究極に黒い?ステュディオ・ダ・ルチザンの「京黒紋付染ジーンズ」をレビュー

こんにちは、しょる(@SHOLLWORKS)です。
今回は、国産デニムブランドの雄「ステュディオ・ダ・ルチザン」(通称ダルチザン)の、京都の伝統的な黒染め技術「京黒紋付染(きょうくろもんつきぞめ)」によって染められた、その名も「京黒紋付染ジーンズ」を紹介します。
ダルチザンは言わずと知れた日本国内でも最高峰のレプリカジーンズブランドであり、ハイブランドのジーンズと比べても一線を画す品質。
定番品はもちろんのこと、毎シーズン展開される日本の伝統産業やコンテンツとのコラボレーションもラインナップの見どころです。

世に数多く存在する黒ジーンズですが、「京黒紋付染」という伝統産業と、その技術を現代に伝える株式会社京都紋付による御黒染司(おんくろぞめつかさ)によって染められた黒ジーンズの魅力について紹介します。

日本の高品質なデニムと日本の伝統産業が融合することで、「西洋のものを日本のものにする」ダルチザンらしい魅力を放っています。
それでは早速、見ていきましょう!
\ダ・ルチザンの購入はこちら/
ステュディオ・ダ・ルチザンとはどんなブランド?

ステュディオ・ダ・ルチザン(Studio D’Artisan、以下ダルチザン)は、1979年に大阪で創業した国産デニムブランドです。
創業者の高木重治氏は、60~70年代のアメカジブームで廃れていた旧式のシャトル織機を日本で再稼働させ、ヴィンテージの風合いを持つセルビッジデニムを作り上げました。
日本で最初にセルビッジデニムを使ったジーンズを作ったブランドとも言われており、まさにレプリカジーンズ(ヴィンテージ復刻デニム)の草分け的存在です。
ダルチザンのものづくりは一言でいえば「メチャクチャ真面目」です。
糸づくり・染め・織り・縫製など全工程に職人技を凝縮し、日本の伝統産業やコンテンツとのコラボレーションにも積極的な姿勢が特徴です。
実際、徳島県産の天然藍による正藍染め※や、奄美大島の泥染め、茜染め、柿渋染め、そして、今回ご紹介する京都の黒紋付染といった、他ではあまり見ない染色技法を取り入れたモデルも展開しています。
※ 正藍染め…天然の藍(タデ藍)で糸を染め上げる伝統的な手法。化学藍では出せない深みや経年変化が楽しめる。

こうした独自路線のアイテムは「日本でしか生み出せないジーンズ」として同ブランドの大きな魅力になっています。
ステュディオ・ダ・ルチザン「京黒紋付染ジーンズ」の実物レビュー


Image Photo by STUDIO DARTISAN
ステュディオ・ダ・ルチザンの「京黒紋付染ジーンズ」の実物レビューをします。
モデル名は【D1864】、定価は当時39,380円(税込)でした。

「京黒紋付染ジーンズ」は、喪服の黒染めで知られる京都の老舗「株式会社京都紋付」の御黒染司という黒染め加工をデニムに落とし込んだ“藍下×墨黒”の二層染色がポイントです。

これは藍やインディゴで芯を作り、その上から黒を重ねることで履き込むうちに「黒の奥行きと藍のにじみ」が混ざる立体的な色合いになるためです。

後ろはこんな感じ。
ベースはダルチザンのSD-108で、デニム生地もステッチも真っ黒に染められています。
(詳しくは後述しますが、)腿周りはややゆとりがあり、裾に向かってテーパードするやや細身のジーンズです。

御黒染司(おんくろぞめつかさ)の文字が入った特別なパッチが取り付けられています。
御黒染司の字と、中央には「心」と書かれた京都紋付の家紋が配されています。

もちろんダルチザンなので、ステッチの丁寧さも素晴らしいです。

セルビッジデニムの耳まで真っ黒に。
よく見ると生地にムラ感があるのが分かりますが、これは日本初の国産力織機である「豊田自動織機G3」によって織られることで、奥深い表情が生まれるためです。
現代のシャトルは生産性重視に改良を重ねることでG3と比べ遥かに高速で織ることができますが、その分、均質化される(=デニムの表情に乏しい)うえに糸も傷つきやすいという欠点もあります。

一見真っ黒なジーンズですが、織り、染色、縫製のあらゆる点においてこだわり抜いた、ストーリー性とクオリティを兼ね備えた一本です。
\ダ・ルチザンの購入はこちら/
京黒紋付染ジーンズ【D1864】と京黒紋付染本藍ジーンズ【D1899】の違い
ダルチザンの近年発売された「京黒紋付染ジーンズ」には、実は2種類の商品が展開されています。
違いは主に「ベースのデニム(織り・染料・オンス)」と「ベースモデルのシルエット」です。

価格も同程度(【D1864】が39,380円(税込)、【D1899】が40,480円(税込))で、どちらが良いとかではありません(発売年の差もありますからね)。
下記を参考に、よりご自身に合うと思う方をチョイスすると良いと思います。
ベース生地(オンス/性格)
まずはデニム生地の違い。
【D1864】は14oz 右綾セルビッジ(豊田自動織機G3)を使用

セルビッジデニム
【D1864】は14oz右綾セルビッジを使用し、豊田自動織機G3によって織られた生地が特徴です。
G3は豊田自動織機(車のトヨタグループにおける本流企業)が開発した日本初の国産力織機とされるシャトル織機で、公式に「ざらつき・糸ムラ・武骨さ」がデニムの表情を生み出します。
染め以外でこのジーンズを特徴づける大きな要素のひとつで、現在の製造工程では考えられないほどにゆっくりと織るため綿糸を傷めにくいのも魅力です。
【D1899】は13.5ozの本藍セルビッジデニム
一方、【D1899】は藍下(あいした)に特徴があり、下地を本藍で染めたうえで京黒紋付染を行っている点が特徴です。
【D1864】も【D1899】も黒の染色が若干抜けた後も深みある暗色の変化を楽しめますが、【D1899】は天然藍を使用することで一層のこだわりが盛り込まれています。
ベースモデルとシルエットの差
また、【D1864】と【D1899】はベースとなるモデルも異なり、サイズ感やシルエットも異なります。
【D1864】はSD-108モデルがベース
| サイズ | ウエスト | 股上 | 股下 | わたり | 裾幅 |
|---|---|---|---|---|---|
| 27 | 69.5 | 25.5 | 83.5 | 28.7 | 15.5 |
| 28 | 72.0 | 26.0 | 83.5 | 29.4 | 15.8 |
| 29 | 74.5 | 26.0 | 83.5 | 30.1 | 16.0 |
| 30 | 77.0 | 26.5 | 83.5 | 30.8 | 16.0 |
| 31 | 79.5 | 26.6 | 83.5 | 31.9 | 16.5 |
| 32 | 82.0 | 26.8 | 84.2 | 32.0 | 17.0 |
| 33 | 84.5 | 27.2 | 84.5 | 33.0 | 17.5 |
| 34 | 87.0 | 27.4 | 84.5 | 33.3 | 18.0 |
| 36 | 92.0 | 27.8 | 84.5 | 35.0 | 19.5 |
SD-108は太すぎず細すぎない「リラックステーパード」系で、腰回り〜太ももにはほどよいゆとりがありつつ、膝下から裾にかけて自然に絞れていくシルエットです。
股上は深すぎないバランスで、ワーク寄りになりすぎず、革靴やブーツでもスニーカーでも合わせやすい“万能型”として使えます。
【D1899】はSD-100モデルがベース
| サイズ | ウエスト | 股上 | 股下 | わたり | 裾幅 |
|---|---|---|---|---|---|
| 28 | 72.0 | 28.0 | 85.0 | 29.2 | 18.0 |
| 29 | 74.5 | 28.0 | 85.0 | 29.9 | 18.5 |
| 30 | 77.0 | 28.5 | 85.0 | 30.6 | 19.0 |
| 31 | 79.5 | 28.5 | 85.0 | 31.3 | 19.5 |
| 32 | 82.0 | 29.0 | 85.0 | 32.0 | 20.0 |
| 33 | 84.5 | 29.0 | 85.0 | 32.7 | 20.5 |
| 34 | 87.0 | 29.5 | 85.0 | 33.4 | 21.0 |
| 36 | 89.5 | 30.0 | 85.0 | 34.5 | 21.5 |
一方、SD-100は、全体的には細身寄りの「テーパードフィット」ですが、太もも〜膝はすっきりしつつ、裾に向けてすとんと落ちるストレートシルエットを描きます。
股上は少し深めに設定されていて、SD-108(リラックステーパード)よりも裾幅を広めにしているため、ブーツなどボリュームのある靴でも裾が窮屈に感じにくい設計です。
モデル比較まとめ|【D1864】vs【D1899】こんな人はこっち
【D1864】が向いている人
- ざらつき・糸ムラ・武骨さなど、デニムらしい表情をしっかり楽しみたい(G3の14oz右綾セルビッジが魅力)
- 黒ジーンズでも生地の凹凸感など奥行きを重視したい
- リラックステーパードの太すぎず細すぎないバランスが好みで、革靴~スニーカーまで合わせる靴が幅広い
➡総じて「織り(生地の表情)」と、万能なテーパードを優先したい人向けです。
【D1899】が向いている人
- 黒の奥行きはもちろん、下地に“本藍”という背景・ストーリーまで含めて選びたい(13.5oz本藍セルビッジ)
- SD-100(テーパードフィット)の設計が合いそう(股上がやや深めで、穿き心地の安心感が欲しい)
- 裾幅が広めの方がしっくり来る(ブーツなどボリュームのある靴をよく履く/裾が窮屈なのが苦手)
➡総じて「染め(下地のこだわり)」と、足元のボリューム感に寄せたい人向けです。

私の場合、181cm/72kgでやや筋肉質な細身、かつ腿がしっかりめで足首が細めなので【D1864】を選んだという感じです。
どちらも素晴らしいジーンズなので、ご自身に合う方を選ばれると良いと思います。
\ダ・ルチザンの購入はこちら/

「京黒紋付染」とは?その伝統産業と「御黒染司」について

Image Photo by 京黒紋付染
京黒紋付染によって生まれる「黒」は、ただの黒ではありません。
京都の伝統技術である「京黒紋付染」は、礼装(黒留袖・喪服など)にふさわしい“沈むように深い黒”を狙って仕上げる黒染め技術です。
京黒紋付染とは?「礼装の黒」をつくる京都の黒染め
黒地に家紋が染め抜かれた「黒紋付」は、格式高い礼装として知られます。
京黒紋付染(きょうくろもんつきぞめ)は、まさにこの黒紋付を染め上げるための技術の系譜で、“黒の深さ”と“品の良さ”を両立させるのが特徴です。
黒が「のっぺり」しない「藍下黒」「紅下黒」という考え方
京黒紋付染の世界には、黒を一発で“塗る”のではなく、下地をつくってから黒を重ねることで黒に風格を出す考え方があります。
- 藍下黒(あいしたぐろ):下地に藍を仕込み、青みを感じる深い黒へ。
- 紅下黒(べにしたぐろ):下地に紅系のニュアンスを入れ、わずかに柔らかい黒へ。
この「下地+黒」は、今回のダルチザンの京黒紋付染ジーンズも同様の段階を踏むことで、穿き込みで表情が出る(黒が抜けても茶色っぽく転ばない)理由のひとつになっています。
メーカー「京都紋付」とブランド「御黒染司(おんくろぞめつかさ)」
京黒紋付染を現代に伝える代表的な担い手が、「株式会社京都紋付」です。
もともとは黒紋付の染めで培ってきた職人技を、現代の衣服(洋服)にも応用し、“より深い黒”を狙う独自加工として展開しているのが御黒染司(加工・技術の呼び名)という位置づけです。

「ただ黒くする」ではなく、「黒を極める」方向性が御黒染司の面白さです。
個人の洋服を黒染めできるサービスも展開
京都紋付は、コラボ品や着物の染め/染め替えだけでなく、手持ちの洋服を“送って真っ黒に染め直す”サービスも展開しています。
KUROZOME REWEAR FROM KYOTO(k-rewear)として展開され、たとえば、
- Tシャツ:褪せた黒を締め直したい/白Tを黒に振り切りたい。
- シャツ:襟やカフの使用感が気になってきたものを、黒で“別物”に。
- ジャケット:黒の立ち上がりが弱くなったアウターを、引き締めて再起動。
といったような“再生”が可能です。
送る前に知っておきたい注意点
染めは万能ではないので、ここだけは先に押さえておくと安心です。
- 天然繊維中心(綿・麻・ウールなど)は相性が良い一方、化学繊維比率が高いものは出方が読みにくい
- 縫製糸が化繊だと糸だけ元色が残ることがある(アクセントとして活きるケースも)
- 加工工程の影響で縮み・風合い変化が起こる可能性はゼロではない
素材や付属(ステッチ糸・ボタン・パーツ)によって、染まり方・残り方は変わります。
結果として「ムラ」ではなく「表情」になる場合もあるので、興味がある方はぜひ依頼してみてください。

申し込みはこちらのページから可能です。
事例紹介や料金、注意点なども詳しく書かれているので、ぜひお読みいただいたうえで納得できたらチャレンジしてみましょう。
終わりに|伝統産業と品質が融合した究極の黒ジーンズ
今回は以上です。
ダルチザンと京黒紋付染のコラボによって誕生した「京黒紋付染ジーンズ」は、デニムというカジュアルウェアに日本伝統の染色技術を融合させた非常にユニークな一本です。
日本の伝統産業を取り入れ、日本最高峰の品質を誇るジーンズに落とし込む、ダルチザンの特別モデルのひとつとして相応しい一本だと思います。
通常のインディゴジーンズとは異なり色落ちは起こりにくいですが、長く愛用しても褪せにくい黒の深みが持続するのもこの染色の強み。

伝統産業へのリスペクトとデニム愛好家の所有欲を同時に満たしてくれる本モデル、黒好き・デニム好きなら一度は体験してみる価値があるのではないでしょうか。
そして、個人の服も黒染めしてくれるサービスと併せて検討してみてくださいね!
おしまい!
(少しでもお役に立てたなら、SNSに拡散していただけると嬉しいです!)
\ダ・ルチザンの購入はこちら/
