良いと思う点
良くないと思う点
こんにちは、しょる(@SHOLLWORKS)です。本日は「スーツはユニクロで十分か、それとも安っぽいのか」というテーマについて。
スーツは服の中で、最も複雑な工程を経るもののひとつ。その分、中途半端な作り方をすると買ったときだけでなく、着用している内にも差が生まれやすい服でもあります。
だからこそ今回は、ユニクロのスーツを実際に購入して、さらに月4、5回×1年ほど着用してみた結果をお伝えしようと思います。
結論、ユニクロのスーツは、
です。これは決して無根拠で「ユニクロ=安っぽい」というわけではありません。しかし、この価格帯のスーツは、どうしても“安かろう悪かろう”という部分が見え隠れします。
その結果、着用感にも違和感が生まれやすく、綺麗に着るには日々の手入れの手間も掛かります。また、この世には倍程度の価格で購入可能&倍以上の期間愛用しても「みすぼらしく」ならないスーツが存在します。だからこそ、「決してコストパフォーマンスが高くはない」という結論に達しました。
もちろん、高ければ何でも良いわけではありません。本稿では、ユニクロのスーツが安っぽい理由と併せて、代替手段としてオススメできるスーツについても言及しました。
【結論、安っぽい】ユニクロのスーツで十分ではない|プロが一年着用して思った問題点
実際、ユニクロのスーツが「高級品に見えるか」という点に関しては、答えはNOです。いくら「コスパ最強」のユニクロとはいえ、工程数の最も多いスーツというジャンルでは、コスト差を隠しきれません。
ストレッチウールシリーズが「10万円のスーツにも匹敵する品質」という意見もたまに聞きますが、基本的に厳しい上に語弊があります。「10万円のスーツ」と一概にいっても“価格の理由”によって出来栄えはまちまちだからです。
たとえば、マシンメイド&ブランド料マシマシとなっている、ポールスミスやヒューゴボスの10万円なら、構造的にはいい勝負ができると思います(が、それでも生地の品質差で厳しいです)。一方、相手がリングヂャケット(通常レーベル)の10万円なら、到底歯が立ちません。
全体のオススメする方向性としては、ユニクロのスーツよりも思い切ってちゃんと作られている×定価6万~10万円のスーツを買った方が、
- 見た目の満足感
- 長持ち度
の点で「お得」ということをお伝えさせてください。
ここでポイントとなるのは、ユニクロのスーツが「安っぽい」ことと併せて、高くてもちゃんと作られているスーツとは限らないということ。
だからこそ、ユニクロのスーツが「安っぽい」理由や箇所を具体的にお伝えした後に、トータルでお得になるブランドも併せてご紹介します。
もちろん、一概に良いスーツを買ったからといって、必ずしもあなたにとって良い結果になるとは限りません。体型やお手入れのスキルにも依ります。また、今の日本の給与水準で良いスーツを易々と買える人が多くないことも理解できます。
予算や中身までを勘案した上で、「それでもユニクロのままで行く」のか、あるいは「思い切って良いものを買ってみる」のか。ご自身にとって最適な選択をしてくださいね。
上襟のフィット感(のぼり)が甘い
“ちゃんとしたスーツ”ではあり得ない部分
Image Photo by Uniqlo
まず、購入前からわかるユニクロスーツの安っぽい部分として、首周りの吸いつきの悪さが挙げられます。
具体的には(写真の赤◯部分のように)着用時に首に吸い付くべき上襟が浮いてしまうものは、良いスーツとは言えません。もちろん、激しい動きをすればどんなジャケットでも浮きますが、写真程度の動きで浮いてしまうスーツは間違いなく「安っぽい」です。
そして、この部分は廉価な作りのスーツではどうしようもない点。40万円くらいするブランドもののスーツでも、こうなってしまうものは存在するからこそ、決して「ユニクロのスーツだからダメ!」とは言えない部分。
Image Photo by Uniqlo
上襟が浮いてしまう(「のぼり」が甘い)原因は、襟のパーツを作る際に手作業でアイロンを掛けられない、コスト重視の工程を採用してしまうことにあります。
本当に手の込んだスーツの場合、上襟のパーツをウールの熱可塑性を利用したアイロンの蒸気と熱で変形させて、首周りが吸い付いて離れないスーツへと仕上がります。
一方、コストや量産性を重視するスーツの場合、このアイロンワークをなくすため「二枚襟」などを用いて省略するのですね。しかし、所詮は「プランB」なので、結局は手間暇かけられて人体に沿わせた一枚襟には敵いません。
ハンガーに掛けて売る際、ブランドネームを語る際、そんなことを気にして買う人が少ないから「手を抜く」部分。皆、「◯◯ブランドだから良いもののはずだ!」と思って買いますよね。ブランド側からすれば「なんてチョロいんだ!」と思っています。
首周りのフィット感は、顔周りだからこそ特に目立つ箇所。見た目の印象としても「ジャケットが体型に合ってない、フィットしていない」という印象を与えます(しかも、たまたまの相性どころか芯地なども悪いので誰の身体にもフィットしません)。
そして、着る方もジャケットの重さが点で掛かってしまうため、「スーツ=疲れる、肩がこる」という感想を持つようになります。半分正解ですが、半分は誤解から生まれたバイアスです。
着用していく内に、袖の前振りがさらに甘くなった
スーツにちょっと詳しい方なら、写真(私物)のユニクロのジャケットが、いかに残念な袖付けか分かると思います。もちろん「25,000円に何言うとんねん!」なのですが、購入したときはここまで酷くありませんでした。
というのも、着用していく内にハの字に広がるという、一種の型崩れを起こしています。
私はかなり腕が長いので広がりも強調されますが、それでも僅か一年でこうなってしまうのは(価格を考えれば仕方ないのですが)ちょっと残念です。
手の甲側の袖が正面から見える
袖付けの正解は、上記写真のような袖の手の甲側が前を向くようなもの。上記写真のスーツは既製品としては出来が良すぎるのですが(こちらで取り上げています)、特にアジア系の体型にとっては一層重要になる部分です。
人間の腕は歩行時や何かに触ろうとする際、体幹を中心に身体の前方に向かって弧を描いて前に出ます。だからこそ、服作りにおける袖付けの正解は、身体の正面に向かって巻くように出てくる袖。
国産ならリングヂャケットやファイブワンといったメーカーや、技術に定評あるテーラーのビスポークなどであればキチンとした袖付けは行ってくれます(それ以外が全てダメというわけではないですよ!念のため)。
そして、プ◯ダやグッ◯、ジルサ◯ダーといったハイブランドのスーツも、(25年くらい前のものならともかく)現行品は全然ダメなので安心してください。
裏を返せば、「ユニクロのスーツの袖付けは手抜きに手抜きを重ねた今の有名ハイブランドと同程度だが、ハイブランドの半額〜1/5程度の価格で販売している実力派ファクトリーには遠く及ばない」ということ。
化繊混紡&ポリエステル裏地でホコリを集めやすい
ユニクロのスーツが安っぽい第三の理由として、ストレッチ性を得るために無理矢理ポリウレタンを混紡している点。
これもユニクロに限らず、同様の生地を採用するスーツ皆に言えることですが、
という、毎日着用するスーツとしては非常に困る欠点となります。特に、秋冬は着用していると気になります。
TEXTILE NET 公式HPより引用
埃を集めやすいのは、静電気の発生しやすさが主な原因。上記の表は帯電のしやすさを表した表ですが、衣類の場合、密接したり混紡している素材同士が遠ければ遠いほど、静電気が起こりやすいと思ってください。
ユニクロのスーツに使用されている素材は、ウール(98%)、ポリウレタン(2%)ポリエステル(裏地)(ついでに言うと、内部の芯地も化学繊維のオンパレードです)。
良いスーツの「ウール100%生地に裏地がキュプラ(レーヨンと同じ位置)、さらには毛芯などを使用」といったものと比べ、いかに帯電しやすいかお分かりいただけると思います。
結果、冬の乾燥する時期だと、ブラシを掛けてもイマイチホコリが取れません。だからといって、コロコロやガムテープを使うと生地表面が毛羽立ち、繊維が飛び出して毛玉の原因になってしまいます。
もとい、コロコロやガムテープを使用しなくても、混ぜ物をしている素材は摩擦が起きやすく毛玉が出来やすいです。現に、写真のジャケット(私物)も良く見ると、すでに首周りに小さな毛玉が出来ている状態になっています。
平滑な濃色無地だから目立ちやすいというのもありますが、結局「安っぽい」見た目に寄与してしまう要素であることには変わりありません。
やはり、生地がイマイチ
Image Photo by Uniqlo
ユニクロは「〇〇を使用!」というマーケティングが、とても上手い企業です。
むしろ、他のアパレル企業はもっとユニクロを見習った方が良いとすら思えるのですが、語られていない部分に「穴」があることも事実。
例えば「エクストラファインメリノウールを使用」といっても、実際には使用されている毛の平均的な細さだけでなく、
- そのウール群に混ざっている最も太い毛と細い毛のバラツキ(「標準偏差」や「変動係数」、値が小さければ小さいほど高級)
- 羊毛そのものの「長さ」
- 羊毛の「引張強度」(健やかな個体ほど細さに対する強度も高い)
なども評価対象(=高級さ)に含まれます。
要は、「シャインマスカット」の中にも美味しい個体とそうでもない個体が存在するように、「エキストラファインメリノウール=高品質」いった図式の中にもピンキリが存在します。
(もちろん、価格を考えれば品質高いですけれどね。競合ブランドでこの価格帯ですと、せいぜいウール50%ポリエステル50%の生地が精一杯だと思います。)
(「Super〇〇’s」なんてもっと抜け道があるのですが、)ユニクロのスーツに使用されている「Super110’sウール」は、例えば同じSuper110’sのウール生地であるカノニコ「ペレニアル」などには遠く及びません。
どうしても、ボタンが安っぽい
なんだかんだ、一見してプラ製と分かるボタンのクオリティが着用していて最も不満だった点。
「開き見せ」仕様なのは、本切羽が必ずしも上とは言えないので構いません。しかし、袖先についているボタンが「安っぽい」のはどうにも隠せません。
ここは、ハイブランドとも明確に違う点です。裏を返せば、ユニクロのスーツを安っぽく見せない方法として、ボタンの付け替えは非常に有効な方法ともいえます。
結局、ユニクロのスーツはこんな人に向いている
ここまで、ユニクロのスーツは「安っぽい」理由を感想や経験込みで解説させていただきました。しかし、決して「ユニクロのスーツが(で)良い」という価値観に対して、一切を否定したいわけではありません。
少なくとも~3万円の予算でスーツを買うのであれば、ベストバイであることは変わりません。「ユニクロのスーツがあれば他のブランドの全てが意味ない」というのは無理でも、特に、下記に当てはまる人は、ユニクロのスーツをオススメします。
3万円以下でスーツを探すのであれば、ベストチョイス
いずれにせよ、クオリティを理由としてユニクロのストレッチウールジャケット/ストレッチウールパンツを選ぶべきは、3万円以内の予算で検討するとき。2万円台のAOKIや青山のスーツよりはオススメ度の高いスーツです。
あるいは、丸井に入っているようなデザイナーズブランド×5万円くらいのスーツであれば、私なら「ユニクロのストレッチウールジャケット/ストレッチウールパンツにしようかな」と思います。
とはいえ、基本的にユニクロが“高級感”というフィールドで戦うことは難しいため、あくまで「“普通のスーツ”というカテゴリ内ではコストパフォーマンスの高いもの」とお考えください。
リクルートスーツ~新卒入社用のスーツとして使いたい
リクルートスーツとして販売されているものを購入することは、ユニクロのスーツを購入することよりもコストパフォーマンスが低いと思います。
少なくともリクルートスーツを買うくらいであれば、いっそのことユニクロのスーツで就活に臨んだ方が遥かにマシであることは間違いありません。
目立ちたくない、高級と思われたくない
正直、私はこういう考え(というか価値観)は嫌いです。しかし、中には「目立ちたくない」「生意気と思われたくない」という気持ちから、あえて高級感の少ないスーツを選ぶ人もいるでしょう。
そういった方には、ユニクロのスーツは究極的に「嫌味」になりません。そんなことにも気を使わなければならない人間関係の会社、私なら迷わず辞めますけれども。
長年はもたない?使い捨て?上等じゃ!
ここまで解説してきた通り、ユニクロのスーツは長年“もたない”と思います。だからこそ、
- スーツの見た目なんてどれも同じに見える
- 手入れはめんどくさい&方法を学ぶ気もない
という方も、ユニクロのスーツがオススメです。
個人的には、可能ならば良い物を長く使う価値観の方をオススメしたいことは間違いありません。しかし、皆が皆、賛同してくれるとも思ってもいません。
また、ユニクロLove過ぎる人もいると思います。「とにかくユニクロなんじゃ!スーツも例外ではない!」という人には、もはや何も言うことはありません。
【ちなみに】ユニクロのスーツと合わせるシャツ/ネクタイ/ベルト/靴は?
リーズナブルなシャツなら「早稲田屋シャツ」が◎
ユニクロのスーツを少しでも良いものに見せたいという方にとっても、シャツのクオリティは大事です。顔周りにある服なので、特に注目もされがちな服です。
そんな方には「早稲田屋シャツ」が極めてオススメ。ユニクロのビジネスシャツとほぼ変わらない価格で、明らかに高いクオリティのものを提供してくれます。
欠点は品薄であること。こちらの記事と併せて検討してほしいですが、Amazonでご自身のサイズがあった場合はかなりラッキーだと思います。
ユニクロ以外の比較的廉価なネクタイブランドはこちら
ユニクロのスーツに合わせるネクタイは、もちろんユニクロでも構いません。しかし、まだまだ種類も少ないため、バリエーションに欠けることが欠点。
そこで、上記記事ではユニクロのスーツとユニクロ以外のネクタイを合わせる、~5,000円前後の予算で購入できる20代向け×廉価なネクタイブランドについて解説しています。
ユニクロのスーツやシャツと合わせるのにもピッタリですし、とりあえず数が欲しいという方にも◎。
ユニクロのベルトはサイズ調節不可!➡おすすめのビジネスベルトはこちら!
あなたのウエストが、ベルトに複数空けられている穴の中で真ん中を使ってピッタリであれば、ユニクロの「イタリアンレザーステッチベルト」で構いません。
ただし、そんな人は稀です。しかも、ベルトは真ん中の穴を使うことが基本。一番きつい穴を使ってベルトの端が余り過ぎているのも格好悪いですし、短すぎるのも同様です。
ひどい場合、「ベルトのサイズが合わないから・・・」と、ドライバーのキリで穴を空けて使用して、ボロボロになっている人も見かけますよね。
ベルトの真ん中の穴(か、妥協したとしてもキツい方から二番目の穴)を使えない場合、ユニクロ以外のサイズ調節可能なベルトを選んでください。
上記記事では価格帯ごとにご紹介していますが、5,000円くらいのもので十分です(もちろん、高い方が良いベルトですが!)。ベルトも「ジャストサイズ」をキレイに使ってあげてくださいね。
「フォクスセンス」は日本メーカーの1万円靴より数段良い
革靴もスーツと同じくらい品質差が出やすく、限られた予算の中では非常にチョイスが難しいジャンル。
しかし、「初心者向け」で「1万円程度」となれば、中国のフォクスセンスというブランドをおすすめします。
理由としては、
- 日本のメーカーやショップが販売する「1万円の革靴」より総じてマシ
- ラバーソール&中敷きのクッションが敷かれているので、革靴初心者も滑りにくい
- Amazon、楽天などから購入可能で&30日間サイズ交換無料
の3点。ちなみに、サイズは大体スニーカーから-0.5~1.0cmしたサイズが合わせやすいです。
アディダスのスニーカーで27.5cmの私の場合、26.5cmでピッタリでした。
(説明文の日本語は怪しいのですが、)確かにAB〇マートで売っているような1万円クラスのビジネスシューズや、GUのリアルレザーシューズよりは大分良いと思いました。
終わりに|価格を考えたらユニクロのスーツが「安っぽい」のは仕方ない
今回は以上です。
「ユニクロのスーツが安っぽい」というのは、価格を考えれば当然です。「25,000円の服」と考えればそこまで安くもない気もしますが、スーツの25,000円は間違いなく安い部類。
しかし、世の中には「ユニクロのスーツは25,000円のスーツで10万円のスーツに匹敵する」なんて言う方もいらっしゃいます。これに対しては、
と、結論付けさせてください。
もちろん、予てより伝えている通り「ユニクロのスーツは30,000円くらいまでの予算なら、ベストバイな選択肢の一つである」という価値観は変わっていません。
ちなみに、もし「ユニクロからもう一歩だけ背伸びをして、良いスーツが欲しい」という方にはカシヤマ(KASHIYAMA)をオススメします。都市部に多くの店舗を抱えるセミオーダーのブランドで、店員さんが採寸をして生地などを自由に選ぶ、オーダーメイドを33,000円~というリーズナブルな価格でトライできます。
オンラインで一旦採寸予約➡店頭で採寸&仕様を決定➡1~2週間で自宅に届くという3STEPで完了するので、初めてのオーダースーツにも良いと思います。作りも確実にユニクロより良いですよ。
\ KASHIYAMA公式HPはこちら/
いずれにせよ、スーツひとつとっても様々な方向性がありつつも、価格にはキチンとした理由があります。
その中でも、「自分にはこれがベストなんだ!」という、決断と選択が出来れば幸いです。
あなたが、あなたらしいスーツと出会えますように。
おしまい!
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