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SHOLL(しょる)
皆さまこんにちは。“SHOLLWORKS”運営者のSHOLL(しょる)と申します。

1987年、山梨県甲府市生まれ。国内デザイナーズブランドを経て、ファッションコングロマリットのブランドでデザイナー職を経験。

現在は東京都在住、ブランディングとマーケティングを涵養させる活動も行っています。
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洋服の青山「ヒルトン」から夏の冷感スーツ登場、高機能スーツと本格仕立て、コストカットの交差点

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洋服の青山は、最上級ブランド「ヒルトン」より、夏向けの新作「キュプラ混冷感スーツ」を2025年6月17日(火)から「洋服の青山」主要500店舗および公式オンラインストアで発売しました。

ビジネスウェアのカジュアル化と機能性への要求が高まる中、このスーツは軽量性、清涼性、そして高いストレッチ性を持ちながら、本格的なスーツのディテールを保持することを目指したスーツです。

ヒルトン(HILTON)セットアップスーツ
created by Rinker

著者「SHOLL(しょる)」プロフィール

1987年生まれ。国内ブランドを経て、伊ラグジュアリーブランドのデザイナーとして4年間勤務。現在はデザイナーの他、日本の服飾産業を振興するため、マーケティング支援も行っています。

素材の機能性からパターンまで精通し、シンプルかつ素敵な服装の普及に努めています。


※当サイトのコンテンツは著者の知識と専門性、情報に基づき、完全に独自に制作しています。PRの有無に関わらず、メーカーはコンテンツや評価の決定に一切の関与をしていないことを宣言します。なお、この記載は景表法第5条第3号を遵守するためのものです。

目次

ヒルトン「キュプラ混冷感スーツ」の主な特徴

「キュプラ」を混合し、滑らかな肌触りを実現し

表地には、高級スーツの裏地にも用いられる「キュプラ」を混合し、滑らかな肌触りを実現しています。

また、裏地にも同様にキュプラを採用することで、袖通りの良さに加え、高い吸放湿性により衣服内のベタつきやムレを軽減し、夏場でも涼しい着用感をサポートします。

ナイロン&ポリウレタンによるストレッチ性

表地にナイロンとポリウレタンを使用することで、通常のスーツと比較して約3倍のストレッチ性を確保しています。

また、素材の性質上、型崩れしにくいという特徴も持ち合わせています 。

ステッチや本切羽仕様といった「ヒルトン」らしさは健在

スポーティな風合いの生地を使用しつつも、襟やポケットのエッジにステッチを施す「フルステッチ仕様」や、袖口のボタンが実際に開閉できる「本切羽」といった、本格的なスーツのディテールをそのまま採用。

ブランドが意図する高級感を演出しています 。

商品概要

  • 商品名:キュプラ混冷感スーツ
  • カラー:ネイビー、グレー、ベージュ
  • 素材:ナイロン69%、キュプラ11%、ポリウレタン20%
  • サイズ:YA3~BE8 全23サイズ
  • 販売価格:税込54,890円

市場背景とこのスーツの位置付けは?ぶっちゃけどう?

この手のスーツ、数年前はユニクロやスーツ量販店の廉価なブランドくらいしか発売していませんでした。

しかし昨今、市場では軽量な化学繊維を用いた機能性スーツがすっかり普及しました。

SHOLL
SHOLL

スーツ量販店とは言え最高峰ブランドの「ヒルトン」や、「KASHIYAMA」などからも発売されている背景を少し深堀りしてみたいと思います。

ウールから離れたいほどに酷暑の夏

第一に、もはや亜熱帯化とも言われる日本の夏の「酷暑」です。

生命の危険すら感じるほどの暑さの中を通勤し、働くビジネスパーソンにとって、衣服の「軽量性」や「涼しさ」は、単なる快適性の問題ではなく、パフォーマンスを維持し、健康を守るための必要不可欠な要素となりつつあります。

少しでも軽く、少しでも涼しいものを求めるのは、極めて切実な需要なのです。

SHOLL
SHOLL

正直、スーツ着ること自体見直した方が良いかもしれませんが・・・

コストカットしたいメーカーの思惑もある

そして第二に、メーカー側の事情

昨今の円安や原材料費の高騰を受け、ウールといった伝統的な天然素材を主軸にしたスーツは、どうしても価格が上昇してしまいます。

消費者の購買力が伸び悩む中で、商品が「高すぎて買えない」価格帯になってしまうことを避けるため、コストを管理しやすい化学繊維の活用は、メーカーにとって避けられない選択肢とも言えます。

この「酷暑から逃れたい消費者」と「コストを抑えたいメーカー」双方のニーズが合致した結果、市場には軽量で手頃な化繊スーツが溢れることになりました。

しかしその一方で、これらの多くは機能性と引き換えに、ウールなどが持つ本来の重厚感や、本質的な意味での「高級感」は表現しにくい、という側面も持ち合わせています。

SHOLL
SHOLL

「高級感」は分かりにくいですし、高級感とも言っていられないお財布や気候事情があることも間違いありません。

機能性×コストを両立させたスーツ専門店の処世術

今回のヒルトンの新作は、まさにこの課題に対する、非常に巧みな回答です。

ベースにはナイロン・ポリウレタンという現代的な機能素材を使い、夏の過酷な環境に対応する「軽量・快適性」と、メーカーとしての「価格の安定」という両方の要求に応えています。

その上で「高級感の不足」という課題に対し、「本切羽」や「フルステッチ」といったディテールを加えることで、付加価値を高めようとしています。

これは、「機能性スーツの快適さは欲しいが、安っぽく見えるのは避けたい」と考える、より成熟したビジネスパーソンに向けたアプローチです。

本格的なスーツと手頃な機能性スーツとの間に存在する、「快適で、かつ、きちんと見える上質な一着」というゾーンを、暑すぎる夏と高騰するコストから導き出したプロダクトと言えます。

ヒルトン(HILTON)セットアップスーツ
created by Rinker

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本当に良い、ブランドを。

SHOLLWORKSは、プロの目線からファッションに関する情報と価値観をお届けします。

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1987年生まれ。国内ブランドを経て、伊ラグジュアリーブランドのデザイナーとして4年間勤務。
現在はデザイナーの他、日本の服飾産業を振興するため、マーケティング支援も行っています。
素材の機能性からパターンまで精通し、シンプルかつ素敵な服装の普及に努めています。



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