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SHOLL(しょる)
ファッションブロガー・デザイナー・服飾評論家
1987年生まれ。国内大手アパレルメーカーのデザイナーズブランドを経て、伊ファッション・コングロマリットでデザイナー職を4年間経験。

現在は日本の服飾産業を振興するため、SHOLLWORKSを運営する傍ら、ファッション分野を中心にマーケティング支援も行っています。

素材の機能性からパターンまで精通し、シンプルかつ素敵な服装の普及に努めています。
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なぜ、日本の春夏には「モヘア混」なのか?素材の特徴や主要生地の紹介、リングヂャケットマイスターの実物レビュー

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私物のリングヂャケットマイスター「286」ウールモヘア生地のホップサックジャケット。上襟~チェスト部分のアップ画像。色はダークネイビー。

こんにちは、しょる(@SHOLLWORKS)です。

本日は、春から初夏の季節に向けた 「スーツやテーラードジャケットの素材」 について、モヘア混(以下ウールモヘア」)の魅力を、実物レビューも含めて解説・紹介します。

「春夏物」といえば薄手であったり、軽さを重視した服を思い浮かべる方も多いと思いますが、 高温多湿な日本の夏において、単に「薄いウール生地」を選ぶことは最適解ではありません。

なぜなら、原毛の細いウールで織られた生地は湿気×摩擦で弱くなりやすく、また薄くてもベタっと貼りつくような生地の場合、却って暑く感じることもあるからです。

そして、「日本のように高温多湿な春夏における最適解のひとつ」 が、 「モヘア(アンゴラヤギの毛)」を混紡したウール生地 です。

これは、モヘアのシャリ感やシワ耐性、肌離れの良さなどがウールと混ざることで、互いの短所を補い、互いの長所を活かす組み合わせの生地になることが理由です。

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「春夏といえばモヘア混」と耳にする人は少なくないと思いますが、本日はその理由を毛の特性もふまえ、さらに私物のリングヂャケットマイスターも紹介していきます。

ぜひ、最後までよろしくお願いします。

著者「SHOLL(しょる)」プロフィール

1987年生まれ。国内大手アパレルメーカーのデザイナーズブランドを経て、伊ファッション・コングロマリットでデザイナー職を4年間経験。現在は日本の服飾産業を振興するため、SHOLLWORKSを運営する傍ら、ファッション分野を中心にマーケティング支援も行っています。

素材の機能性からパターンまで精通し、シンプルかつ素敵な服装の普及に努めています。


※当サイトのコンテンツは著者の知識と専門性、情報に基づき、完全に独自に制作しています。PRの有無に関わらず、メーカーはコンテンツや評価の決定に一切の関与をしていないことを宣言します。なお、この記載は景表法第5条第3号を遵守するためのものです。

目次

なぜ、モヘア×ウールは春夏に最適なのか?

まず、なぜ「春夏物」にウールモヘア素材が出回るのかについて、毛素材の特徴を比較しながら紹介します。

モヘアという毛素材についての概要と特徴

モヘアは写真の「アンゴラヤギ」という動物から採れる毛素材。

ウールと比べて スケール(鱗状の表皮)が滑らかで繊維自体が太く、強いハリとコシを持っていることが特徴です。

出典:https://www.fashionsnap.com/article/2017-10-23/wool-abc2/

ウール(羊毛)は吸湿性が高い素材ですが、湿気を含むとスケールが開いて絡み合い、摩擦に弱くなる性質があります。

一方、モヘアは湿度があってもスケール(鱗状構造)が浅くて開きにくく、疎水性が強く、しかも毛自体もストレートに近いため摩擦が起きにくい性質があります。

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つまり、ウールが吸湿性を担当し、モヘアは湿気を含んでも生地がへたらない骨格の役割を果たすという役割分担が可能です。

しかも硬くざらついているため、ドライタッチな感触も涼しげな要因になります。

モヘアとウールの性質の違いを比較

モヘアとウール素材の、毛素材の性質における違いをもう少し詳しく見てみましょう。

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項目モヘアウール
原料アンゴラヤギの毛羊の毛
断面・表面スケール(うろこ)がなだらかで滑りやすいスケールがはっきりして噛みやすい傾向
クリンプ(縮れ)少ない多い
光沢(艶)強い(自然な艶が出やすい)中〜控えめ(品種・仕上げ次第)
ハリ強いしなやかで柔らかめ
反発・形状保持高反発そこそこ
引張強度(繊維の強さ)強いそこそこ
摩耗耐性(表面の痩せ)強い生地設計次第
毛羽立ち出にくい出やすい
毛玉(ピリング)出にくい出やすい
シワの入りやすさ入りにくい入るが回復しやすい
クリース保持(折り目)保ちやすい丸くなりやすい
吸湿性(公定水分率の傾向)ウールよりも低い高い
体感温度ドライで熱がこもりにくく感じやすいふっくら空気を含むため保温性を感じやすい
フェルト化(縮絨しやすさ)起きにくい起きやすい
染色の見え方艶がある分、色が深く見えやすいマット寄りで落ち着く

この比較表からも分かるとおり、モヘアは基本的に「丈夫」と言って間違いない素材です。

繊維が比較的ツルッとしていて絡み合いにくいため、繊維同士が噛み合ってふくらむ感じが出にくく、結果として空気層を抱え込みすぎない生地に設計しやすく、暑くなり過ぎない生地にすることが可能です。

さらに、ハリがあることで生地にシャリ感が出る場合が多く、ドライタッチな点も春夏に向いている要素です。

しかし、仮にモヘア100%の生地にしてしまうと固すぎて柔らかさが足りなくなってしまいますし、吸湿性自体はウールに劣るため、湿度の高い環境に向かなくなってしまいます

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実際、「モヘア100%」という生地は存在しますが、上記に加えて毛の摩擦係数が低すぎて組織が滑りやすく、糸が生地から滑脱しやすいという問題もあります。

つまり、ウールとモヘアの二つを混紡することで、「ウールのしなやかさや吸湿性」「モヘアの通気性とハリ、耐久性」のバランスを取ることができます。

モヘアとウールを適度に混紡することでバランスを取っている

ウールモヘアの混率は生地によってまちまちですが、「耐久性」と「柔らかさ」のバランスを考慮して、モヘアの混率は概ね10%~50%の範囲に収まることが多いです。

モヘア100%という服地も一応は存在しますが、(ウエイトや織りにも依るものの)かなり固い着心地になるうえ、しかもモヘアは摩擦係数が小さな素材であることから生地の滑脱リスクが高くなってきます。

生地としては、経(たて)糸にモヘア、緯(よこ)糸にウールといった使い方が多いです(特別な意匠性を持たせたい場合は別)。

これは、服の布地はまず経糸を強い力で張り、緯糸を通して織るのが一般的であることから、張力や摩擦の負担が大きい経糸側に、比較的強度が高くハリも出やすいモヘアを配する方が合理的だからです。

緯糸にウールを使えば、ふくらみやしなやかさで風合いを整えやすく、モヘアのシャープさとバランスを取りやすくなります。

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料理で言えば、 「つなぎ」と「具材」のバランス のようなものです。

あとは、混率だけでなく、「敢えて緯糸にモヘアを使用して柔らかさ重視」「2plyや4plyにして通気性やナチュラルストレッチ性を持たせる」などの意匠性もあります。

モヘアはクリアな色が「立つ」素材

さらに、モヘア特有の 「金属的」とも言われる光沢が見た目にも涼しげで、強い日差しの下で非常に美しく映えることも、ウールモヘアが春夏に最適な理由です。

モヘア混の生地は明所ならクリアな発色に、暗所ならより黒く佇む発色に特徴があります。

モヘア混(左)の方がクリアに、
ウール100%の生地の方が青紫になる

写真は、モヘア52%・ウール48%の混紡生地(画面左)と、ウール100%(ロロピアーナ「フォーシーズンズ」)(画面右)の生地を並べたもの。

ともにカラーはネイビーですが、モヘア混の生地は深く青っぽい紺になるのに対して、ウール100%の生地は相対的に青紫っぽいカラーになります。

これは染料の違いというよりも、モヘアはウールと比べて染まりがやや浅めのクリアな表情になるのに対し、ウールは深く染まるため、混紡することで表情の濃淡によって色に立体感が出ることが理由のひとつ。

もっと言うと、ネイビーは青と赤の染料を使うことが多いですが、ウールの場合は表面にスケール(鱗)があることで表面の凹凸構造に光が当たると乱反射(拡散反射)し、短波長である青の鋭い反射が弱くなって色が沈む(=赤が出る)という原理です。

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モヘアは「色が立つ」と言われることがありますが、青の反射が保たれることで、この素材にしか出せない色になると感じています。

どちらが良いかは完全に好みですが、個人的にはモヘア混とネイビーという色の組み合わせは、とても素敵な化学反応が起きていると思います。

主なミル/マーチャントのウールモヘア生地を紹介

「ウールモヘア」と一口にいっても、ミルやマーチャントによってモヘアの混率や生地の雰囲気などは異なります。

モヘア混率が低めなら、ウールのしなやかさやふくらみを残しながら、ハリや光沢を少し足したようなバランスになります。

逆にモヘアの混率が高くなるほど、ドライなタッチや反発力、輪郭の立った見え方が強くなり、よりシャープで構築的な表情になりやすいです。

モヘア混は平織りが中心ですが、単に「モヘア混だから涼しい」「モヘア混だから高級」という見方ではなく、どのくらいの混率で、どんな方向の風合いを狙っているのかまで見ると生地の解像度が上がります。

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ここでは、代表的なミル/マーチャントのウールモヘア生地を、ほんの一部ですが紹介します。

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ミル/マーチャント生地名・シリーズ名混率(代表例)特徴
William Halstead(英)「ブリティッシュモヘア」ウール53%・キッドモヘア47%/
サマーキッドモヘア60%・ウール40%など多数
公式でも自らを「Masters of Mohair」と掲げるほど、モヘアを象徴的に扱う英国ミル。
中でも「ブリティッシュモヘア」は看板シリーズとして位置づけられており、まずウールモヘア生地を検討する際にチェックすべきといっても過言ではありません。
「ケープタウン」はもう少し汎用性が高い実用派で、「カーニバル」は華やかな色柄のバンチが多いコレクションです。
「ケープタウン」ウール70%・モヘア30%など
「カーニバル」キッドモヘア60%・メリノウール40%など
Holland & Sherry(英)「クラシックモヘア」ウール85%・キッドモヘア15%/
ウール75%・モヘア25%など
英国系ウールモヘアの代表格です。
15%は使いやすく、25%はモヘアらしいハリとシャープさがより明確に出やすい特徴の生地になっています。
「イングリッシュモヘア」Super 100’sウール80%・モヘア20%英国らしい端正さとドライなタッチが出やすいシリーズです。
20%前後は、ウール感とモヘア感のバランスが比較的分かりやすい混率帯でもあります。
Dormeuil(仏)「モヘアコレクション」ウール84%・モヘア15%・ライクラ1%伝統的なモヘア感に、ライクラを加えたストレッチ性によって現代的な実用性を少し加えた設計です。
クラシック一辺倒というより、日常での扱いやすさにも配慮された印象があります。
「トニック」モヘア90%・ウール10%など
「トニック」はドーメルを代表する歴史的なモヘア服地の一つで、1957年から続くシリーズ。
現行でもモヘアラインの象徴的存在として扱われており、ウェイト300gオーバーで、輪郭を立てて見せる生地が中心です。
「トニック2000」は現代向けに糸の性質から見直し、配合や使い勝手を整理し直したシリーズです。
「トニック2000」ウール70%・モヘア30%など
「スーパーブリオ」モヘア56%・ウール44%トニックに並ぶドーメルの代表的な生地シリーズ。
こちらはウエイトが250g程度のバンチが多いですが、かなりのモヘア高混率で、モヘアらしさがより前面に出やすい生地シリーズです。
Scabal(ベルギー)「キングストンベイ」ウール90%・モヘア10%など軽やかな夏向けウールモヘアとして知られ、ウエイトも240g程度のモデルが中心。
モヘア感を強く出すというより、軽快さと上品さを両立する方向性のシリーズ。
Vitale Barberis Canonico(伊)「モヘアツイル」「モヘアクアトロ」などウール7~8割弱・モヘア1割強~3割程度ハイブランド御用達のウールモヘアの生地の定番。
英国物ほど硬質一辺倒ではない一方、ハリや反発感はしっかり感じやすい点が特徴です。
御幸毛織(日)「ナポレナ・チャンピオンモヘア」
ウール53%・モヘア47%/
ウール50%・モヘア50%など
(バンチによってシルク混生地もあり)
日本を代表する御幸毛織の「ナポレナ」は、同じく日本のウールモヘアを語るうえで外しにくい定番です。
1981年以来、40年以上のロングセラーシリーズで、国内テーラーでも流通実績が豊富です。
国島(日)「The KUNISHIMA 1850」ウール81%・キッドモヘア19%など日本の服地好きの間で名前が挙がりやすいミル。
300gオーバーのしっかりしたウエイトと、仕立て映えする平織生地によるしなやかさとハリの共存が語られることの多いミル。

といった感じです。

英国ミル、特にウィリアムハルステッドが強く、ドーメルも充実していますが、個人的には日本のミルである「御幸毛織」や「国島」も、非常に高品質のウールモヘア生地を展開しているため要注目です。

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書ききれないので代表的なミル/マーチャントのシリーズだけですが、まずはこの辺りを中心に探してみると良いと思います。

リングヂャケットマイスターの「286」ウールモヘアジャケットをレビュー

私物のリングヂャケットマイスター「286」ウールモヘア生地のホップサックジャケット。上襟~チェスト部分のアップ画像。色はダークネイビー。

実際に、ウールモヘア生地の服がどのような表情になるかも、実物レビューで確認してみましょう。

今回ピックアップするのは、 リングヂャケット(RING JACKET) の上級ラインである「リングヂャケットマイスター(RING JACKET MEISTER)」 レーベル「286」モデルのジャケットです。

モヘア52%、ウール48%の「高混率モヘア」生地

私物のリングヂャケットマイスター「286」ウールモヘア記事のホップサックジャケット。トルソーに掛けられた全体画像。色はダークネイビー。

モヘア52%・ウール48%の混率で色はダークネイビー、ホップサック織りながら生地のウエイトは360gと、ヘビーウエイトで迫力ある一着です。

2025年春夏シーズンのもので、価格は242,000円(税込)でした(2026年春夏は同素材のブレザーが275,000円で展開されています)。

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ここ数シーズン、リングヂャケットは「高混率モヘア」を積極的に展開しています。

敢えて緯糸にモヘアを使用して柔らかさを追求した「クラドックモヘア」などのオリジナル生地も展開していますが、こちらは英国生地メーカーにエクスクルーシブ生地として発注したものだそうです。

こちらの動画で紹介されている
シングルジャケットです

ウエイト360gというしっかりした生地感×ホップサック

今回レビューするジャケットの生地は、 ウエイトが360g という、かなりしっかりとした重さのあるもの。

しかし、生地が「ホップサック織り」 であることと、モヘアのドライタッチ感が合わさって動きやすく、涼しげな一着になっていることが特徴です。

私物のリングヂャケットマイスター「286」、ジャケットのボタン部分。本水牛ボタンとヘビーウエイトのホップサック生地。
ホップサック生地のざっくり感と
モヘア混の深みを感じる

ホップサック織りとは、(糸を強く撚(よ)ることで)固く強度を高めた強撚糸(きょうねんし)を使い、荒目に織ることで麻袋のような抜群の強度と通気性を誇る織りを指します。

ビールの苦味原料であるホップを入れる麻袋(ホップサック)に表情が似ていることから、このように呼ばれる粗い平織りの生地です。

糸と糸の間に隙間があるため高い通気性を確保できますし、モヘアの高混率による可動域の問題に関しても、ホップサック織りにすることでナチュラルストレッチが効きやすくなります。

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生地自体に重さ(ウエイト)があっても、 通気性が良ければ熱は逃げます。

ウエイト360gのしっかりしたモヘア混生地は 「鎧」のような安心感がありながら、風が通り抜ける「網戸」のような構造を持っています。

マイスターラインの「286」モデルによるクラシックな様相

私物のリングヂャケットマイスター「286」、襟まわりのアップ画像。一枚襟とアイロンワークで吸い付くような襟の構造になっている。
襟周りの吸い付きと
低めのゴージラインが特徴の「286」モデル

仕立ては、リングヂャケットマイスターの 「286」モデル 。

2026年現在のリングヂャケットマイスターのジャケット単体モデルは「254(254IN)」か「286 」モデルが中心ですが、「286」はよりスタンダードな数値感とクラシカルな様相で、A体寄りの体型に合いやすいモデル です。

「286」モデルの特徴

  • ラペルが広め
  • ゴージがやや低めで、落ち着いた顔つき
  • シルエットは細すぎず、太すぎず

各モデルの特徴はこちらで紹介しています。

色・形状が「凛」と立つ

この「286」モデルとウール52%・モヘア48%の生地が融合することで、見た瞬間は端正でクラシック、着るとドライで意外にも軽快な一着になります。

私物のリングヂャケットマイスター「286」、ジャケットの袖部分。本水牛ボタンとヘビーウエイトのホップサック生地。
独特の光の拾い方が凛とした表情に

モヘア高混率の生地によってジャケットの輪郭が立ち、凛と見えるジャケットでありつつ、見た目にも実際の着用感においても重すぎない。

現代的だけどシャープになりすぎない、クラシックさを兼ね備えたジャケットという、都市部でも観光地でも映える大人の一着です。

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実際に袖を通すと分かりますが、 「生地は線が立つ硬さがありながら、肩への乗り方はふわっとしている」 という不思議な感覚をおぼえます。

イセ込みや襟のアイロンワークを駆使できる、国内随一のファクトリーの仕立てによって生地が活かされていると感じます。

コーデは4plyなどのフレスコや、ある程度オンスの高いデニムなど

ヘビーウエイトのウールモヘアのジャケットに合わせるコーディネートを考えるなら、生地に負けない「強さ」のある素材や生地のものを合わせるのがおすすめです。

テーラードパンツ

フレスコ(2plyや4plyなど)のような、ハリコシのある強撚ウール素材のパンツがモヘアの質感とマッチし、通気性も抜群であることも実用的な面で◎。

カラーはミディアムグレーを起点に、ブラウンやオリーブグリーンなどと合わせるのが鉄板です。

また、艶感が少ないパンツの場合は、ジャケットとシューズで艶感を演出するメリハリが良いと思いますし、そこそこ艶感のある生地ならば、靴をスエード素材などで落ち着けるのも良いと思います。

デニム

デニムも合いますが、ライトオンスでタイトなデニムというよりは、オンスが中程度~高め(12~15oz程度)のジーンズと相性が良いです。

リジッドはもちろん、正藍染め/本藍染めのような淡いインディゴもトーンオントーンで統一感あるジャケット&デニムコーデになりますし、マットな黒ジーンズもジャケットの艶感が映えるので良いですね。

シルエットは太すぎず細すぎず、ストレート~ややテーパード程度が「286」のクラシックさを崩さない塩梅だと思います。

インナー

ジャケパンに映えるドレスシャツはもちろん、無地TシャツでもOKです。

ドレスシャツの場合、色は白・ライトブルーのポプリンやブロード生地はもちろん、シャンブレーシャツも相性が良いと思います。

襟はセミワイド~ワイドでノータイを狙うも良し、レギュラーカラーでネクタイを締めるのも良いと思います。

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結構何でもいけちゃいますが、あまりシャープすぎず、カジュアルすぎずを心掛けると合う場合が多いです。

あとは、どこに光沢感を持たせて(ジャケットと靴など)、どこを奥にしまうか(パンツ)などを意識すると、意図を感じられる良いコーデになりやすいですよ。

\ リングヂャケットの購入はこちら/

リングヂャケット(RING JACKET)ウールモヘアジャケット
created by Rinker

【Q&A】ウールモヘア素材の疑問に答える

そして、ここまでの内容やその他をまとめて、Q&A形式にしました。

なぜ日本の春夏にはモヘア混のスーツやジャケットが向いているのですか?

モヘア混の生地は湿気に強く、ドライタッチで肌離れが良いため、高温多湿な日本の春夏でも快適に着やすい素材だからです。

ウールは吸湿性に優れますが湿気を含むと繊維が絡みやすくなり摩擦に弱くなる性質があります。

一方モヘアは繊維表面のスケールが滑らかで湿気の影響を受けにくく、生地にハリと通気性を与えるため夏向けの服地として適しています。

モヘアとはどんな素材ですか?

モヘアとはアンゴラヤギの毛から作られる天然繊維で、強いハリと光沢を持つのが特徴の素材です。

繊維表面のスケールが滑らかで直毛に近いため摩擦が起きにくく、毛羽立ちや毛玉が出にくい性質があります。

また自然な艶と反発力があり、生地の輪郭がはっきり立つためスーツやジャケットではシャープな印象を作りやすい素材です。

ウールとモヘアの違いは何ですか?

ウールは柔らかさと吸湿性に優れる素材で、モヘアはハリや光沢、耐久性に優れる素材という違いがあります。

ウールは繊維の縮れが多く空気を含みやすいため保温性が高く、ふっくらした風合いになります。

モヘアは繊維が比較的ストレートで強度があり、反発力やシワ耐性が高くドライで涼しい質感になりやすい特徴があります。

モヘア100%の生地は存在しますか?

モヘア100%の生地は存在しますが、実用的なスーツ生地としてはあまり一般的ではありません。

モヘアだけで作るとハリが強すぎて硬い着心地になりやすく、吸湿性もウールより低くなるため湿度の高い環境では扱いにくくなります。

さらに摩擦係数が低いため糸が滑りやすく、生地設計が難しくなる点も理由の一つです。

ウールモヘアの混率はどれくらいが一般的ですか?

ウールモヘアの混率は生地によって異なりますが、一般的にはモヘア10%〜50%程度の範囲が多いです。

モヘアの割合が低い場合はウールの柔らかさを保ちながら少しハリや光沢を加える仕上がりになります。

逆にモヘアの割合が高くなるほどドライなタッチや反発力が強くなり、シャープで構築的な印象の生地になります。

モヘア混の生地はなぜ発色が良いと言われるのですか?

モヘアは光沢が強く光を反射しやすいため、色がクリアに見えやすい素材だからです。

ウールは表面のスケール構造によって光が乱反射しやすく、ややマットで落ち着いた色味になりやすい傾向があります。

そのためモヘアが混ざると光の反射が強くなり、ネイビーなどの色でも青みが立つような立体的な発色になる場合があります。

終わりに|ウールモヘアは機能性を「装い」に昇華する春夏の大定番

今回は以上です。

ウールモヘアの生地 は、高温多湿な日本の春夏において、ひとつの正解となるもの。

同じ毛素材でもモヘアのウールとは異なる特性、特に耐久性や耐シワ性、空気を溜めこまない性質はとても向いていると言えます。

もちろん、紹介したングヂャケットマイスターのようなテーラードジャケットに関しては、盛夏にジャケットそのものがキツい時代になっているため、実質的に着られるのは春先や秋口までです。

それでも湿気に負けない通気性や耐久性、そして独特の高級感を感じさせてくれる服は頼もしいですし、構造的にも10年、20年と着られる超定番のネイビージャケットであることも確かです。

もっというと、モヘア混生地のネイビーの映え方は個人的にも非常に好みで、春夏のネイビージャケットを探すならモヘア混のものをおすすめしたいです。

昨今は、洗える化学繊維のスーツや、ジャージー素材のセットアップも進化しており、確かに便利で機能的な良さはあります。

しかし、 天然素材が持つ奥深い光沢や、経年変化していく風合い、そして仕立ての美しさも、やはり代えがたい魅力がありますし、どちらの良さも分かってこそファッションは楽しいものだと思います。

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ウールモヘアの生地に触れて、服を纏ってみて、ぜひあなたにとってベストな混率の生地や商品を手にしてみてくださいね。

おしまい!

(少しでもお役に立てたなら、SNSに拡散していただけると嬉しいです!)

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本当に良い、ブランドを。

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