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ユニクロ「+J」のシャツ

ユニクロ「+J」が2020awに復活。ジルサンダーについての話もします。

ユニクロ「+J」のシャツ

「+J」とは?→世界的デザイナー、ジルサンダーによるユニクロのライン

Image Photo by Uniqlo

・ユニクロ史上、最高にカッコいい

・価格は高めだが、その分の価値アリ

・人気アイテムは完売必至

ユニクロは8月25日、世界的デザイナーである、ジルサンダーが手掛けるライン「+J」が、2020秋冬シーズンから復活することを発表しました。具体的なアイテムの発表はこれからですが、期待できるコレクションなので要チェックです。

「+J」はかつて、2009awから2011awまでの5シーズンに渡って展開されていました。2000年代の中頃から、新進気鋭のデザイナーとコラボレーションを重ねていたユニクロですが、「+J」は、有名デザイナーとの協働における集大成と言えるものでした。


 

Image Photo by Uniqlo

ファーストシーズンこそ、ややユニクロらしさを残していた「+J」でしたが、そこから素材やパターンがどんどん改良された感動を、今も覚えています。洗練された「+J」のアイテムたちは、特にファッション感度の高い層に対し、大きな衝撃を与えました。

終了後も数回に渡って復刻されましたが、新作は実に9年ぶりということになります。今度はどのようなアイテムを発売するのか、非常に楽しみです。

 

ジルサンダーはどんなデザイナー?→かつてのwiki編集者が解説します

Image Photo by Jil Sander Official Site

・ドイツ・ハンブルグ出身の世界的デザイナーにして、ブランド「ジルサンダー」の創業者。

・(特に80年代後半から)世界のファッションシーンを牽引してきた一人。

・自らが創業したブランド「ジルサンダー」を3度退任し、現在は同ブランドを離れている。

ジルサンダーはおそらく、ファッションに詳しい人ならば、誰もが知っている名前だと思います。

略歴に関しては、過去に私が加筆していたwikipediaをお読み頂いても嬉しいのですが、ここでは、ジルサンダーが手掛けるアイテムの特徴について、もう少し詳しく解説したいと思います。

 

社会進出する“強い”女性のアイコンとなった

「ジルサンダー」2013awミラノウィメンズコレクション

・白いシャツやダークネイビーのスーツ、コートなどが、代表的なアイテムと言われる。

・80年代後半の時流に乗り、社会進出する女性のアイコン的存在となった。

歴史的にはココ・シャネルやイヴ・サンローランといったデザイナーが、女性の社会進出に大きな貢献を果たしました。しかし、女性の社会進出が当然となった80年代以降、ジルサンダーほど社会で活躍する女性に力を与えたデザイナーはいないと思います。

一方、97年に始まったメンズラインからは、力強さの中にも、どこか知的で柔らかさを感じさせます。男女双方向の中性への“寄せ”が、彼女が“ファッション界のフェミニスト”と呼ばれる所以です。

素材使い、パターン、色使いの特徴を解説(長め&中上級者向け)

・一見シンプルなアイテムを、上質な素材使いやパターン、独自の色使いで中性的&非装飾的に仕上げ、シンプルな力強さと純粋さ、カッコよさを表現している。

ジルサンダーはよく、“ミニマリスト”と表現されることの多いデザイナーです。全くの間違いではないと思いますが、もう少し踏み込むと、“明確な意図をもって開発された上質な素材とパターンから、ツァイトガイスト(=時代精神)に後押しされた機能的で美しい服を生み出す”というスタンスです。

そのために、ときに過剰な装飾は邪魔になることから、バウハウスの建築的な手法を用いて“無駄になるものをそぎ落としていく”。この一連のアプローチが、彼女のデザインの特徴と言えます。

 

素材使いやパターンに関しては、特にこだわりを感じさせます。例えばシャツであれば、強撚糸で織られた非常に上質な生地を用いることで、”ハリ”の強い、凛とした雰囲気を生み出します。

また、写真のテーラードジャケットの場合、敢えて手間のかかる“二枚裁ち”“セットバックショルダー”といった裁断方法を採用しています。シルエットの美しさと、ブランド、そしてこだわりを持ったデザイナーとしての矜持を感じさせます。

(二枚裁ちに関しては、日本屈指のテーラーである、服部晋氏の下記ブログ記事もご参照ください)

http://kinntailor.blog98.fc2.com/blog-entry-12.html

多様な素材の使い分けと、それを活かすパターンという特徴は「+J」にも表れていました。個人的に、ジルサンダーの中でも最大の特徴だと思います。

 

「ジルサンダー」2013ssミラノメンズコレクション

ジルサンダーのクリエイションは、時折みせる柄やカラーにおいても、強い個性を発揮しています。

上記の動画は前回の「+J」が終了した後、「ジルサンダー」に復帰した2013ssシーズンのメンズコレクションです。このシーズンでは、代表的な白いシャツと黒に近いダークネイビーのルックに始まり、そこからロバート・マンゴールドやブリンキー・パレルモにインスピレーションを得た柄が登場しました。

 

その後は、鮮やかなブルー、イエローと続き、オリーブグリーンやダークレッド、ナチュラルカラーといった様々なカラーが続く構成。同時に、足元を飾るシルバノラッタンジ製の靴たちが、(よく見ると)ネイビーやグリーン、ボルドーといったカラーで構成されていることも、特筆すべき点です。

構築的なアイテムたちが、繊細で独特なカラーリングに染められた結果、個性と品位のある雰囲気が並び立ちます。この点も、ジルサンダーの特徴と言えるのではないでしょうか。

 

スポーツブランドをモードの世界に持ち込んだ先駆け

PUMA公式HPより引用

・今日、スポーツブランドとハイブランドのコラボは当たり前のように行われているが、1998年にジルサンダーがプーマとのコラボレーションを発表したのが先駆けだった。

諸所であまり言及されないのが不思議なくらいなのですが、ジルサンダーは、スポーツブランドを最初にハイファッションの世界に持ち込んだデザイナーでもあります。

今となっては、ハイブランドとスポーツブランドがコラボを行うことは日常茶飯事ですが、そのような流れが発生したのは、90年代に入ってからのことでした。当時は「エアマックス95」などの社会現象やストリートブームを経て、ファッションにおけるスニーカーやスポーツウェアの地位が、格段に上がった時期でもあります。

この時流に乗り、共にドイツ出身の「ジルサンダー」と「プーマ」は、1998年にコラボレーションを発表。サッカー界のレジェンドである、ペレやマラドーナなどが愛用したスパイクシューズ“プーマキング”が、ラバーソールに換装されたスニーカーとして登場しました。

まとめ:「+J」は必見のコレクションです

Image Photo by Uniqlo

今回は「+J」のご紹介および、ジルサンダーの特徴について解説しましたが、いかがだったでしょうか。

前回の「+J」が終了してからの9年間、ユニクロの製品は非常に良くなりました。「ジルサンダー」と違い、コストの制約も大きいのは確かですが、進歩と蓄積がどの程度、新生「+J」においても反映されるのか。

期待を抱かずにはいられません。

私も実際に幾つかのアイテムを購入して、レビューをしたいと思います。

 

それではまた次回。

ありがとうございました!

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