もし、あなたがシンプルで高品質な財布やバッグをお求めなら、「キプリス」は素晴らしいブランドです。
今回はプロのファッションデザイナーが、キプリスの気になる評判や代表的なモデルをご紹介。
こんにちは、しょるです。本日は日本を代表する革小物ブランド、キプリス(CYPRIS)の財布や名刺入れなどのラインナップをご紹介。
キプリスはロゴの主張より、シンプルで品質を求めている方にオススメ。「ロゴマークどどーん」な財布が好きな方にはイマイチピンとこないと思いますが、「ひっそりと良いものを使いたい方」にピッタリです。
確かに、微妙にカッコいいとは言えないモデルもあります。また、どちらかと言えば若い人向けのブランドではありませんが、プレーンなモデルも多いのでシンプル好きな人は年代問わず使うことが可能。
そこで今回は、キプリスの代表的なシリーズをピックアップ&どんな方に合うのかをご紹介しました。シンプルで良い財布を探している方は、ぜひ参考にしてくださいね!
↓Cyprisの公式HPはこちらから!
キプリス(CYPRIS)の優れた点とは?評判や店舗も紹介します
CYPRIS 公式HPより引用
私が思うキプリスの優れた点は、主に以下の3点。
- 製品品質、特に作りのレベルは随一
- 高価格帯ブランドの中では高コスパ
- 直営店はないが、公式オンラインや百貨店など様々な場所で取り扱いがあり
この中でも特に、技術的なレベルの高さは特筆事項。
日本鞄ハンドバッグ協会認定の「革小物一級技術認定職人」の多くがキプリスに所属していることからも、国内どころか世界的にも随一のレベルを誇ります。
キプリスの品質|日本の職人が作る、様々な技術を駆使した商品
CYPRIS 公式HPより引用
キプリスの技術力は細部に宿ります。ここでは、幾つかご紹介したいと思います。
例えば、写真の財布の角には「菊寄せ」という、革を何層にも重ねてカーブさせる技術を採用。シワを均一に逃がせないと革がダルダルにってしまうので、菊の花のように革を重ねることによって美しく纏めています。
菊寄せをするためには、カーブで重ねる部分を更に薄く漉(す)く必要があります。漉いた革の厚さは、なんと僅か0.02mm。新聞紙の半分の薄さしかありません。
例えば、私が使用していたジルサンダーの財布(写真)の場合は45°で一折。これも見た目は綺麗ですが、角が立っていると(いずれ)潰れてしまいます。
こういった細かな仕様は手間が掛かり、日本など一部の国の職人でないと技術的に難しい部分。海外のハイブランドやデザイナーズブランドにとっては導入が難しいディテールです。
CYPRIS 公式HPより引用
また、キプリスは縫製技術の高さも特徴。写真の「縫い返し」は、(一般的な服作りと同様)2枚の革の表側を内側にして縫い合わせた後に、革をめくって表を外側にする工程。
表面から見えるミシンステッチが隠れるため、クリーンな見た目になります。
CYPRIS 公式HPより引用
上記写真は「忍び縫い」。あらかじめ革端を余らせて漉(す)いておき、余った部分を内側の革へ縁(へり)返して被せることでステッチを隠す技術。
接着だけでなく、中でキチンと縫い合わせているので耐久性も高くなります。
あくまで一例ですが、これらはごく一部のブランドにのみ掛けられるような手間です。ブランドの知名度よりも作りの良さを味わいたいのであれば、キプリスは良い選択ではないでしょうか。
↓Cyprisの公式HPはこちらから!
また、キプリスは世界中からの原皮を活かした製品づくりを、各ラインナップに揃えています。これは、職人の技術に自信がないと展開できません。
例えば、中心ラインナップのシラサギレザーは北欧産の原皮、レーニアカーフは希少な国産牛(食牛は殆どが輸入のため、国産の原皮は非常に希少)の原皮を使用しているといった具合。
革も動物や使用する部位によって特性が異なるので、それぞれ適したアイテムや縫製方法も異なります。いずれにせよ、多様な展開できるのは、多様な作り方ができる人材がいるからこそ。
高価格帯のメーカーの中では高コスパ
キプリスはハイブランドはもちろん、同等品質の専業革小物ブランドと比べてもリーズナブルな価格設定です。
同じ国産、クオリティも近い競合ブランドとしては、例えばガンゾ(GANZO)や土屋鞄製造所が挙げられます。
例えば、表側がブライドルレザーの長財布(ファスナー小銭入れあり)であれば、
といった具合。いずれも英 J&E セドウィック社によるブライドルレザーを使用し、概ね縫製コストも同等程度。
土屋鞄製造所とは微差に思えますが、キプリスは内側に使用している革がルーガショルダー、土屋鞄製造所は通常のヌメ革が使われています。
FRAME オンラインストアより引用
ちなみに、英国を代表する革小物ブランドであり、残念ながら2022年でブランドを終了してしまったホワイトハウスコックスの販売価格は63,800円。関税や代理店も関係してか、かなりの高価格になっています。
先述の「菊寄せ」項目の通り、角処理の丁寧さには大分差がありますよね。
尤も、英国ブランドは格式高いブランドイメージと魅力に優れるため、どちらを優先するかという価値観によるチョイスの差もあります。
キプリスはどこで買える?→取り扱い店舗やECサイトはこちら
まず、「キプリスの販売店舗は?どこで買えば良いの??」という疑問については、下記をご参照ください。
- 全国の大手百貨店(伊勢丹、高島屋など)
- 公式オンラインショップ
- 大手ECサイト(Amazon/楽天市場/Yahoo!ショッピング)
キプリスは基本的にセールを行わないので、どのストアでも価格は同じ場合がほとんど。取扱直営店は、こちらから検索可能です。
公式の場合、プレゼントの際にはギフトラッピングにも対応していたり、1年間の無料修理サービスやアウトレット品、公式限定販売品もあります。よって、公式オンラインは「プレゼント」「掘り出し物」にオススメ。
↓Cyprisの公式HPはこちらから!
その他、キプリスはAmazonや楽天市場でも購入可能。ポイントが付く分、実店舗よりお得な場合が多いので、お得に買い物したい方に◎。
個人的な感想としては、キプリスはECサイトに登録している写真と実物の差が小さいです。「実物のイメージと違った!」というケースは多くない&返品交換もしっかりしているので、こちらも入手手段としてオススメです。
【2023年最新】キプリス(CYPRIS)の財布や革小物のおすすめシリーズは?
次に、キプリスの中で代表的なシリーズをチョイスしました。沢山あるシリーズの中から、「このシリーズはこういった人に向いている」という情報付きです。
キプリス(CYPRIS)シラサギレザー シリーズ
CYPRIS 公式HPより引用
- <参考価格>
- 19,800円(長財布)
17,600円(二つ折り財布)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・キプリスの中でも中心的なシリーズ
・耐久性が高く、特に長年愛用できる
・ほのかなアンティーク感が好き
まずは、シラサギレザーシリーズ。今回ご紹介する中で最も扱いやすい特性の革で、初めての高級革小物や過度に気を使わずに使用したい方にオススメ。
ネーミングは革を鞣している兵庫県姫路市の名城、白鷺城に由来。原皮にはオランダ産キップレザー(生後半年~2年までの牛革)を使用しており、硬くしなやかな革へと仕上がります。
鞣し工程を二回、それぞれタンニンとクロムによって行う「コンビ鞣し」を行っていることが特徴。タンニン鞣しの「革の風合いを残す点」と、クロム鞣しの「傷や水に強い品質安定性」を両立しています。
また、シラサギレザーは染色を手染めで行っており、あえてのムラ感を出しています。特に、明るい色はムラ感が分かりやすいですね。
内側に使用しているのは「ヌメ革」。広義ではタンニン鞣しによる革の総称で、使用していく内に手の油分等を吸い、徐々に柔らかい飴色の革へと変化します。
キプリス(CYPRIS)ルーガショルダー&フルベジタブルタンニンレザー シリーズ
CYPRIS 公式HPより引用
- <参考価格>
- 26,400円(長財布)
23,100円(二つ折り財布)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・荒々しい革の表情や雰囲気に惹かれる
・引っ張りや摩擦に対して耐久性が高い
・どちらかというと私服でのシーンが多い
続いては、ルーガショルダー&ベジタブルタンニンレザーシリーズ。フランス原産の成牛の肩部分を使用しており、荒々しい雰囲気が特徴。
成牛は首から肩部分にかけて大きなシワがあり、革にしたときに虎の模様のような表情を残すことから「トラ」と呼ばれます。ルーガショルダーの製品は、あえてトラを活かすように革を裁断されています。
生き物の証である、革の模様が好きな人にオススメのシリーズ。特に、写真のように明るい色はトラがよく分かります。暗い色なら目立ち過ぎずにビジネス使いもできますし、用途に合わせてチョイスの幅も広い点も◎。
CYPRIS 公式HPより引用
内側には、国内の有名タンナーである栃木レザーを使用。他のヌメ革よりも、繊細で上質な革が使用されています。ただし、表側&裏側共に水や油を吸いやすい点に注意。
ルーガショルダー&ベジタブルタンニンレザーシリーズは、小銭入れ付き長財布で26,400円。シラサギレザーのようなビジネスバッグはありませんが、眼鏡ケースやL字ファスナーのウォレット、キーホルダーもあります。
キプリス(CYPRIS)リンピッドカーフ シリーズ
CYPRIS 公式HPより引用
- <参考価格>
- 38,500円(二つ折り財布)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・ビジネス使い想定の高級感あるシリーズ
・細かで繊細、上質な革を使用
・透明感ある染色&原皮の表情
続いては、リンピッドカーフシリーズ。キメが細かい上質感が魅力のシリーズで、ビジネス用で良い物が欲しい!という方にオススメです。
使用されているリンピッドカーフは、水性染料であるアニリン仕上げによって染色されたカーフレザーを指します。一般的にはアニリンカーフと呼ばれ、高級紳士靴にも良く使用されている革です。
革の表情が透けて見えるような透明感を感じさせつつ、キメ細かな革の表情を楽しめます。最も高級感を追求したい人はこのシリーズが◎。
キプリス(CYPRIS)コードバン&ベジタブルタンニンレザー シリーズ
CYPRIS 公式HPより引用
- <参考価格>
- 36,300円(長財布)
26,400円(二つ折り財布)
➡特徴&こんな人にピッタリ
・牛革とは違う、独特の輝きと高級感
・コスパよりも付加価値を重視している
・ケアを楽しみながら付き合いたい
最後に、コードバン&ベジタブルタンニンレザーシリーズをご紹介。コードバンとは、馬革の臀部の奧にあるコラーゲン層を削り出し磨き上げた革。輝きの強い美しい革になることが特徴。
コードバンは、馬一体から採れる量が非常に少なく、十分なコラーゲン層を持っている個体も限られる希少素材です。近年は価格が高騰し、取り扱うことが出来なくなっているブランドも多い素材。
また、コードバンは水を吸収して水ジミを起こしやすい特性があり、(引っ張り強度は牛革の数倍と強靭ですが)表面に傷が付きやすい特性があります。牛革より気を付ける点が多いことは間違いありません。
ちなみに|コードバンの手入れ方法
コードバンの手入れ方法に関しては、普段は傷のつかないクロスで乾拭きのみでOK。古くなったTシャツなど柔らかい布であればOKです。水拭きは水ジミを起こす&表面も傷つきやすくなってしまうのでNG。
また、お手入れの際はコードバン専用ワックスの使用をオススメします。少し手入れの期間が掛かるものの、ギラつくと“たまらない”ツヤ感になってくれますよ。
キプリスはダサい?年齢層はどのくらい?
紹介してきた通り、キプリス製品は「モノの良さ」という点では間違いないブランド。一方、ファッションとは「モノの良さ」だけでは測れない部分があるからこそ、ブランドイメージが気になる方も多いですよね。
正直なところ、キプリスのHPは“イマひとつカッコよくないことがある”のは、私も思っています。そして、ラグジュアリーブランドの「ブランド力が迸るような革小物製品である」とも言えません。
ただ、表側だけを取るか、中身を取るかという価値観の違いだと思います。正直、大抵のハイブランドの革小物よりもキプリスの方が優秀ですが、“モノの良さを追求し過ぎてパッケージの魅力がイマイチである”ことは多くの日本の実力派ファクトリーが抱える課題です。
また、キプリスの年齢層ですが、私は20代から老年期まで使えるブランドだと思います。そのくらい、ベーシックで普遍的で、どんなトレンドが推移しても愛用できるブランドであることは間違いありません。
ちなみに、私がキプリス製品に初めて触れたのが大学二年生の時。(今は無き)伊勢丹吉祥寺店でベルトを買おうと思った際、出会ったのが切欠でした。
当時は、「何となくだけれどコレが良さそう」で購入しましたが、結果として大正解だったと思います。
おまけ|私のキプリスの財布も披露します
最後に、私物であるキプリスの財布をご紹介させていただきます。
(新喜皮革製)オイルシェルコードバン&ベジタブルタンニンレザー シリーズの二つ折り財布
現行シリーズではありませんが、キプリスのオイルシェルコードバン&ベジタブルタンニンレザーシリーズの二つ折り財布です。頂き物で長年寝かせていたのですが、前の財布が傷んだので先日から使い始めました。
長財布派だったのですが、(スマホ決済が中心になり)最低限しかカードを持ち運ばなくなったため、二つ折りを使用してみることにしました。
先述のコードバン&ベジタブルタンニンレザーシリーズと違う点としては、
- 「オイルシェルコードバン」という、オイルを含めた後に水染めを施したコードバン
- 内側までコードバンを使用
- ライニング部分のレザーが、牛革ではなく豚革
の3点。
世界でコードバンを鞣せる有名タンナーは主に2社。アメリカ・シカゴにある「ホーウィン社」、そして日本の姫路にある「新喜皮革」。前者は、オールデンの靴の革を供給しているタンナーとして非常に有名です。
一方、新喜皮革は世界で唯一、コードバンやホースハイドといった馬革だけをメインに生産するメーカー。
コードバンは基本的に「水染め」と「オイル仕上げ」の2タイプがありますが、新喜皮革はいずれも手掛けており、それぞれに異なる特性を持たせています。
「オイルシェルコードバン」は国産コードバン仕様のキプリスオリジナルシリーズ
「シェルコードバン」はホーウィン社が商標登録している名称。しかし、キプリスの「オイルシェルコードバン」は、国産コードバン(新喜皮革&レーデルオガワ製)を使用しています。
「オイルシェルコードバン」は、キプリス独自のオリジナルネーム。国産コードバンにオイルを添加し、更に水染めを行っているハイブリッド仕様で、「オイル」だけどオイルを含めた後に水染めを行っています。
つまり、「シェルコードバン」ではなく「オイルシェルコードバン」だからセーフというカラクリでしょうか。ややこしすぎますね笑
ただ、クオリティは非常に高いです。水染めコードバンは均一な染まりと初期段階から(一定の)光沢感があり、オイルコードバンは使用していく内にギラついたツヤが出ることが特徴。
キプリスの「オイルシェルコードバン」は、染色の丁寧さ&使用していく内に出てくるツヤの、ハイブリッドな特性を持っています。
また、近年(供給不足で)ものすごく高騰しているホーウィン社のコードバンよりも断然廉価。キプリスはホーウィン社の「シェルコードバン」も展開していますが、長財布で200,000円します(数年前は7万円程度でした)。
ライニングには、唯一自国で賄える「豚革(ピッグスキン)」を使用
内側に使用されている革は、ベジタブルタンニンレザー。この財布の場合は牛革ではなく、豚革が使用されています。コードバンが硬い上に内側まで使用されているので、ヌメ革よりも更に柔らかく薄い革を組み合わせています。
豚革は、日本で唯一自国で賄える革です。牛革との違いは、
- 薄く伸びがある
- 摩擦に強い
- (写真のように)毛穴が目立つ
といった特徴があります。上記の特性から靴の内側に使用されたり、こうしてお札や小銭入れ部分に使用されます。
毛穴というと、ゾッとしちゃう人もいらっしゃると思います。「動物の生きた証」を使用するということは、奥深く考えさせられますよね。
ちなみに、皮革産業は世界的に「食べられる動物の皮しか使用しない」という暗黙の了解があります。日本では明治時代以降、豚の食文化が根付いているため国産革がメインになっています。
現行も「オイルシェルコードバン」シリーズがある!
CYPRIS 公式HPより引用
キプリスは、現行ラインナップでも複数の「オイルシェルコードバン」シリーズを展開しています。いずれも、ハイランクなコードバンを良心的な価格で提供しています。
手入れ方法は、先述のコードバン&ベジタブルタンニンレザーシリーズと同様。気に入ったものを選ぶと良いですよ。
オイルシェルコードバン&バケッタレザー シリーズ
CYPRIS 公式HPより引用
こちらは「オイルシェルコードバン」の内側に「バケッタレザー」という、(ルーガショルダー同様)成牛の肩部分を使用したオイルドレザーのシリーズ。
バケッタレザーは、イタリアのトスカーナ地方で鞣された伝統的な鞣し工程を経た革。キプリス独自のネーミングではありません。
取り扱い方法は、ルーガショルダーと概ね同様です。
オイルシェルコードバン ナチュラルコレクション シリーズ
CYPRIS 公式HPより引用
一方、オイルシェルコードバン ナチュラルコレクションシリーズは、使用していく内に飴色に変化することが特徴。
オイルを添加した後、水染め工程をスキップしてそのままフィニッシュ工程へと進んでいます。そのため、元々の革の色が残っています。
スーツを着ているビジネスマン向けではないかもしれません。しかし、革およびコードバンの質感がたまらなく好きな人には、素晴らしいシリーズではないでしょうか。
もちろん、コードバンに限らず、ご紹介した商品はいずれも長年使い甲斐のあるものばかり。ぜひ、キプリスの財布など革小物を検討していただければ幸いです。
一緒にキプリスの良い革小物、使ってみませんか!
おしまい!
(少しでもお役立てられたなら、TwitterやWEBページに拡散していただけると嬉しいです!)