リクルートスーツとは?普通のビジネススーツとの違いや本当に必要なのか、プロのファッションデザイナーが解説しました。
また、実際に買うべきかやレンタルサービス、最もお得な手段についても解説しています!
こんにちは。この記事を書いているのが6月の初旬ですので、世間では新卒の就職活動が始まったばかりの時期ですよね。そして、この記事を読んでくださる就活生の皆様の大半は、リクルートスーツ選びに困っているのではないでしょうか。
「最低でも二着は必要だし、お金かかるなあ・・・」「折角だから就活後も無駄にしたくない」といった意見や、「そもそもリクルートスーツって何やねん!普通のスーツと違うの?」など。そんな風に思われている方も多いですよね。
でも、大丈夫。トップブランドのデザインチームでデザイナーを勤めていた私が、就活生の皆様のリクルートスーツにおける、本当に必要な対応策をお教えします。
ちなみに、今は企業で役員もやっていて人事面接をすることもあるため、ただの「クリエイターのうわ言」でもありません。皆さんを面接する立場でもあるため、その点まで含めてご安心ください。
先に結論を述べておくと、「リクルートスーツ」は社会人になったら基本使えません。見た目は通常のビジネススーツと同じですが、全く高級感や耐久性のない“安物”だからです。
よって、
- 無料レンタルなどで安く済ませる
- ユニクロで社会人になってからも使えるスーツを購入する
- いっそ5万円くらいのスーツを購入してしまう
のいずれかを強く推奨します。実際の具体案まで解説させていただきましたので、ぜひご覧ください。
そもそも、リクルートスーツとは?ビジネススーツと何が違う?
具体的にリクルートスーツの違い&買うか否かをお話しする前に、まず、リクルートスーツとはどんなものかについてお話させてください。
中には「就活は気合を入れたいから良いリクルートスーツを買いたい・・・」「どうせなら社会人になっても着まわしたい」と思っている方もいらっしゃると思います。
そんな願望に対しても、プロの立場からお答えしますね。
リクルートスーツは日本独自のジャンル、「一億総中流」「同調圧力」による産物
そもそも、リクルートスーツというものは日本独自のスーツです。スーツ発祥の国と言われる英国はもちろん、イタリアやアメリカといったスーツの中心国では、リクルートスーツなるものは存在しません。
リクルートスーツは1970年代後半、大学生協と大手百貨店の「伊勢丹」がタッグを組んで販売したことが切欠です。当時は、日本が高度経済成長によって国民の大半が「ある程度豊か」になった時代。他の大手百貨店や、「洋服の青山」などの量販店も「リクルートスーツ」の流れに同調したことで、現在のような文化が生まれました。
換言するなら、日本人の「一億総中流」「同調圧力的な国民性」から生まれたジャンルといって間違いないでしょう。「安定的供給源としてスーツを買わせよう」「必要なものだとして習慣的な文化を作ろう」という「空気づくり」と、「周りと違う叩かれる」という国民性が相まって誕生したのがリクルートスーツです。
私が「リクルートスーツ文化」に反対しているように思われるかもしれませんが、その通りです。日本独自の習慣であること自体は悪とは思いませんが、1年ポッキリしか使えないゴ〇ミを買わされていることに、皆もっと怒った方が良いですよ。
リクルートスーツとビジネススーツとの違いは?
リクルートスーツとビジネススーツの違いを端的に述べると、
- リクルートスーツは黒や濃紺などの無地で、個性や目立たせないようにしている
- リクルートスーツは価格も品質も低く、耐久性が低い
- ビジネススーツは無地の他に、ストライプや柄など種類が豊富
の3点が挙げられます。基本的な見た目は、リクルートスーツもビジネススーツも違いはありません。
1点目に関しては、もちろん、ビジネススーツにも黒無地や濃紺無地は存在します。黒無地や濃紺無地、そして濃灰無地のスーツは「ダークスーツ」といって、主に“お堅い”仕事や会議、冠婚葬祭でも着られるスーツです。
(いずれも当時)以外、全員濃紺無地のスーツ。
特に、濃紺無地のスーツは、ビジネスも含めた「スーツの主役」と言って良い色です。欧や米では、就任式やサミットなどの重要なイベントに出席する首脳は「黒に近い濃紺のスーツ」を着ることが慣例となっています。
「え、じゃあ、リクルートスーツはダークスーツとして使えるじゃん!」と思われるかもしれませんが、半分正解で半分不正解。というのも、使えるか使えないかでいえば「使えます」。しかし、「ダークスーツ」を着るべきシチュエーションは本来、良い生地や仕立ての良いスーツで臨むべき場面ばかり。
例えば、五つ星レストランで「すき家の牛丼」や「ビッグマック」が出てきたらおかしいですよね。それらも美味しいことは間違いありません。しかし、出てくる場所は選ぶべきですし、装いにも同じことが言えます。
「スーツなんてみな同じじゃん!」と思う方も多いかもしれません。どうしても違いが分からないor価値を見出せないのであれば、それもあなたの個性故に否定はしません。
しかし、見る人が見れば分かるくらいの差はあります。少なくとも、意識的にせよ無意識にせよ、得をするということはないと思います。
リクルートスーツを就職後も使っていたらおかしい?→おかしい
リクルートスーツをビジネススーツとして使用するのは無理ではないのですが、オススメはできません。
理由としては、
- そもそもリクルートスーツは“安物”、長年の使用に向いていない
- 廉価な無地のスーツは日本では「リクルートスーツっぽい」→つまり、社会人〇年目なのに就活生っぽい
- どうせ買うなら、今から「良い無地のスーツ」を買った方がマシ
リクルートスーツのような安価な生地のスーツはポリエステルを中心とした素材でできているので、いいスーツであることを演出することは難しい。見る人が見れば、すぐに分かってしまうレベルで厳しいです。
それだけではなく、リクルートスーツは着用していく内に化学繊維が摩擦で潰れてしまい、見た目が悪くなります。肘や膝、お尻部分など負荷の掛かる部分がテカって悪目立ちするようになるので、清潔感がないのですね。お世辞にも長年、大切に着られるものではありません。
リクルートスーツは、例えば4、5万円するビジネススーツと比べると、2ランクは「下の作り」になっています。
実際には、今ではリクルートスーツ並みの品質のビジネススーツも存在しますが、一般的な「そこそこのスーツ」と比べると、リクルートスーツは社会的にもクオリティ的にも、「就活生専用」になっています。
また、リクルートスーツを社会人になって着ることは不可能ではないにせよ、“就活生感”から脱却できません。特に、あなたの顔が童顔であったりするなら、25歳になっても30歳になってもリクルートスーツのままでは、就活生感が残ります。
(リクルートスーツを買って一年で捨てるくらいなら)社会人になっても使える無地の「そこそこ良い濃紺無地のスーツ」をいきなり買うことをオススメします。
無地のダークスーツならば、(ブランドにも拠りますが)5万円程度のものであれば「リクルートスーツ感」は抜け出せるでしょう。例えば、写真のユニバーサルランゲージは、カノニコの“ペレニアル”という高級生地を使用した一着。
とはいえ、「仕送り月10万」とか「バイト戦士の服好き」とか「親が貴族」とかでなければ、いきなり5万円のスーツを買うことは難しいと思います。
だからこそ、多くの方は下記の方法で、「リクルートスーツと付き合う」ことを強くオススメします。
じゃあ、具体的にどうすればいい?リクルートスーツとの賢い付き合い方!
【絶対におすすめ】リクルートスーツは「0円就活」で無料レンタルができる!
というわけで、リクルートスーツをわざわざ購入するのは、あまり賢い選択とは言えません。とはいえ、いきなり5万もするダークスーツを購入することは、ためらわれる方がほとんどでしょう。
そんなあなたに、まずオススメしたいのが「0円就活」というサービスへの登録(公式HPはこちらから)。
こちらの「0円就活」、LINEで「友だち登録」をすると、
- 面接交通費無料
- スーツレンタル無料
- 人気美容室利用無料
という特典付きです。
実際には、スーツだけではなくバッグや靴、ネクタイやシャツまで必要ですから、完全に無料とはいきません。しかし、一番高いであろうスーツ代が浮くだけでも、かなり助かりますよね。シャツやネクタイは社会人になっても使えるので。
ちなみにリクルートスーツの“無料レンタル”は、全国の提携している「洋服の青山」か「ザ・スーツカンパニー」で可能とのこと。しかも、スーツだけでなく、美容室利用も無料なのは地味にありがたいですよね。
レンタルって有料のことを指すのでは・・・と思いますが、細かいことは良いんですよ。“大人女子”と一緒です。多分。
ピンポイントでの使用なら、楽天のレンタルショップを利用するのも手
あるいは、全部レンタルで済ませるのも手。工業/商業高校の方など面接が「一回だけ」という方や、入社後はスーツを一切着ないという方にはオススメ。
上のリンクからジャンプしていただくと、スーツだけでなくシャツやバッグ、靴までトータルでのセットで用意してくれます。サイズ展開も豊富な上、レディースはスカートとパンツも選べますし、メンズは結ばないネクタイもあります。
気を付けていただきたい点としては、あまり何度も利用してしまうと高額になってしまうこと。しかし、面接日が連続していたり、数回くらいまでの使用であれば、買うよりも安く済むと思います。
どうしても就活用スーツを所有したいなら、ユニクロのビジネススーツで良い
どうしても「レンタルに抵抗がある」「スーツのみで5万円は出せない」かつ「就職してからも着られるスーツを選びたい」という方は、ユニクロのスーツを準備すればよいと思います。
高級感は先述のユニバーサルランゲージなどには敵いませんが、3万円までのスーツであれば、ユニクロがベストだと思います。
特に、メンズは「ストレッチウール〇〇」、レディースは「ストレッチ〇〇」シリーズがオススメ。ぜひ、上記記事を覗いてみてくださいね。
余談|オシャレな方が「能力が高く見える」が、実際には関係ない
ちなみに、オシャレな人の方が「能力が高く見られる」ことは間違いありません。しかし、実際には「能力」と「オシャレ度」は、(業種にも拠りますが)ほぼ関係ないと思います。
あとは、実際に「社会人の“偉い人”は、どのくらいの価格帯のスーツを着ているのか」という点に関して、私もさんざん国内外の企業の社長や役員クラスの方と会いましたが、驚くほど質素な方も多いです。
もちろん、高収入の方が多いため、お金をかけている方も大勢いらっしゃいます。しかし、中には東証プライム企業の社長や役員クラスでも、5万円くらいのスーツをお召しになられている方もいらっしゃいます。
いずれにせよ、リクルートスーツにあまり気を取られるのは勿体ないと思います。
あなたが行きたいと思う企業で、可能性を感じてもらうプレゼンを思いの限り、してくださいね。
終わりに|プロの目から見ても、力を入れてはいけない「無駄ジャンル」は存在する
今回は以上となります。まとめると、
- リクルートスーツは「スペック不足」、今の時代、わざわざ買うのはオススメしない
- どうせならユニクロか、いきなり良いスーツを買う方が費用対効果が高い
- 就活生は「0円就活」で無料レンタルか、楽天市場のレンタルセットがオススメ
です。
人一倍、服装に造詣の深い私からしても、リクルートスーツに投資するのはハッキリと“無駄”です。中には某日本メーカーが6万円のリクルートスーツなどを展開していますが、化学繊維&接着芯で到底オススメできるものではありません。
仮に、今の年収のまま就活生になったとしても絶対に選ばないですし、何なら「リクルートスーツ」自体購入しません。
様々なサービスにおいてレンタルのシェアが増えてきた昨今。服もまた、必ずしも買わなくてはならないものではなくなりました。
本当に必要かどうかを見極めた上で、選択できると良いですよね。
最後まで読んでいただいた皆様の就活が、上手くいきますように。
良かったら、Twitterなどで拡散してくれると嬉しいです!
おしまい!