを想像しますが、実際に着ると、その柔らかさに驚かされます。

生地には厚みとハリ・コシがありながら、身体になじむしなやかさがあって着心地がとても良い点が魅力です。

やや秋冬向けの生地ですが、ウール特有のチクチク感は気になりませんし、適度なふくらみと弾力を感じる生地で、着たときの印象は思いのほか優しいです。

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柄的に結婚式などの「ダークスーツ」としての運用は難しいですが、日常のビジネスやちょっとした「良い所」へのお出かけには最適です。
靴やシャツでフォーマル度を合わせられる守備範囲の広さも魅力です。

サイズ感は「A体」が目安、私物はサイズ50

サイズ感としては、「No-286/S-178」は、いわゆるA体に近い標準体型の方に向くモデルです。

リングヂャケットは全体的に細身な傾向にありますが、幅広のラペルや2タックのパンツというクラシカルな様相に、胸・胴周りの適度なゆとりを組み合わせています。

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同じくマイスターラインの定番モデルである「No-253EH」はチェストが大きめでウエストがA体未満なので、ご自身の体型に近い方を選ぶと良いと思います。

私物の品質表示。品番RT026F63B、サイズ50、表地毛100%、裏地と袖裏キュプラ100%、日本製

ちなみに、私(181cm/72kg)はサイズ50です。

48も着られます(ウエストなどは48の方が合います)が、上半身、特に肩幅と着丈が50で、要所にややお直しを入れて着ている感じです。

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全体バランスを崩さず、既製スーツをセミオーダー化して着ている感じです(もっと言えば、そこまでしたいくらいお気に入りだったということです)。

身長や体重が同じでも、胸囲や肩幅、脚、腕の長さによって合うサイズは変わります。

とはいえざっくり目安として「大体、何cmくらいの人に何サイズが合うの?」と思う方には、リングヂャケットのサイズ感を解説した記事で紹介しているので、参考にしてみてください。

なぜ「南米ウール」なのか?産地の背景と、ハリ・コシのある柔らかさ

ここからは、今回の組み合わせでもう一つの主役になっている「南米ウール」について。

ウールと聞くとオーストラリアやニュージーランドを思い浮かべる方も多いと思いますが、南米にも、服づくりで選ぶ理由のある羊毛が育っています。

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南米ウールの感触における背景を知るには、原毛の〇〇マイクロンだけでなく、動物の種類や育つ土地、人の手による管理にも目を向けると面白いです。

アルパカやビキューナなど、南米は多彩な動物繊維の産地

そもそも南米は、羊毛だけの産地ではありません。

アンデス高地には、古くから家畜として飼われてきたアルパカがいますし、高級服地で知られるビキューナも暮らしています。

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南米の動物繊維には、土地と動物に応じた異なる背景があります。
「南米ウール」もその一環として、各地に応じた特徴や管理体制があります。

広い草原と多様な気候が、羊毛づくりの土台になっている

「南米」というと暑い土地を想像しがちですが、大陸の南部は南極にも近く、冷涼な羊毛産地が広がっています。

南米と一括りにしても、北部と南部で全く環境が異なるので、南米ウールの中でも背景が分かりやすい、アルゼンチン南部の「パタゴニア」地域(ブランド名ではないですよ!)やウルグアイを例に見てみましょう。

パタゴニア地域:乾いた草原で育つ羊と、弾力のあるウール

アルゼンチン側のパタゴニア草原は、雨が少なく、乾燥して冷たい風が吹く広大な土地です。

背の低い草や低木が広がり、その土地に適した羊を放牧して羊毛を生産しています。

この乾燥には、羊毛づくりにとって利点があります。

羊の毛は、雨で濡れた状態が長く続くと、細菌によって変色したり、繊維が傷んだりすることがあります。

雨が少なく、毛が濡れ続けにくい環境は、こうした湿気による品質低下を避けるうえで総じて有利な気候といえます。

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たとえば、パタゴニアを代表するプンタウールはノンミュールジングという生産背景もあります。
過酷な気候が、羊に被害を与えるハエ(羊に産卵し、幼虫が皮膚などを傷める「フライストライク」)などの被害を抑えています。

「プンタウール」とは

「プンタウール」は、南米南端で採れる羊毛の呼び名で、名前は、チリのプンタ・アレーナス港に由来しています。

毛の細いメリノ種と、毛足の長いリンカーン種を交配したコリデール種から採れる羊毛で、長い繊維と深いクリンプによる、弾力とコシに特徴があります。

ウルグアイ:温和な気候と草地を生かし、羊を健やかに育てる

一方、ウルグアイには、比較的温和な気候と、年間を通した降雨、なだらかな草地があります。

羊と牛を一緒に放牧する牧畜が広く行われている国ですが、草を食べながら広く屋外で過ごせるという「牧草を食べて健やかに育つ環境」が、毛の強さにも関わっています。

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羊毛は成長中の栄養状態によって太さが変わり、その変動が大きいと、毛の途中に切れやすい部分ができます(人間の毛と一緒です)。
季節ごとの草の状態を見ながら栄養を確保することが、太さの急変を抑え、丈夫な繊維を育てる助けになっています。

ウルグアイの羊毛産業を紹介する「Uruguay Wools」でも、屋外での放牧に加えて、水場や日陰、風雨を避ける場所の確保を挙げています。

豊かな草地を使い、羊が無理なく育つように人が手をかけるという飼育風景まで想像すると、南米ウールに感じる魅力も少し深まります。

育てた毛の良さを、品種改良と選別で服づくりにつなげる

また、ウルグアイでは、メリノやコリデール、ポルワースといった種の羊を育て、用途に合う羊毛を生産しています。

さらに、

  • SUL(Secretariado Uruguayo de la Lana):羊の育種、飼育指導、毛刈りの研修、羊毛の品質検査などを担う専門団体
  • INIA(Instituto Nacional de Investigación Agropecuaria):農業・畜産の技術を研究し、生産現場へ普及させるウルグアイの公的研究機関。

などが連携して羊の育種に取り組み、原毛の太さとそのばらつき、色、植物片の混入なども調べ、管理も徹底しています。

さらに、毛刈りと原毛の取り扱いに対して、「Grifa Verde(グリーンラベル)」という認証の仕組みも、羊毛の品質の確保や向上に寄与しています。

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一口に「南米ウール」といってもさまざまですが、放牧の風景と、狙った服地へ仕上げるための生産体制が確立されている点が魅力です。

オーストラリアやニュージーランドではなく、南米を選ぶ理由は?

多くの方のイメージにあるとおり、ウールといえばオーストラリアやニュージーランドなどが有名です。

その中で南米産がどう選ばれているかは、毛糸メーカー・横田の「DARUMA メリノウール」の毛糸が分かりやすい例です。

この糸では、南米産メリノの強いクリンプをふくらみに、オーストラリア産メリノの白さを発色に活かし、両者を組み合わせています。

オーストラリア産にも、南米産にも、メーカーがあえて取り入れたい持ち味があるというわけです。

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こうした原料の選び方は、今回、私が惹かれたスーツの生地感にも通じます。
日常使いしたくなるしっかりした手応えがあり、着ると柔らかい弾力のある生地が、リングヂャケットマイスターの胸元やラペルの立体感によく合っています。

終わりに|シックでクラシカル、超良いグレースーツだった

今回のリングヂャケットマイスターのスーツは、

  • 「No-286/S-178」のモデル
  • 「南米ウール」の生地感
  • グレーという色

が、同じ方向を向いているところに惹かれました。

落ち着いていて、クラシカルで、カッコいい。

しかも、総毛芯と生地のハリ・コシがつくる端正な姿を、柔らかな着心地で楽しめる良スーツでした。

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日常に着たい色と生地を、好きな仕立てで楽しめる。
こういう組み合わせに出会うと、ときめいてしまいますね。

おしまい!

(少しでもお役に立てたなら、SNSで拡散していただけると嬉しいです!)

SHOLLWORKS(ショルワークス)>TOPへ

本当に良い、ブランドを。

SHOLLWORKSは、プロの目線からファッションに関する情報と価値観をお届けします。

著者私物のリングヂャケットマイスター製グレースーツ。ジャケットのラペルと肩周り

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1987年生まれ。国内大手アパレルメーカーのデザイナーズブランドを経て、伊ファッション・コングロマリットでデザイナー職を4年間経験。現在は日本の服飾産業を振興するため、SHOLLWORKSを運営する傍ら、ファッション分野を中心にマーケティング支援も行っています。

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