「ネクタイ沼」にハマりたい人必見。
セッテピエゲのネクタイとは?イタリア系のトップブランドも併せてご紹介します!
出典:https://www.instagram.com/attovannucci/
こんにちは、しょるです。
本日は、ネクタイの「セッテピエゲ」について。
紳士服の「沼」にハマってくると、なんとなーく耳にする言葉かもしれませんが、セッテピエゲのネクタイは、通常のネクタイとは異なる雰囲気や高級感を表現してくれます。
という訳で今回は、セッテピエゲのネクタイは「どのようなものを指すのか」&「通常のネクタイとの違い」について。
さらに、実際に入手できる「有名orオススメブランド」をご紹介します。
何となく聞いてきた方も、お気に入りのセッテピエゲをお探しの方も、ぜひ最後までお付き合いください。
セッテピエゲ(セブンフォールド)とは、どんなネクタイを指すのか?
イタリア語でセッテ=7、ピエゲ=折り目、つまり「七つ折りのネクタイ」
セッテピエゲとは、七つ折りのネクタイのこと。イタリア語で「7」をセッテ、「ひだ(折り目のこと)」がピエゲ。英語ではセブンフォールドタイ(seven fold tie)といいます。
「え?七つ折り?どういうこと?」
と、疑問に持たれる方が多いかなと思いますので、実際に手持ちのネクタイを用意しました。
(アットヴァンヌッチ)
このように、ネクタイの裏側を開いて見た際に、生地がたくさん折られています。
普通のネクタイが3つ折りなのに対し、セッテピエゲはたっぷりの生地をパタパタと折って、一本のネクタイにしているのが特徴。
セットでよく耳にする「スフォデラート」と「セッテピエゲ」は意味が違う
セッテピエゲのネクタイの情報に触れるとき、良く一緒に目にする言葉として、「スフォデラート」というものがあります。稀に混同されている方がいらっしゃいますが、「スフォデラート」と「セッテピエゲ」は、必ずしもセットではありません。
一般的なネクタイは表生地(主にシルクなど)の内側に芯地や裏地を使用することで、耐久性の向上や型崩れを防ぐ役目を担っています。
この仕様を、「フォデラート(foderato:裏地)」(「ス」フォデラートではありません)といいます。
そして、軽やかさを演出するために裏地を省き、中の芯地がないか、あっても半分程度なのが「ス」フォデラート(sfoderato)。foderato(裏地)の頭に否定のsが付くことで、日本語では「裏地がない」ことを意味します。
セッテピエゲは表地を折りたたむ回数が多いため、スフォデラート仕様になっているものが中心。
とはいえ、中には裏地が付いているセッテピエゲもありますし、スフォデラート仕様だけれども、通常の三つ折りネクタイも存在します。
セッテピエゲの特徴、普通のネクタイとの違いは?
大前提、存在としてラグジュアリーなアイテム
(リングヂャケットナポリ)
セッテピエゲの最大の特徴は、普通のネクタイと比べて贅沢&高価であること。
通常のネクタイは3つ折りで、セッテピエゲは7つ折り。必要な表地の生地量が倍程度異なります。同じ素材の通常の三つ折りフォデラートと比べ、1.3~1.5倍くらいの価格になります。裏地や芯地と比べ、表地は圧倒的にコストが掛かります。
(一部を除き)セッテピエゲを作るくらいのメーカーは使われる素材のランクも高いため、シルク製のネクタイで3万円~がプライスゾーン。
見た目:柔らかく立体感があり、まるでスカーフのよう
セッテピエゲのネクタイは生地を折りたたむ回数が多いため、立体感があります。
また、番手の細いシルク素材のものは、しなやかに揺れ、高級感と艶やかさを演出してくれます。
優劣の問題ではありませんが、通常の三つ折りネクタイとは、ぱっと見の雰囲気が異なります。
「首の巻き物」の歴史は紀元前から存在が確認されていますが、ネクタイは17世紀の30年戦争にて、クロアチア兵が首に巻いていたスカーフから派生したそう。
そのため、却ってネクタイの源流に近い存在ともいえます。
一方、耐久性は低め。芯地や裏地がなく、高級(=細番手)のシルクを使用しているため、どうしても傷みやすい欠点があります。
とはいえ、シャツやスーツにはある程度の実用的な耐久性があった方が良いと思っている私も、ネクタイはあまり耐久性を重視しません。
というのも、ネクタイは裏地があっても耐久性が低いことと、シルクの質や柄のセンスが価格に比例するからです。
引っ張られでもしない限り、動きに応じて強いストレスが掛かることもありませんからね。
コーディネート:手縫いのスーツとの相性が◎
セッテピエゲのネクタイ(スフォデラート)は、ふんわりと風に揺れる艶やかさと、上質なシルク感を見る者に印象付けます。よって、あえてネクタイピンを付けないで着用するのも良いですよ。
機械縫製でビシッとしたネクタイとはまた異なる、どこか不揃いな、ハンドメイド感を強く与えるネクタイ。
合わせるスーツもあまりビシッとしているものよりは、どこか緩やかで丸みを帯びたスーツやジャケットとの相性が◎。
具体的には、リングヂャケットマイスターやアットリーニ、キートン、サルトリア・ダルクオーレなどの既成スーツなどがオススメ。
あるいは、フルオーダーのスーツなどで肩パッドなどがビシッと入っていない、柔らかな雰囲気のものが◎。
また、シャツも接着芯がバリっとしているものよりは、振らし芯で柔らかな印象を与えるものをチョイスしましょう。
セッテピエゲのネクタイが有名&おすすめブランド6選!
ブルガリ(BVLGARI)
出典:https://www.bulgari.com/ja-jp/
まずは、言わずと知れたブルガリ(BVLGARI)。世界的なジュエリーブランドで、非常に高いブランド力を誇りますが、宝飾品だけでなくセッテピエゲのネクタイも発売しています。
代表的な「ピクトリアル」シリーズは独自の世界観ある柄で、ハイブランドのネクタイとしては代表的な存在です。
私は、裏地付きのフォデラート仕様のものしか見たことがありません。価格は28,600円(裏地付き)と今回ご紹介する中では1番廉価です。とはいえ知名度は高いので(一般的には)プレゼントに最適。
キートン(Kiton)
メンズブランドの最高峰、キートン(Kiton)。既成スーツが100万円するこのブランドも、自社レーベルでセッテピエゲのネクタイを出しています。
キートンのスーツを着る方にオススメですが、ネクタイはOEM生産なので、今回ご紹介するブランドの中でクオリティはそこまで高い方ではありません。
やはり、個々のクオリティは専業ブランドには敵いません。価格はスフォデラート仕様で3万円余。今回のラインナップは、キートンすら高く感じません。
E.マリネッラ(E.Marinella Napoli)
出典:https://www.marinellatokyo.jp/
E.マリネッラは1914年、エウジェニオ・マリネッラによって立ち上げられた、ナポリを代表するネクタイブランド。イタリアの元大統領、故フランチェスコ・コッシガが紹介した80年代後半から、世界的な知名度を獲得しました。
比較的知名度も高く、百貨店にもよく入っています。ネクタイの他にシャツも有名。007のジェームズボンドが着用するネクタイブランドでもあり、小紋柄がブランドのアイデンティティとなっています。
マリネッラのセッテピエゲは、フォデラートとスフォデラートの両方があります。スフォデラート仕様の方が、僅かですが価格が高めになっています。
タイユアタイ(TIE YOUR TIE)
出典:https://www.mistore.jp/shopping/
続いては、タイユアタイ(TIE YOUR TIE)。元々はイタリア・フィレンツェにオープンした店名で、創業者フランコ・ミヌッチの審美性を通した、本当に限られたブランドしか取り扱われないセレクトショップでした。
ネクタイはオリジナルレーベルで展開され、現在はタイユアタイ専門のファクトリーであったセブンフォールド社が、「タイユアタイ」のネクタイをイタリアや米国向けに展開しています。
ただし、大人の事情で日本で流通しているタイユアタイの製品は、製造販売元が「タイユアタイアジア」となっています。とはいえ、クオリティは高く、後述のアットヴァンヌッチと並んでオススメできるブランドです。
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出典:http://www.ringjacket.co.jp/
ちなみに、タイユアタイを扱う「リングヂャケットナポリ(RING JACKET Napoli)」のネクタイもオススメ。
リングヂャケットナポリのネクタイは、「エンシェントマダー」というロバートキート社のみが可能な染色方法を用いている点が特徴。現在のプリントタイトは違った、どこかクラシカルで鈍い染まり方をします。
セッテピエゲのネクタイは、シルク素材で3万円代後半から。2万円後半〜3万円代前半のものはクワトロピエゲ(4つ折り)や、通常のスフォデラートになっています。
アットヴァンヌッチ(Atto Vannucci)
アットヴァンヌッチ(Atto Vannucci)は、先述のセブンフォールド社がタイユアタイに代わって手掛ける、日本市場向けのハウスブランド。2016秋冬シーズンにデビューしました。
シルクのクオリティと価格のバランスが良く、何より柄のセンスが抜群。今回、特にオススメです。
イタリアっぽい“ふんわり”“ゆらっと”した縫製の雰囲気を良しとするならば、非常に良いブランドです。どちらかというと、シンプルなドットやストライプよりも渋く色気のある柄が中心。
↓BEAMSにて販売中!覗いてみてください!
アンジェロフスコ(Angelo Fusco)
出典:https://www.rakuten.co.jp/antonioyoufukuten/
今回ご紹介する中で最高峰のアンジェロフスコ(Angelo Fusco)。2000年、イタリアで著名な形成外科医である、アンジェロ・フスコが趣味で始めた店が発端となったブランドです。
カスターニャ(栗)をトレードマークとして、プリントはせずにジャガード織でネクタイの柄を作り上げている点が特徴。アンジェロフスコにプリントタイはありません。
価格帯は、セッテピエゲで4万円。さらに、ディエチピエゲ(10折)、ドーディチピエゲ(12折)も作られていて、それぞれ6万、8万・・・と価格も上がります。高価ですが、最高のネクタイを締めたい方のためのブランド。
終わりに:いやいや、高いよ。もっと安いのない??
今回は以上となります。いかがでしたでしょうか。
実際には、スーツカンパニーなどで、セッテピエゲのネクタイは4,000円程度で販売されていますが、今回ご紹介した6ブランドは、いずれも非常に高価なネクタイを出しています。
ネクタイは価格でシルクの品質差がモロに出てしまいます。あまり廉価なセッテピエゲを選んでも、ラグジュアリーさは演出できません。
セッテピエゲは、とにかく贅を尽くす世界。しかし、「セッテピエゲにあらずんばネクタイにあらず」という訳ではありません。
変なセッテピエゲを買うくらいなら、フォデラートや三つ折りでも、キチンとしたモノづくりがされているものを選ぶべきです。
セッテピエゲでないコスパに優れたブランドであれば、イタリアのニッキー(Nicky)など、1万円程度の価格帯で優れたネクタイを作るところもあります。
ネクタイに興味を持ったけれど、そこまで予算がという方は、この辺りのブランドから入るのもオススメですよ!
それではまた次回!
おしまい!