こんにちは。今回はイギリス(英国)のスーツブランドをご紹介させていただきます。
英国はテーラーの原点にして、スーツの発祥といわれる国。特に「テーラーの聖地」といわれるサヴィルロウは、日本でスーツを意味する「背広」の語源にもなったという説もあるほどです。
日本にイギリスのファッションが(本格的に)紹介されたのは1980年代に入ってからですが、スーツにおける歴史の中心に立ち続けてきたことは間違いありません。
また、イギリスの有名スーツブランドの特徴として、ビスポークと既製服で価格帯が大きく異なることが挙げられます。
これは、1990年代頃からの「ニュービスポーク」という動きで、サヴィルロウの名店といえどビジネス形態を見直さなければならない程に既製服が当たり前になったということ。
その分、既製スーツは比較的入手し易くはなっていますので、ぜひご一読ください!
【2023年最新】イギリスのスーツブランド14選|【プロ視点】高級・一流・有名をご紹介!
ハンツマン(HUNTSMAN)
HUNTSMAN 公式HPより引用
- <参考価格>
- 400,000円(既製服)
ハンツマン(HUNTSMAN)は、サヴィルロウの中でヘンリープールと並ぶ英国最高峰のテーラー。創業1849年、スーツの歴史と共に歩んできたテーラーは、王侯貴族やエグゼクティブを中心に顧客を抱えています。
ビスポークが非常に有名ですが、既成スーツも少数販売・購入可能。イギリスのスーツブランドは既成服の価格を抑えるところが中心ですが、ハンツマンの場合は非常に高価な価格設定。30~40万円程度がプライスゾーンとなっています。
既成服でもオーダーメイドでも、スーツの発祥国の中である英国でも最高峰に位置付けられるブランドです。あなたが本当の服好きならば、ハンツマンの一つ釦テーラードジャケットは必見の一着。
ヘンリープール(HENRY POOLE)
HENRY POOLE 公式HPより引用
- <参考価格>
- 300,000円~(オーダースーツ)
ヘンリー・プール(HENRY POOLE)は1806年創業。サヴィルロウに現存する最古のテーラーにして、今日まで数々の有名顧客を多数抱える名店です。
具体的には、ナポレオン三世やウィンストン・チャーチル、日本の白洲次郎など歴史的な人物が名を連ねます。また、1976年には女王エリザベス二世から英王室御用達の認可も授与されました。
また、初めて現代のタキシードスーツを製作したのもヘンリー・プールです。プリンス・オブ・ウェールズ(後の英国王エドワード7世)がヘンリー・プールに「モーニングを短くカットして欲しい」と依頼したことで、スーツの丈が現在の長さになる切欠となりました。
ギーヴス&ホークス(GIEVES&HAWKES)
The ROYAL WARRANT HOLDERS より引用
- <参考価格>
- 170,000円(既製服)
ギーブス&ホークス(GIEVES&HAWKES)は1975年に誕生したテーラー。1785年創業の「ギーブス」、1771年創業の「ホークス」というサヴィルロウの名店が合併したことにより誕生しました。
ギーブス&ホークスは長く二百年余に渡り、英国王室御用達(ロイヤルワラント)の認可を受けています。現在も、サヴィルロウを代表する存在として君臨するテーラー。
ハンツマンやヘンリープール同様、超一流のオーダーメイドと既製服の双方を展開しています。フルオーダーの価格はもちろん、既製服に関しても10万代後半~20万円程度と後述のテーラーよりも高めの価格設定です。
アクアスキュータム(Aquascutum)
Aquascutum 公式HPより引用
- <参考価格>
- 176,000円
レア度: (3.8 / 5)
クオリティ: (3.8 / 5)
おすすめ度: (4.0 / 5)
アクアスキュータム(Aquascutum)は1851年、ロンドンにて創業した歴史あるブランド。ブランド名は水(aqua)+盾(scutum)に由来し、クリミア戦争や第一次世界大戦で防水生地のコートを提供したことを経て、ブランドの知名度を高めていきました。
元々は英王室御用達(ロイヤルワラント)ブランドとして名を馳せ、手掛ける商品も非常にハイクオリティなブランドとして有名でした。現在は紆余曲折を経て中国の大手繊維会社、山東如意グループ傘下のブランドとなっています。
しかし、スーツの製造は破綻したレナウンからオッジインターナショナルへと移され、高品質な日本製製品としてリブートされました。価格も高いものの、なかなかの出来映えになっています。
ティモシーエベレスト(Timothy Everest London)
大賀(ohga) 公式HPより引用
- <参考価格>
- 100,000円(大賀製)
レア度: (4.0 / 5)
クオリティ: (3.5 / 5)
おすすめ度: (3.5 / 5)
ティモシーエベレスト(Timothy Everest London)は1989年、ティモシー・チャールズ・ペト・エベレストによって立ち上げられた新興テーラー。
1990年代以降のスーツに対するニーズの変化を感じ取り、ファッション要素を導入したことが特徴。創業期からプレタポルテ(高級既製服)市場に進出した「ニュービスポークテーラー」として知られます。
一方、伝統的なテーラーとしても格が高く、ビスポークに関しては40万円前後がプライスゾーン。日本市場の流通分は大賀というメーカーが製作しているライセンスブランドですが、10万円というプライスに対して決して悪いスーツではありません。
ダンヒル(Dunhill)
dunhill 公式HPより引用
- <参考価格>
- 242,000円
レア度: (3.5 / 5)
クオリティ: (3.5 / 5)
おすすめ度: (3.4 / 5)
ダンヒル(dunhill)は1893年創業、スーツを中心に据えているメンズクロージングブランドにして、ロンドンを代表するファッションブランド。
ダンヒルは(エルメスと同じく)馬具専門店として始まりました。自動車の時代の到来と共に「旅行をイメージさせるメンズウェア」を展開したことで、一躍大人向けのブランドとして知名度を上げました。
テーラーの伝統や格式とはまた違った、高いブランドイメージによるラグジュアリー感が特徴。スーツを中心として、ビジネス&ビジネスライクなトータルファッションを提案しています。
dunhill 公式HPより引用
スーツに関しては、デザイナーズブランドらしく生産性を重視したマシンメイド率の高いスーツです。しかし、生地や副資材に高級感があり、フィッティングも決して悪くはありません。
また、サッカー日本代表のオフィシャルスーツも提供しており、スーツやネクタイなどを毎年「SAMURAL BLUE COLLECTION」として発売しています。フットボール好きにも良いブランド。
バーバリー(BURBERRY)
BURBERRY 公式HPより引用
- <参考価格>
- 429,000円
レア度: (3.5 / 5)
クオリティ: (3.5 / 5)
おすすめ度: (3.4 / 5)
バーバリー(BURBERRY)は1856年、トーマス・バーバリーによって創業した英国のファッションブランド。1879年に農耕民のために防水性に優れた綿素材生地であるギャバジンを発明し、ボーア戦争ではタイロッケンコートを製造。
さらに、第一次世界大戦ではトレンチコートを製造し、戦後民間に“軍モノ”が民間に流れたことでバーバリーの名も知れ渡るようになりました。
スーツの価格も非常に高価ですが、いわゆる有名ブランド物が欲しい方向けとなっています。近年まで日本でもライセンスブランドを中心に人気を博していましたが、2010年代中盤よりブランド路線を更なる高級路線に舵を切りました。
リチャードジェームス(RICHARD JAMES)
- <参考価格>
- 125,000円(既製服)
レア度: (4.5 / 5)
クオリティ: (3.3 / 5)
おすすめ度: (3.4 / 5)
リチャードジェームス(RICHARD JAMES)は1992年、英国・サイヴィルロウにオープンしたブランド。こちらも「ニュービスポーク」に属する、現代型スーツブランドのひとつです。
歴史の深いテーラーというわけではないものの、ビスポークとしてのクオリティは屈指の実力派。時代の流れに乗ったコンテンポラリーラインと、テーラーとしてのクラシックなラインを融合させた展開が特徴。
現在は日本市場から撤退しているものの、グローバルなECストアにて購入可能。
マッキントッシュ(MACKINTOSH LONDON)
- <参考価格>
- 143,000円
レア度: (3.5 / 5)
クオリティ: (3.2 / 5)
おすすめ度: (3.4 / 5)
マッキントッシュ(MACKINTOSH LONDON)はチャールズ・マッキントッシュによって1823年に発明されたゴム引きコートに端を発したスコットランドのブランド。
世界初の防水布としてコートなどを提供する一方、2007年には日本の八木通商がマッキントッシュ社を子会社化。コートだけでなく、スーツなどトータルウェアを提供するファッションブランドへとなりました。
コート同様、スーツに関しても価格は高め。世界の有名ミルから提供された生地を用いてそれなりのスーツにしています。
ダックス(DAKS)
ONWARD CROSSET より引用
- <参考価格>
- 132,000円
レア度: (3.8 / 5)
クオリティ: (3.2 / 5)
おすすめ度: (3.4 / 5)
ダックス(DAKS)は1894年、ロンドンにてテーラーとして創業したブランド。テーラー発ながら、現在はメンズ・レディース共に既製服を中心とするトータルファッションブランドです。
ダックスが有名になったのは、やはりスーツ関連の服でした。1920年代にはミシン縫製が中心となる、マシンメイドのテイラード「シンプソンスーツ」の量産や、ベルトレスパンツ「DAKS TOP」などを発表。英国を代表するブランドとして認知されるようになりました。
スーツに関しては、日本のオンワード樫山が手掛けています。価格もなかなかの高さですが、程よいブランド感とまずまずのクオリティを提供しています。
マーガレットハウエル(MARGARET HOWELL)
- <参考価格>
- 121,000円
レア度: (3.8 / 5)
クオリティ: (3.2 / 5)
おすすめ度: (3.4 / 5)
マーガレットハウエル(MARGARET HOWELL)は1970年、メンズシャツから始まったデザイナーズブランド。タイムレスなラインナップが魅力で、クラシカルなトータルウェアを展開しています。
日本の株式会社TSIが親会社となっており、布帛商品は日本製や中国製が中心。スーツに関しては、英国を代表する生地メーカーである「フォックスブラザーズ」の生地を使用したものが有名。
都会的というよりはナチュラルで、どこか抜け感があるスタイルが好きな人に向いています。
アレキサンダーマックイーン(ALEXANDER McQUEEN)
- <参考価格>
- 528,000円
レア度: (4.5 / 5)
クオリティ: (3.2 / 5)
おすすめ度: (3.0 / 5)
アレキサンダーマックィーン(ALEXANDER McQUEEN)は、型破りなショーやルックで評価を浴びる、前衛的なデザイナーズブランド。
創業者リー・マックィーンは、1992年に自身のブランドをスタートし、輝かしい功績を残した英国屈指のデザイナーでした。
リー・マックィーンは2010年、40歳という若さで帰らぬ人となってしまいますが、ブランドはマックィーンの右腕であったサラ・バートンによって現在も率いられています。
スーツに関しては、先述のハンツマンが製造を手掛けたスーツを出したこともあり、モードの革新性と相まった面白いラインナップを展開していることが特徴。
デザイナーズブランドは「世界観が気に入るか否か」の世界ですが、個人的にはマックィーンのスーツは面白いので好きです(普段のビジネススーツとして向いているかは別ですが)。
また、リー・マックィーンを描いた映画、「マックイーン:モードの反逆児」は、ファッション好き必見の映画。
ポールスミス(Paul Smith)
Paul Smith 公式HPより引用
- <参考価格>
- 110,000円(SOHO)
レア度: (3.8 / 5)
クオリティ: (3.3 / 5)
おすすめ度: (3.0 / 5)
ポールスミス(Paul Smith)は創業1970年、英国を代表する&日本でも大人気のデザイナーズブランド。ポールスミス本人がテーラーで修業していたこともあり、スーツの展開が充実しています。
ポールスミスは、デザイナーズブランドの特徴や価値が分かりやすいブランド。一見普通と見せかけて実はちょっと変わっていたり、はたまたパッと見から派手だったりします。
「ひねりのあるクラシック」をテーマに、アートや写真、建築など、多岐にわたるインスピレーションの源を服へと落とし込んでおり、スーツにも大胆に裏地やディテールに落とし込まれています。どこか“変わった”スーツが欲しい方にもオススメ。
ハケットロンドン(HACKETT LONDON)
- <参考価格>
- 115,500円
レア度: (4.0 / 5)
クオリティ: (3.2 / 5)
おすすめ度: (3.0 / 5)
ハケットロンドン(HACKETT LONDON)は1983年、ジェレミー・ハケットがスタートさせたブランド。テーラーというよりもファッションブランドで、スーツからカジュアルまで、英国スタイルのファッションが楽しめます。
日本での知名度が高いというわけではありませんが、ハーディエイミスからサヴィルロウの店舗を引き継ぎ、世界的にも展開しているブランド。日本にも銀座に直営店がありましたが、残念ながら2021年に撤退しています。
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