こんにちは、しょる(@SHOLLWORKS)です。本日は日本製のジーンズメーカーについて。
日本のデニム産業は、岡山県倉敷市が中心。世界のハイブランドのジーンズを生産している拠点でもあり、非常に優れたジーンズを生み出しています。
そこで今回は、「どうせならスペシャルなジーンズが欲しい!」という方向けに、日本の有名デニムブランドをご紹介させていただきました。
特に、高価格帯のアイテムやブランドはこだわりの方向性が異なります。だからこそ、あなたの価値観で、ピンときたブランドを検討してみてください。
日本のデニムブランド11選!日本製ジーンズメーカーをご紹介!
エドウィン(EDWIN)
Image Photo by EDWIN
エドウィン(EDWIN)は、日本のデニムブランドの代表的メーカー。非常に有名で、服に興味のない方にも知名度の高いブランドではないでしょうか。
「EDWINのブランド名はデニム(DENIM)を逆さにして並べ替えたことに由来する」というのは、それなりに有名な話です。メーカーは前身である「常見米八商店」が1947年、アメリカから中古ジーンズを輸入・修理販売したことに始まりました。
実は、エドウィンが1961年、初の国産ジーンズを製造したという説もあります。諸説あり、どうやらビッグジョンの項で述べている「キャントン」が初という説が多勢ですが、少なくとも1960年代にはエドウィン製のジーンズが確認されています。
また、現在は“なり”を潜めてしまいましたが、エドウィンは広告宣伝にも優れたブランドでした。
中でも、1997年に発売された「503」は、現在もエドウインを代表するアイコンモデル。ブラッド・ピットをキャンペーンキャラクターに起用したことで知られます。
1980年代には、日本で最も売れているジーンズブランドであったエドウィン。不況や不祥事が相次ぎ、現在は伊藤忠商事の完全子会社として存続しています。
ビッグジョン(BIG JOHN)
Image Photo by BIGJOHN
ビッグジョン(BIG JOHN)は、岡山県倉敷のデニム産業と共に歩んできたメーカー。
日本のジーンズの元祖を求める方や、特に細身ストレッチが好きな方にピッタリです。ビッグジョンの前身である「マルオ被服」は元々、縫製工場でした。1958年にジーンズの輸入販売を始め、1965年には米コーンミルズ社から生地を輸入し縫製。「キャントン」ブランドで国産ジーンズ第1号を発売した企業です。
そして、1967年に「ビッグジョン」ブランドを立ち上げ、1973年には倉敷紡績と貝原織布(現カイハラ)が開発した14オンスデニム生地「KD-8」を使用。国産デニムを使った純国産ジーンズを、日本で最初に製造しました。
Image Photo by BIGJOHN
また、ビッグジョンは近年、ストレッチジーンズ「コンプリートフリー」シリーズに注力しており、BMXスポーツなどの場でも愛されています。
その他、多種多様なラインやシルエットやモデルが展開されていることも特徴です。元祖メーカーらしく「M1トラディッショナル」や「M3モダンフィット」などが有名です。
余談ですが、「キャントン」は、アメリカの実在するブランド名を勝手に拝借していたという、今では考えられない事情がありました。
そういった“パクリ”から、やがて独自性を確立していく点も日本メーカーならでは。
ジャパンブルージーンズ(JAPAN BLUE JEANS)
Image Photo by デニム研究所
ジャパンブルージーンズ(JAPAN BLUE JEANS)は、2011年にスタートした新興ブランド。
北欧デニムブランドのような、シンプルさが好きな人にオススメです。国産メーカーにありがちな“ゴチャゴチャ感”ではなく、欧州市場を強く意識したブランドで、メイドインジャパンの高いクオリティを海外に広めることを目的としています。
デニム・ジーンズの産地として有名な岡山県倉敷市・児島を拠点とする株式会社ジャパンブルーが展開しています。日本市場には逆輸入スタイルでやってきたブランドで、現在はアジア地域にも法人を設立し拡大中です。
同社が展開するジーンズでは、国内市場向けの桃太郎ジーンズも有名です。
Image Photo by デニム研究所
写真は、ジャパンブルージーンズが近年、特に押しているラインのCIRCLE。
新次元のフィット感として、バナナカーブのデニムを比較的抑え目の価格(2万円前後)で提供しています。
個人的には、バックポケットにステッチデザインがない点や、内股にブルーのステッチが掛けられたモデルがジャパン“ブルー”らしい推しポイントです。
こういった「海外に出る」ブランドが、もっと増えると良いと思っています。
オアスロウ(orSlow)
Image Photo by or Slow
オアスロウ(orSlow)は2005年、兵庫県発のデニムブランド。生地を織る糸や染料、デザインや製造工程など細部に至るまで妥協せず丁寧に(=Slowに)つくられていることが特徴です。
メイドインジャパン、しかも徹底的な自社生産にこだわりを持っているブランドです。現在は、生産が終了している1960年代の米国製ミシンを用いて生産していることポイント。
レプリカブランドの中では、価格も比較的抑え目です。特に、代表的なモデルの105 STANDARDは、レプリカデニム初心者に◎。糸の表情や色ムラなど、穿いていく内に変化する価値を味わうには“ちょうど良い”と思います。
一番町にあるビームス仙台店は数あるビームス店舗の中でも指折りで好き。
— しょる | めちゃくちゃ詳しいファッションブロガー (@SHOLLWORKS) August 6, 2022
エンツォボナフェの靴やリングヂャケット製のスーツ、オアスロウのデニムもあります😌#仙台 pic.twitter.com/0FncUCIl8P
シュガーケーン(SUGAR CANE)
Image Photo by SUGAR CANE
シュガーケーン(SUGAR CANE)は、東洋エンタープライズ社が手がけるレプリカブランド。ブランドの名称は、“さとうきび”に由来します(写真のデニムも、コットンとサトウキビ繊維の混紡素材だそうです)。
シュガーケーンのジーンズは、特に1940~50年代のディテールを再現したレプリカモデルが人気です。また、写真のモデルは、阿波藍と合成インディゴをブレンドし、ポケットの裏布は抜染、レザーパッチは阿波藍での手染めを施したこだわりの一本です。
アメカジ好きはもちろんですが、どこか日本的でもあり、細かなこだわりが好きな人にもピッタリです。
Image Photo by SUGAR CANE
全体的には、アメリカ的な世界観を演出しながらも、ちょっとした素材やレプリカと“本物”との差の部分に、日本らしさを漂わせるブランドです。
定番モデルは2万円弱で購入可能と、こちらもレプリカメーカーの中では比較的リーズナブル。
オアスロウ同様、初めてのレプリカデビューにもピッタリです。
ジョンブル(JOHNBULL)
Image Photo by JOHNBULL
ジョンブル(JOHNBULL)は1952年、前身の学生服や作業服を製造するカネワ被服から始まったブランド。国産ジーンズが本格化した1967年に「ジョンブル」に改称、ジーンズを中心とした商品をローンチしました。
仕事着からカジュアルウェアまで、幅広く使えるアイテムが中心。デニム商品の大半はメイド・イン・ジャパンですが比較的リーズナブル、軽量なモデルも多いため、カジュアルに老若男女問わず親しみやすいブランドです。
写真のオーバーオールは、ジョンブルのアイコニックなアイテムです。現在は、ジーンズだけでなくチノパンやワークシャツなど、幅広く展開しているファッションブランドです。
ステュディオ・ダ・ルチザン(Studio D’Artisan)
Image Photo by STUDIO DARTISAN
ステュディオ・ダ・ルチザン(Studio D’Artisan)は、1979年創業のデニムブランド。日本で初めてヴィンテージ仕様のセルビッジデニムを用いたジーンズ「DO-1」を発売し、90年代のレプリカブームの火付け役(のひとつ)として知られます。
高品質なジーンズ×日本独自のエッセンスという掛け算を求める方に最適です。主に「昔のリーバイス」をベースにしたレプリカ商品を展開していますが、そこに日本の伝統産業やコンテンツを織り交ぜたジーンズが特徴です。
レプリカというと、“偽物”をイメージされる方が多いかもしれません。しかし、ジーンズ界でのレプリカは、どちらかというと「オマージュされたオリジナル」という色合いが強いです。
Image Photo by STUDIO DARTISAN
1970年代に入り、高度成長期&アメカジブームが到来すると、やがて各メーカーも大量生産にシフトしていきました。
そのような中で、ダルチザンは生産量の少ない「セルビッジデニム」「本藍カセ染」「抜き打ちリベット」など、こだわりのモノづくりで差異化しました。
個人的には、「阿波正藍」や「奄美泥染」といった日本の伝統産業を採り入れたジーンズは必見です。
まさに、品質×歴史×個性を掛け合わせた、文句なしの実力派ブランド。
“本物”を凌駕するクオリティが受け入れられ、レプリカを代表するメーカーになりました。
ついにダルチザンの阿波正藍・日の出ジーンズが届きました。ガッチガチの15オンスなので、涼しくなったら穿こうと思います。
— しょる|SHOLLWORKS – ファッションブログ/メディア (@SHOLLWORKS) August 3, 2024
豚さんの手ぬぐいとトートバッグがキュート。 pic.twitter.com/EJqBs4RoWl
フラットヘッド(THE FLAT HEAD)
Image Photo by THE FLAT HEAD
フラッドヘッド(THE FLAT HEAD)は1996年、長野県で創業したデニムブランド。家具などでも人気の高い「ミッドセンチュリー」のアメリカ文化と、日本のモノづくりを融合をフィロソフィーとしています。
フラッドヘッドのジーンズは高品質で本格的ながら、洗練された“スッキリ感”を求める方に◎。ヴィンテージテイストが強過ぎないので、例えば“きれいめ”トップスやシューズとも合わせやすいことが特徴です。
また、ブランド曰く、フラットヘッドの価値は「購入して5割」「着て7割」「着込んで10割」とのこと。長く愛用することによって、新しい付加価値が生まれるモノ作りを意識しています。
ウエアハウス(WAREHOUSE)
Image Photo by WAREHOUSE
ウエアハウス(WAREHOUSE)は、ジーンズブランドの中でも、ヴィンテージに特化しているメーカー。1995年の創設以来、「ヴィンテージ古着の忠実な復刻」というテーマの元、インスピレーション源となる一本を徹底的に研究しています。
「とにかくヴィンテージが好きだけれど、リアルなレプリカデニムが欲しい!」という方にピッタリのブランドです。
1900~50年代の幅広いヴィンテージデニムを手掛けおり、完全ワークウェアであった時代のものから、戦中の簡素なディテールのもの、ファッションとして認知されつつある時代のジーンズまで多種多様です。
Image Photo by WAREHOUSE
写真は、1944年当時のリーバイスを復刻したもの。
通称“大戦モデル”といわれ、当時はアメリカでも物資統制によって簡素化されたディテールのジーンズが流通していました。
具体的には、バックポケットのステッチが省略されたり、股リベットがなくなったりしています。一方、現在の紙パッチではなく革パッチであることも特徴。この辺りも、当時のディテールを忠実に再現しています。
各々の時代の生地、縫製、そして洗い加工までを調べ上げて再現している、完全マニア向けのブランドです。
エヴィス(EVISU JEANS)
Image Photo by EVISU
エヴィス(EVISU JEANS)は1991年、大阪で創業したデニムブランド。流行とは一切の距離を置いた「徹底して変わらないモノ作りを行うブランド」で、バックポケットのペイントがアイコンとなっています。
ペイントのインパクト×リラックスシルエットのモデルが多く、ストリート界隈での人気が高いブランドです。デイヴィット・ベッカムなどを広告に起用するなど、国外でも比較的知名度が高いことも特徴です。
ブランド名は90年代のレプリカブームの到来に際し、Levi’sのLを取って七福神の戎(えびす)と掛け合わせたもの。当初は“EVIS”でしたが、Levi’sから苦情が来たために“EVISU”に変更したのだとか。
サムライジーンズ(SAMURAI JEANS)
Image Photo by SAMURAI JEANS
1998年、大阪で誕生したサムライジーンズ(SAMURAI JEANS)。「ジーンズは作り手、穿き手のこだわりが一致しないと商品価値が無い」をコンセプトに、数多くの“尖った”オリジナルジーンズを生産・販売しているブランドです。
完全にデニムフリーク向けのブランドといえます。「牛若丸」「川中島の戦い」「池田谷事件」など、日本の歴史にちなんだモデルも展開され、製造工程を全て日本で行っていることを信条とするブランドです。
中には「和モデル」として、自社で栽培した綿花から製造しているものまであります。
その他、ヘビーオンスのデニム生地を得意とするブランドで、軽くても15オンス、中には21オンスなど、そのまま立ち上がるような重さのジーンズも珍しくありません。
終わりに|相棒といえるジーンズを、5年、10年と穿く価値も素敵
今回は、日本のデニムブランド11選を紹介してきました。
大半が岡山のブランドですが、今回ご紹介したブランドに限らず、世界中のハイブランドが現状、岡山でデニムを生産しています。
日本のジーンズは、アメリカ製品の真似や輸入販売に始まり、やがてはさまざまな加工やレプリカなどのジャンルを進化させました。
いずれも、高品質の追求や職人文化が可能にした地平であり、実力が広く認められています。
かつて、ハイブランドのデニムのタグに「日本製」と書かれていて「偽物だ!」と騒いでいた日本人がいたとかいないとか。冗談のような話ですよね。
例えば、ユニクロの3,990円のジーンズは出来が良く、何年かはそれなりに穿けます。
スマホを突っ込んでも自転車に乗ってもガンガン洗っても気にならない、これも優秀なプロダクトだと思います。
一方で、糸の撚りから、紡績、染、ディテールの「そこまでこだわるの?」と思われるジーンズたちが、今回ご紹介したジーンズブランドの魅力ではないでしょうか。
造り手がやり過ぎるほどに頑張る商品は、着用する人も「その気」になります。
プロダクトにストーリーがあって、そのこだわりが詰まったモノを纏うことが、衣類とファッションを分かつのです。
このことを、日本のデニムブラントは教えてくれるように思えます。
5年、10年、大切に穿けるジーンズや文化もまた、大切にしていきたいものですね。
おしまい!
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