バブアーが流行りすぎな理由とは|歴史や代表モデル、手入れや魅力も紹介

こんにちは、しょる(@SHOLLWORKS)です。
本日はバブアー(Barbour)というブランドが「流行りすぎ」である理由と、バブアーがここまで普及した背景にある歴史やラインナップ、ストーリー性について紹介させていただきます。
バブアーは綿生地にオイルを染み込ませた、オイルドクロスのアウターが有名な英国ブランド。
クラシックなトレンドが席巻している現在、バブアーもまた勢いに乗るブランドのひとつです。
定番商品を手入れしながら愛着を湧かせる、そんな服との付き合い方をしたい人にピッタリです。
長い歴史の中でヴィンテージマニアの心もくすぐり続ける一方、近年ではさまざまなブランドとのコラボレーションや、大手セレクトショップの別注品も多数展開しています。
ヴィンテージ好きや手入れ好きな人にも向いていて、しかも都会でも田舎でも合う、ファストファッションにはない魅力を備えたブランドではないでしょうか。

というわけで、本日はバブアーというブランドのご紹介と、あなたの価値観やライフスタイルに即した選択、そしてブランディングの価値にも触れたいと思います。
よろしくお願いします!
なぜ、バブアーは近年「流行りすぎ」なのか?
バブアーは非常に歴史の深いブランドですが、なぜ近年、ここまで流行っているのでしょう?

「流行りすぎ」という意見もあるくらいですが、確かに休日の街中に出るとよく見かけます。
ここでは、バブアーが流行っている理由を深堀りしてみようと思います。
流行のサイクルが一巡して到来している
まずは、「流行のサイクル」という点が挙げられます。
流行は30~40年程度で一巡することが多いですが、バブアーもまた80~90年代の日本からのトレンドが一巡し、再び脚光を浴びたと言えるブランドです。
(もちろん、定番として定着しているため、その間全く売れていないなどではないですが!)
元々、バブアーは1980年~1990年代、世界的(厳密には世界の先進国の都市部)においてブリティッシュブームの一翼を担っていました。
(2020年代の装いとは少し異なりますが)例えばイタリアでも、イザイアやキトンなどの「クラシコのスーツにバブアーのジャケット」というような装いが流行しており、「スーツの上にバブアー」は当時からの「定番」です。

イタリアは独自の柔軟性や進化を遂げた部分と、ファッションの起源であるイギリスへのあこがれが複雑に入り混じった価値観が(今でも)あります。
結果として、イタリアのファッショニスタの中でも「スーツやシャツはイタリア式、革靴やアウターは英国式」といった装いはかなり定番です。
クラシックブームとも相性が良い
また、汎用性の高さも、バブアーを「流行りすぎ」と思われるレベルまで押し上げている理由のひとつです。
2010年代の終わりから始まったクラシックブームに対しても、バブアーのコートはトレンドに十二分に応えているアウターを提供してくれています。
いわゆる英国のトラッドスタイルにドンズバ・・・というか、もはやバブアーそのものが英国トラッドのひとつでもあります。

腰丈以上の長さであればスーツの上にも羽織れますし、近年のトレンド推移に対して着やすいスタイルが、改めてバブアーをよく見る背景となっていると考えます。
唯一無二性がある
また「オイルドクロスのコートと言えばバブアー」というイメージが構築されており、バブアーにしかない魅力があることも大きな理由です。
実際、オイルドクロスのジャケット/コートはかつて、バブアーだけのものではありませんでした。
例えば、昔のアバクロンビー&フィッチ(アバクロ)などもクラシックな路線で、バブアー同様、オイルドクロスのアウターが有名なブランドでした。
しかし、今日まで本格的なオイルドクロスのジャケットを継続して展開しているブランドは決して多くなく、その中でもバブアーは世界的に見ても代表格と言える存在です。
これは商品の歴史はもちろん、ブランドイメージの普及、マーケティングが上手い企業だからという理由もあります。

日本国内でいえば2022年にはBarbour partners Japan(バブアー パートナーズ ジャパン)という会社が設立されました。
レディースの「スナイデル」や「ジェラート ピケ」などを展開するマッシュグループの一員で、日本におけるバブアー事業(企画・製造・小売・卸など)を担っています。
価格が高価すぎない
最後に、ちょうどいい価格帯であることも、バブアーが流行っている理由として挙げられます。
バブアーのアウターは、2025年現在の日本国内の正規店価格では、ビデイルのワックスジャケットでおおよそ6万円台後半〜7万円台前半、ロングコートであるバーレーでも8万円台前半という価格設定です。
十分高価な部類とは思いますが、有名デザイナーズブランドや英国の「マッキントッシュ」や「グレンフェル」などといったブランドと比べれば、まだ手が届きやすい価格帯であることは間違いありません。

「良いアウターが欲しくて長年愛用したいけれど、10万円オーバーのものはちょっと高すぎるなあ・・・」といった、需要に応えているブランドだと思います。
ここからは、そんなバブアーがどのような歴史を歩んできたのか、また代表モデルや手入れ方法について紹介します。
バブアーが生まれた背景や歴史、ブランドについて

Image Photo by Barbour
バブアーが誕生したのは英国イングランドの北東部にある、サウスシールズという地域です。
このサウスシールズを含む英国東海岸から北ヨーロッパの北海を囲む地域は、中世からタラやニシン漁が盛んでした。
大航海時代の幕開けによって、漁業従事者に特化した服地が開発される
15世紀頃になると塩漬け製法が確立され、魚の保存食が長期航海を可能にしました。
そして、続く大航海時代の幕開けは、まずスペインやポルトガルを、続いて英国を世界の覇権国に押し上げました。
この時代は、漁業が国力に対して大きな貢献をしていたそうです。
さらに、衣類もまた地域産業と深く結びついており、国力を支える漁業従事者に特化した服地が開発されました。
産業革命を経た近現代、極寒の北海沿岸地域で働く漁師や港湾労働者のために防寒性・防水性を高め考案された生地が、綿生地にオイルを塗ったオイルドクロスでした。
ナイロンタフタやゴアテックスといったテクノロジーが生まれる以前に考案された、歴史と地域性によって誕生した生地です。
1894年、ジョン=バブアーという人物によって開業

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そして、そんなサウスシールズにバブアーが誕生したのが1894年、ジョン=バブアーという人物によって開業されました。
この頃のデザイナーやメゾンといったものは、まだ“女性のもの”でしたが、「紳士服」の世界ではスーツが形作られると同時に、特定の労働環境に適した商品を提供するメーカーが誕生します。

バブアーもそんな「実用的」紳士服メーカーのひとつでした。

ところが、バブアーは狩猟などのアウトドアやモータースポーツの普及、そして、二度の世界大戦で英国軍に採用されるなどを経て、やがて国内外にその名が知れ渡るようになります。
バブアーのお家芸であり、サウスシールズという地域によって育まれた耐久性や防水性といった機能面。
その唯一無二のストーリーと認知の切欠を得たことが掛け合わさり、ファッションとして確立したことで有名ブランドのステータスを獲得したのです。
ロイヤルワラントを与えられたこともブランド確立に寄与

また、バブアーを語る上で欠かせないのが、ロイヤルワラントといわれる英王室御用達の認可です。
王族に愛用され、特別に認められたという事実は英国ブランドにとって大きな名誉であり、バブアーのブランドイメージを大きく向上させました。
バブアーはこの認可を与えられるチャールズ3世はもちろんのこと、近年故人となったエリザベス2世やエディンバラ公フィリップからも認可を受けていました。

エリザベス2世からは1982年、エディンバラ公からは1974年、チャールズ3世からは1987年に認可を受け、ワラントの数でヴィンテージ品の製造年代も大別されます。
なお、ロイヤルワラントは授与した王族の死去や即位に伴って更新が行われる仕組みになっており、現在はチャールズ3世名義の新しいワラントでもバブアーの名前が確認されています。
バブアーの代表的モデルを紹介|ビデイルやビューフォートのルーツとは

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魅力的な要素が詰まったバブアーですが、有名どころ&マイナーも含めて実に多様なモデルが展開されています。
どちらかといえば固有のモデルよりも「バブアーであること」に重きが置かれているのですが、あなたの好みや環境に合ったチョイスが可能なブランドともいえます。

「どんなバブアーがあるのだろう?」「どれから購入すればよいか分からない」という方に向けて、代表的なモデルをピックアップさせていただきました。
ビデイル(BEDALE)

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ビデイル(BEDALE)は、バブアーの中でも最も有名なモデル。
腰丈のショート丈ジャケットで、軽量で動きやすい「短バブアー」を代表するモデルです。
バブアーの中でも最もメジャーなモデルです。
近年はスリムシルエットからオーバーサイズのビデイル、あるいはノンオイルのビデイルまで幅広く展開されています。


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ビデイルは元々、乗馬用のジャケットとして製作されました。
短い着丈や背面の両側にあるサイドベンツ(スリット)は、元々は馬に跨るためのディテールです。
初登場は1980年と、後述のインターナショナルなどと比べれば新しいモデルですが、一般的には40年に渡って発売されているというのはロングセラーの部類でしょう。

また、袖の隠しリブによって防風性を確保していることも特徴。
コーデの幅も広く、カジュアルにカットソー1枚の上に着るも良し、通勤時にスーツの上に重ね着するも良しの万能アウターです。
ビューフォート(BEAUFORT)

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1983年に発売されたビューフォートは、腰下まであるミドル丈のハンティングジャケット。
一見ビデイルとよく似たモデルですが、ルーツは全く異なるジャケットです。
乗馬用のビデイルに対して、ビューフォートは狩猟用のジャケットに由来しています。
本来、狩猟で捕らえた獲物を入れる大容量の「ゲームポケット」が背中に配されていたり、狩りのために邪魔にならないよう袖も捲りやすく作られている点が特徴です。


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個人的には、ビューフォートが最もおすすめのモデルです。
丈感もビデイルよりスーツの上から着てサマになりやすく、ジャケットの上に着ても袖が通しやすい点が◎。

パッと見は似ていたとしても、ディテールの機能面や背景に潜むストーリーが異なる点がバブアーの魅力です。
バブアーは機能的なリアルさと、都会では手に入らない自然的な生活イメージを与えてくれます。
バーレー(BURGHLEY)

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バーレーはひざ下丈まである「長バブアー」の一着。
ビデイル同様、乗馬用のジャケットとして開発されており、長いセンターベントが歩きやすいコートです。
こちらも1980年代には登場している、ロングセラーモデルのひとつです。

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上記のモデルたちほど有名ではないものの、冬の心強い味方となるロング丈のバブアーも格好良いです。

ラグランスリーブがテーラードコートのような、フォーマル過ぎない印象を与えてくれます。
インターナショナル(INTERNATIONAL)

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インターナショナルはモーターサイクル競技用として作られ、1936年に登場したライダースジャケットです。
1920年代頃から先進国都市部に自動車やバイクが普及し始めましたが、同時に上流階級を中心にモータースポーツが広まりました。

インターナショナルはモーターサイクルスポーツの歴史と共にあり、レースシーンで活躍したことで普及したモデルです。


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インターナショナルは、元々インターナショナル・シックス・デイズ・トライアル※用に作られたモーターサイクルスーツ/ジャケットで、50〜70年代のオフロードレースでほぼ“標準装備”でした。
※ ISDT:6日間にわたって行われる世界最大のオフロードバイクレース
中でも1930年代後半〜70年代にかけて、英国インターナショナルチームはほぼずっとバブアーのスーツを着用していたと言われます。
さらに、アメリカの60年代のトップ俳優、スティーブ・マックイーンが愛用したことでも知られ、アメリカチームもロンドンでインターナショナルを購入して参戦していました。
バブアーのオイルドクロスの手入れ方法について
次に、バブアーに採用されるオイルドクロスのお手入れ方法について解説します。
汚れの落とし方
表面のほこり・泥汚れを落とす
オイルドクロス製品の汚れの落とし方は、
- 乾いた柔らかいブラシ
- やわらかい布
を使って、表面に付着したほこりや泥を払い落としましょう。
弱~中程度の汚れであれば、濡らして固く絞った布やスポンジでやさしく拭き取ることができます。

ただし、洗剤や石鹸はワックス成分を落として防水性を低下させる可能性があるため、使用はできるだけ控えてください。
頑固な汚れがある場合
表面を拭くだけでは落としきれない頑固な汚れに対しては、衣類専用のスポンジや柔らかいブラシを用い、水またはぬるま湯を使って少しずつ汚れを落としていきます。
それでも汚れが落ちないときは、バブアー純正のクリーニングサービスを利用するか、オイルドクロスに精通した専門店に相談すると安心です。
乾燥のポイント
水拭きやぬるま湯で汚れを落としたあとは、風通しの良い日陰で自然乾燥させるのが理想的です。
ただし、直射日光やストーブなどの熱源近くで急激に乾かそうとするとオイルが抜けやすくなり、結果として防水性が損なわれてしまうのでNGです。

乾燥時は生地を過度に引っ張ったり、強く絞ったりせず、十分に時間をかけて水分を飛ばすようにしましょう。
乾燥が不十分なうちに使用するとカビの発生や異臭の原因になることがあるため、完全に乾ききるまで使用を控えることが大切です。
ワックス(オイル)の再加工(リワックス)
再加工が必要なサイン
バブアーのオイルドクロスは、使用や摩擦によって生地表面のワックスが少しずつ薄くなっていきます。
具体的には、生地表面が白っぽくなったり、擦れた部分の色合いが変化してきたりしますが、水の弾きが悪くなったと感じたら再ワックスのタイミングです。

ヘビーユースするなら、「年に1回」を目安にリワックスするのが安心です。
とはいえ、回数を増やせば良いというものではないので、シーズンごとに状態をチェックして「白っぽさ」「撥水性の低下」が気になってきたタイミングで行うくらいの感覚で大丈夫です。
バブアー純正ワックスを使う
オイルドクロスの再加工をする際は、バブアー純正ワックス(ソーンプルーフ・ドレッシング)を使用するのが最も安心&確実です。
リプルーフの手順としては、
リプルーフの手順
- まずはワックス缶を湯せんなどで温め、ワックスを柔らかく溶かしておく。
- 作業前に表面のほこりや汚れを落とし、縫い目や袖口・襟まわりなど擦れやすい部分を中心に、温めたワックスを清潔な布やスポンジで薄く均一に塗り広げる(塗り込みの際には塗りすぎに注意し、ほんの少量を少しずつ重ねるようにすると、仕上がりにムラが出にくくなります)。
- 塗布後は、生地にワックスがしっかり浸透するよう、ドライヤーの弱風や自然の温度で全体を温めながら馴染ませるのがおすすめ。
- 最後に、風通しの良い涼しい場所で一晩〜24時間程度かけて十分に乾燥させる。

こうすれば、オイルドクロス本来の防水性と独特の風合いがよみがえります。
バブアーのケアに関するあれこれ|オイルドクロスの臭いは?手入れは面倒?
オイルの臭い問題は、概ねクリアされている
バブアーの大半の商品には、ワックスを塗布した綿生地である「オイルドクロス」が使用されています。
最近はノンワックスのモデルも展開されていますが、
という方は多いと思います。
結論、今現在バブアーで使用されているオイルの臭いはかなり抑えられており、多くの方にとってほぼ気にならないレベルです。
余程過敏な嗅覚をお持ちの方でない限り、「昔のオイルドジャケットの強烈なにおい」を想像する必要はないと思います。

ワックスの詳しい成分配合は企業秘密で、公にされてはいませんが、現行品は「無臭に近く、ベタつきもかなり抑えられている」バランスに調整されています。
手触りに関してもサラサラとしていて滑らかでベタベタした感じはほとんどなく、「しっとりしているけれど扱いやすい」といった印象です。
オイルに関しては、ヴィンテージよりも現行のものが良いと思います。
時代と共に改良が重ねられており、近年までは強烈な臭いでした(もっとも、その臭いが良い、という方もいらっしゃいますが・・・)。

(余談ですが)19世紀末〜20世紀初頭のオイルドクロス全般では、魚油や亜麻仁油など、現在よりもずっとクセのあるオイルが使われていた時代もあったようです。
暴風雨吹き荒れる寒冷地ならいざ知らず、温暖な都市部で日常的に着るにはかなりハードだったはずで、そのギャップもまた歴史の面白さだと思います。
都会にオイルドクロスは向かない?ずぼらな人には向かない?
ただし、オイルの臭いは解決されていても、向いていない場面があることは否めません。
例えば、すし詰めの満員電車に乗ったり、会社のコート掛けが共用の場合などは気を使います。
生地にしっかり染み込んでいれば易々と付着したりはしませんが、それでも気を使ってしまうのではないでしょうか。
また、オイルドクロスの商品自体、ずぼらな人には向きません。
普通のクリーニングでは対応していないため、定期的なブラッシングと固く絞った布でのメンテナンスが必要になります。
さらに先述のとおり、油も少しずつ抜けていくため入れ直す「リプルーフ」も必要になります。

それらを加味した上で愛着が湧くか否かが重要で、間違っても「廉価で購入してトレンドが去ったら捨てる」人向けではありません。
ご自身の性格や環境を考慮した上での判断が、オイルドクロスと向き合う第一歩になります。
オイルドクロスが面倒!という人には、ノンワックスのモデルもあり
バブアーというブランドには魅力を感じるけれど、
という方には、ノンワックス(ノンオイル)のバブアーも選択肢に入ります。
え、それって最早バブアーじゃなくても良いのでは・・・
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、近年のノンオイルシリーズの登場は、バブアーというブランドの多様なニーズに応える歩みでもあります。

正直、個人的には、オイルドクロスのバブアーの方が魅力的には映ります。
ただ、ノンワックスのバブアーも上質なエジプト綿やコーデュラといった上質な素材で作られているため、生活環境や性格に合わせて選ぶのも一手です。
【Q&A】バブアーの疑問に答える
そして、ここまでの内容やその他をまとめて、Q&A形式にしました。
終わりに|ファッションの「不便益」と使用環境、独自性を考える

今回は以上です。
実際、機能的な部分だけを切り取るのならば、バブアーのオイルドクロスはゴアテックスには敵わないと思います。
しかし、個人的にはバブアーから気軽に買って捨てるだけでは味わえない経験と、大切にするマインドを学びました。
また、バブアーは本国の工場や日本国内の正規窓口を通じて、修理やリワックスにも対応してくれます。
袖口のほつれやライニングの破れ、ジッパーのトラブルなど、ある程度までのダメージであれば直しながら着続けることができます。
長年のアーカイブ生地やパーツを活かしつつ、できるだけ元の雰囲気を損なわないよう修理してくれる体制が整っているのは、とても心強いポイントです。

「壊れたら買い替える」のではなく、「直しながら着続ける」前提で仕組みが用意されているブランドだからこそ、数十年単位で付き合っていける一着になり得ます。

ファッションの多くは「都会へのあこがれ」を産業にしてきました。
ファッション業界の人間に地方出身者が非常に多いことを感じているのは、私だけではない筈です(そして、かくいう私もその一人です)。
現状、日本は東京以外、都市としてファッションを確立させている地域はないと言って良いと思います。
近年の東京における都市再開発計画は、商業施設に次ぐ商業施設ばかりで決して魅力的には映りませんが、これまでファッションのカルチャーは東京が中心でした。
そして、これからの地方がブランディングとして目指すべきは「東京ではない」独自性です。
田舎から発祥したバブアーは都市部はもちろん、田舎の風景にも良く似合う。
都会へのあこがれを目指さない生き方があって良いですし、あえての地方在住をもって自己実現する人も出現しています。
日本は、世界中どの地域でも着られるユニクロを生みました。
素晴らしいことですが、ヒストリーや圧倒的な格に裏打ちされた「エルメス」は生めません。
それ以上に、バブアーのように地域の独自性とブランディングを両立させたものを(少なくとも今までは)生めなかったことを、とても残念に思えます。
ブランドを纏うのか、歴史性を纏うのか。それとも、それらを一切捨ててコスパや機能を追求した合理性を纏うのか。
絶対的な正解・不正解はなくとも、何が私たち自身に、この国の将来にとって良い選択になるのか。
一度立ち止まって考えて、そして選んでいただけたら幸いです。
おしまい!
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