はじめに:ビジネスシューズは、ちゃんとした物を選んだ方が良いという事実
「安くても良い」が、なかなか通用しないビジネスシューズの世界

こんにちは、しょるです。
「おしゃれは足元から」は至言ですが、どのくらいのものを買えば良いのか、悩む方も多いのがビジネスシューズです。どれも同じようにも見えるし、分からない方にとっては悩みますよね。
というわけで本日は、ビジネスシューズについて(カジュアルシューズはこちら)。
まず、表題について。
私も様々な靴ブランドに触れてきましたが、10,000円くらいの靴だと、なかなか良いなというレベルに到達できません。合皮のセメンテッド製法だったり、グッドイヤー・ウェルテッド製法だけど革やソールが滅茶苦茶なモノだったり。
なぜ、コストパフォーマンスの鬼であるユニクロが、(スーツは出せても)本革の良さげなビジネスシューズを出せないのか。いかに安価で良い靴を生産・販売するのが難しいか、よく分かります。
レディースのフラットパンプスなら1,990円でもなかなか可愛い。しかし、ビジネスシューズは話が違います。命を貰う革という素材を用いて長年の使用に耐えうる作り方をすれば、必然的に高価になります。
合皮素材も進化していますが、表面積が大きくパーツ数が多い紳士靴だと見た目も粗が目立つ。機能面でも本革のように馴染まず、履き心地も通気性も悪くなってしまいます。
ビジネスシューズは極めて、誤魔化しが効かないアイテムなのです。
具体的に:まずは3万円前後~の靴を3足、揃えると良いと思います
定価3万円前後というと、一般的にはかなり高いと思われるかもしれません。しかし、このくらいの価格帯になると革質や製法が一気に良くなります。
まずは、そこそこ以上の靴を3足揃えてみて下さい。
今回ご紹介するのは全て、グッドイヤーウェルテッド製法、およびその原形となったハンドソーンウェルテッド製法の靴です。堅牢で長年履ける、高級紳士靴に採用される製法です。
1万円の靴を1年で履き潰すのと、丈夫で良い3万円の靴を大切にしながら3年履くこと。どちらが良いのかという話になりますが、個人的には見た目が良くなる分、後者の方がお得だとは思います。
良くあるような、ただブランドを並べているだけの記事ではありません。そのブランドの成り立ちからサイズ感、どのような人向けなのかも書きました。全部持っているor 試しましたから!
また、ネットで靴を購入される場合はサイズが心配だと思います。参考までに、私のジャストサイズも併記しました。
人差し指の長いギリシャ型で、踵~人差し指の先端までが27.5cm、親指までが27cmで足幅の一番長い部分が10cm。
スタンスミスで27.5cm、クラークスのデザートブーツやワラビーでUK8.5、ドクターマーチンでUK9(ちょっと緩いけれど、マーチンは1センチ刻みしかない!)、大体の英国靴で8.5サイズです。購入を検討される場合の参考にしていただけたら幸いです。

どんなデザインの靴を買えばよい??色は??
具体的なブランドおよびモデルをご紹介の前に、紳士靴は決められたデザインによって区分されます。同じ用途目的のための「ユニフォーム」や「ラケット」を、いくつものメーカーが出しているのと同じく、「ブランドA」も「ブランドB」も同じカテゴリーに属する靴を販売しています。
靴のデザインは20世紀初頭、西欧のメーカーを中心に大まかに決められ、「この装いにはあの靴」「こういった場にははこの靴」といった具合にドレスコードが制定されました。まさしく、スポーツのルールと同じです。そして、ここでは最初に買うべき紳士靴のデザインをご紹介。
もちろん、同じジャンルの靴でもブランドによる個性が全くないわけではありません。革質、造りの丁寧さ、そして靴の形状を決める木型(ラスト)。決められた枠組みの中でいかに傑作を生み出すかも、紳士靴界の醍醐味でもあります。
紳士靴の基本【内羽根ストレートチップ】

楽天市場より引用
まずご紹介するのが、内羽根ストレートチップというタイプの靴。
紳士靴の最も基本の形にして、冠婚葬祭にも対応するフォーマルな靴。つま先に横一文字のキャップが被せられていることが特徴で、キャップトウとも呼ばれます。どのブランドも、まずはこのストレートチップから作ります。
内羽根(オックスフォード)とは、靴紐を通す穴部分のパーツが足の甲部分の革に対して内側に位置するものを指します。ヴィクトリア王朝時代のアルバータ公が考案したとされ、ルーツからもフォーマル度が高い。
フォーマルやビジネス向けで、デニム等とは合わせない靴です。スーツはダークスーツにソリッドタイといった厳かな装いはもちろん、シャドーストライプやピンヘッドのスーツ、ライトブルーの無地シャツやドット柄のネクタイなど、冠婚葬祭から少しドレスダウンした組み合わせにも良いですよ。
コーデの幅とサイズ調節のし易い【外羽根プレーントウ】

楽天市場より引用
続いては、外羽根プレーントウ。
プレーントウとは、plain(装飾の無い)toe(つま先)という意味。広義ではつま先に限らず、全体的に穴飾り等が何もないデザインの靴を指します。キャップトウと比べても、更にシンプルですよね。
また、外羽根(ダービー)というのは、靴紐を通すペロペロした部分(羽根)が足の甲部分の革に対して上から後付けされているものを指します。軍用靴がルーツとされ、ワークブーツを経てビジネスシューズに導入されました。また、外羽根はサイズ調節の自由動画が高いため、甲が高い人も合わせやすいことも特徴。
後述の内羽根式に比べるとフォーマル度は下がりますが、アメリカでは舗装路が普及する1920年頃まではレッドウィングなどをスーツに合わせていたそうですよ。無地に加え、ストライプやチェックのスーツやシャツにもOK。
脱ぎ履きしやすくスタイリッシュ【Vフロントダービー】

楽天市場より引用
最後に、Vフロントダービー。
物凄くメジャーという訳ではないのですが、外羽根プレーントウの一種です。しかし、先ほどの外羽根プレーントウと比べると、正面(フロント)から見たときに羽根がV字を描くのと外羽根を英語でダービー(derby)と呼ぶことから、こう呼ばれます。
メーカーやモデルによって異なりますが、紐を通す穴(アイレット)が2列(2ホール)か3列(3ホール)しかないので、日本の屋内外で脱ぎ履きする環境に非常に適しています。見た目も外羽根プレーントゥの中で別格のドレッシー感があり、無地のダークスーツと合わせも大丈夫。
色は何色を選べば良い?【最初の3足は、全て黒で良い!】

表題の通りですが、最初の3足は全て黒でOK。
茶色やバーガンディといったカラーも好きな人が大勢いらっしゃると思いますが、上述のフォーマル度は全て黒であることを前提に話しています。たとえストレートチップでも、黒以外は冠婚葬祭には向きません。
また、ビジネスのコーディネートは、靴に対して鞄やベルト、出来ればお財布も色を統一した方が良いですよ。そのため、最初は黒から揃えて、4、5足目に茶色を購入すると良いと思います。
【プロ視点】本当におすすめの既成ビジネスシューズ7ブランド12選
日本を代表する大手靴メーカー【リーガル(REGAL)】

REGAL 公式HPより引用
まずは、日本を代表するリーガル。1902年創業、かつては日本製靴という社名の軍需メーカーでした。戦後は民需へとシフトして、後に米ブラウン社からリーガルの商標権を取得。日本を代表するブランドになりました。
リーガルは圧倒的にコスパが高い訳でも、また後半部分のブランドのようにもの凄く高品質な訳ではありません。しかし、歴史に培われてきた魅力と全国に店舗を構えるアフターフォロー性の高さが、あなたの長年のパートナーとなり得ます。
まさしく日本人へ向けた、「量産高級既成靴」といった位置づけでしょうか。
リーガル:「2504」(定価26,400円)

REGAL 公式HPより引用
今回ご紹介する2504は、リーガルの中でもっとも有名なモデル。1969年の発売から半世紀を迎えた名靴です。伝統的な本格紳士靴の製法であるグッドイヤーウェルテッド製法で作られています。堅牢で耐久性に優れ、ソールを交換しながら長く付き合える一足。
表革はガラスレザーという、革表面に樹脂を添付したもの。合成ラバーソールと併せて雨に強く、比較的メンテナンスフリー。手入れが面倒な人は、この靴で十分だと思います。

REGAL 公式HPより引用
私がこの靴を推したのは、日本の風習や文化に適した要素が詰まっているからです。従来の日本人の甲高幅広の足でもストレスなく併せられますし、踵が柔らかく、また外羽根でサイズ調節や屋内外での脱ぎ履きがしやすい。
革やソールを考えると、圧倒的にコスパが高い訳ではありません。しかし、アッパーもソールも雨に強い素材なので、梅雨の時期や雪の積もる地域でも安心です。何もかも丁寧にケアしたいという人ばかりではないので、そういった方にとっても、タフで便利な一足になり得るからです。
下記ショッピングサイトでは2万円程度で購入できます。私の場合、サイズは26.5cmがジャスト。リーガルは表記サイズよりも大き目なので、注意してくださいね。

「01DR」内羽根ストレートチップ(定価39,600円)

REGAL 公式HPより引用
リーガルの中でも、かなり上位種となるストレートチップの01DRCD。
スタイリッシュさを求める人にオススメで、クオリティもグンと高くなりました。こちらのモデルは、新潟県の工場にて生産されているそうです。
アッパーも仏アノネイ社のカーフレザー(仔牛革)を使用しており、成牛の革とはきめ細かさが違います。10万円以上の靴の革にはキメ細かさでは劣るものの、その分、耐久力もある頼もしい一足です。

REGAL 公式HPより引用
グッドイヤーウェルテッド製法にレザーソール。絞られたウエスト部分が足を掴んでくれて、一方で指部分は幅広くとられています。パッと見のスタイリッシュさに反して、幅広い足に合う靴だと思います。高級紳士靴の中では踵が柔らかめで、上級者はもちろん初心者にも向けて考えられています。
全国各地に直営店があるので、アフターフォローサービスが充実しているというメリットも。販路も広く、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングでは30,000円ちょっとで購入できます。

高コスパのWEB限定販売ブランド、レイマー(Raymer)

Raymer 公式HPより引用
続いては、新興ブランドであるレイマー(Raymer)。
静岡県焼津市にて誕生したこのブランドは、いわゆる「コスパ」が高いブランドとして、靴愛好家の間で有名です。費用対効果を求めるのであれば、このメーカーを選んでいただいて間違いありません。
創業者の大石裕介氏は、営業マン時代に「安くても満足いく靴」に出会えなかったことが、メーカー設立の切欠となったとのこと。消耗の激しい環境でも、安心して履ける靴作りを心掛けているブランドです。
「Ethan」内羽根ストレートチップ(定価33,000円)

Yahoo! ショッピングより引用
こちらも内羽根ストレートチップのイーサン(Ethan)というモデル。
イーサンの特徴は、ポーランドのワインハイマー社という、世界的タンナーの革を使用していること。3万円台の靴としては非常に優秀な革質だと思います。
また、製法もグッドイヤーウェルテッド製法の原型となる、ハンドソーンウェルテッド製法(九分仕立て)。九分仕立てとは、底付け(靴とソールの基部を合体させること)は手作業によって行い、地面に触れる層とはミシンで縫い合わせること。
グッドイヤー・ウェルテッド製法は、内部にリブという、硬い布を接着してそこに縫い付けます。そのため、ソールの返りがどうしても硬くなります。その点、ハンドソーン・ウェルテッド製法はリブを使用しないため、最初からソールの返りが良いことが特徴。

Yahoo! ショッピングより引用
また、ソール周りが非常に優秀。伏せ縫いに半カラス仕上げ。伏せ縫いとは、地面に触れるソール部分にステッチが表れないようにする仕様。半カラスはソールの一部を黒く塗り、いずれもドレッシーで高級感が増します。
よく、33,000円でここまで提供出来ていると思います。革質もなかなか、製法、縫製、ソール全て申し分ないクオリティです。総合的に非常に優秀です。
見た目は「色気ある靴!」というよりは、中庸的なデザイン。「優秀な普通の靴」を求める人に、ピッタリの一足ではないでしょうか。

Yahoo! ショッピングより引用
ブリドレン同様、ネット販売オンリーです。レイマーはYahoo!ショッピングにて公式ショップがあるので、下記リンクから飛んでみて下さい。もちろんストレートチップだけでなく、プレーントウ、セミブローグ、Uチップなど、各種取り扱っています。
こういった良い商品を作るブランドの宣伝を、(微力ですが)担えるのはブロガー冥利に尽きます。フィッティングに関しては、アシーレという独自のサービスがあります(詳細は公式HP)。私の場合、US9の27.0cmがベストサイズでした。
英国靴職人発、インドネシアの新興実力派【ジャランスリウァヤ】
続いては、ジャランスリウァヤ。私たちにとっては少々発音しづらい名前ですが、インドネシアのシューズブランドです。
ブランド自体は2003年創業と新興ですが、有名ブランドのOEMを手掛けていた経験から高い技術力を誇ります。国産メーカーにはない、英国的(創業者は英国で靴職人として修業していた)なエキゾチックさのあるメーカーで、製品クオリティも高い。
数年前から特にユナイテッドアローズ(グリーンレーベル)などが積極的に仕入れているイメージがあります。伊勢丹でもお取り扱いがありますね。
「98231」内羽根ストレートチップ(定価:35,200円)

98321という、こちらもストレートチップのモデルを選出。先述のレイマーのモデルよりも少し靴のノーズが長く、色気がある印象。
こちらもレイマー同様、ハンドソーンウェルテッド製法(九分仕立て)を30,000円台で実現。革も仏デュプイ社から供給を受けており、同価格帯の国産靴と比べても優れています。非常にコストパフォーマンスが高い。

また、ジャランスリワヤはダイナイトソールというラバーソールを積極的に採用しています。レザーソールに比べて高級感は劣るものの、雨に強く滑りません。しかも、スーツにもバッチリ合うソールなので、実用的だと思います。
ジャランスリワヤの欠点としては、(海外メーカーらしく)穴飾りや塗装などがやや大味なところ。とはいえ、履いてしまえば関係ない程度です。
楽天市場とYahoo!ショッピングでの購入がお得です。私の場合、サイズはUK8.5だと少しきつめ&UK9だと少し緩めです。UK9を選んで、インソックシートで対応しています。

「98441」内羽根セミブローグ(定価35,200円)

Amazonより引用
このモデル98441は、セミブローグという種類。
内羽根のストレートチップに、穴飾りが付いています。その名の由来となったブローギング(革端のギザギザ)やメダリオン(穴飾り)は、アウトドア向けのディテールとして近世から存在したそうですが、それを元に1937年にジョンロブが発明しました。
無地のスーツに色付きのシャツや、ストライプのスーツなどにも合わせられます。冠婚葬祭用とはいきませんが、ビジネスシーンで幅広く活躍してくれますよ。

Amazonより引用
先ほどのダイナイトソールに対し、こちらはレザーソールのモデル。裏のソールのデザインがセミブローグとも相性の良い、色気のある雰囲気を演出しています。
こちらもストレートチップ同様、楽天市場とYahoo!ショッピングでの購入がお得です。サイズ感も同じ。

ラテンテイストの先駆的国産メーカー【ユニオンインペリアル(UNION IMPERIAL)】
創業1952年、江戸川区にある世界長ユニオンという、一風変わった名前の企業が展開するユニオンインペリアル(UNION IMPERIAL)。現在の日本靴の中では、王道というよりもニッチな雰囲気です。
日本で初めて、マッケイ製法やモカ縫いといったイタリア系の製法を紹介した企業でもあります。現在ではそれらこそプロダクトの中心ではないものの、ラテン的なデザインは今なお健在。どこか色気のある靴づくりが特徴です。
革質は並だと思いますが、アジア系特有の(踵とつま先の向く角度が異なる)足型に適応した木型、そして競合メーカーにない色気のある立体感が魅力。パッと見は細身な印象ですが、サイズ感は存外に標準的。私の場合、UK8.5でジャストでした。
「U1945」 プレステージライン Vフロントダービー(定価42,900円)

UNION ROYAL 公式HPから引用
このプレスージラインのU1945は、Vフロントダービー。
ミドルグレードのプレステージライン以上は、(レイマーやジャランスリワヤと同じく)ハンドソーンウェルテッド製法(9分仕立て)で作られています。

UNION ROYAL 公式HPから引用
全体的にスタイリッシュなフォルムがカッコよく、ちょっと細めのスーツなどとよく合います。スーツの柄は無地やシャドーストライプ、シャツは無地はもちろん、クレリックなどとも相性が良いですよ。
また、U1945は(ジャランスリワヤ同様に)ダイナイトソールを採用。完全防水ではありませんが、滑りやすい地面にも安心のソールです。脱ぎ履きもし易くカッコいい。個人的にも、かなり好きなタイプの靴です。

「U1540」プレミアムライン ホールカット(定価52,400円)

UNION ROYAL 公式HPから引用
最上級のプレミアムラインから、U1540をご紹介。革が仏アノネイ社のボックスカーフとなり、更にキメ細かい上質な靴に。ユニオンインペリアルは、価格に対して革質は並な印象がありますが、プレミアムラインともなるとやはり違います。
こちらはホールカットといって、アッパーの一枚革を贅沢に使用している靴です。ヒール部分を除き、一切の切替や縫い合わせ箇所がない。「内羽根」プレーントウという種類もありますが、また違った靴です。羽根すらありません。
牛も(人間と同じく)血筋や毛穴があるので、一枚革でなるべくそういった部分を避けるには、かなり良い個体を選ばなければなりません。靴になるべく左右差がない方が良いですし、ホールカットに使用できる革は非常に限られる。

UNION ROYAL 公式HPから引用
ホールカットの難しい点は、革質だけではありません。木型や釣り込む技術、全てが一定以上でないと、美しい靴にはできません。極限までシンプルな、何も誤魔化せるものがない靴です。
ちなみに、こちらのフォーマル度は「例外」とされています。個人的には冠婚葬祭に履いても良いと思いますが、決定打となる明確な定義付けがされていない、あいまいなシューズです。
個人的には無地のダークスーツに無地のシャツ、ソリッドやドット、小紋柄のネクタイに合わせると良いと思います。一方でロイヤルオックスやレジメンタルタイ、オックスフォードのシャツなどにはあまり合わないのでは。

下町のハイクオリティ日本感【スコッチグレイン(SCOTCH GRAIN)】
東京・隅田に居を構えるスコッチグレインは、良くも悪くも、最も日本らしさを体現しているメーカー。
正直、数年前までは推している訳ではありませんでした。確かにクオリティは高いのですが、どこか垢抜けきれていない靴が多い。でも、近年の面白靴が侮れないので紹介してみます。
サイズ感は、私の場合は概ね27.0cmがジャストです。
オデッサ「916BL」内羽根ストレートチップ(定価46,200円)

SCOTCH GRAIN 公式HPより引用
スコッチグレインは様々な価格帯のラインを揃えており、安いもので3万円弱、高いもので6万円を超えます。このオデッサラインは、ちょうど真ん中に位置するロングセラーシリーズ。スコッチグレインの品質を語るには、十分な位置づけです。
中底とソールの間には(クッション材として)練りコルクを敷き詰めるメーカーが多いのですが、スコッチグレインは劣化に強いウレタン材を使用。付属のシューキーパーもプラスチックですし、下町メーカーがこんなケミカルなパーツを使っているのも日本らしい。

SCOTCH GRAIN 公式HPより引用
こちらは、グッドイヤーウェルテッド製法。出し縫い(ソールに縫われているステッチ)のピッチが細かく、日本製らしい丁寧な靴です。
また、つま先部分が元々ラバーになっています。個人的にはスチールを付けたい派なのですが、このまま履きたい人には有難い設計ですね。ヒールも頑強なラバー製で、機能性を盛り込むあたりも日本メーカーぽい。
ちなみに、スコッチグレインをはじめ、他のメーカーの靴にしばしば書かれるベンチメイド(BENCH MADE)とは元々、すべての工程を、技術力ある一人の靴職人によって製造された靴を指します。

インペリアルプレステージ「956BL」セミ…ブローグ??(定価66,000円)

SCOTCH GRAIN 公式HPより引用
「え、なにこれ!」
という声が聞こえてきそうな一足。スコッチグレイン最高峰のインペリアルプレスティージラインから、956BLをご紹介。
ジャランスリワヤで紹介したセミブローグの変異種といったところでしょうか。フォーマル度を気にするより、もう好きに履くと良い靴ですね。私なら・・・あえて靴を目立たせるために、シャドウストライプのスーツに合わせるかなあ。いっそのこと、コムデギャルソンのような一捻りあるスーツと合わせても面白いかもしれません。

SCOTCH GRAIN 公式HPより引用
しかし、ただの色物ではありません。
アッパーの革質も非常に高く、オールレザーのソールも高級感を漂わせます。出し縫いのステッチもビスポーク級に細かく丁寧ですね。デザインは賛否両論あっても、靴としての出来は保証します。
ちなみに私、近所なので東京ソラマチにあるスコッチグレインの店舗に良く行きます。インペリアルプレスティージの取扱いはありませんが、他にもスパイダーなど面白モデルもあります。
高級紳士靴の聖地発、老舗英国靴ブランドの【チーニー(Cheaney)】

CHEANEY 公式HPより引用
チーニーは1886年創業、靴の聖地である英国ノーザンプトンに居を構える老舗メーカーです。紳士靴は英国を中心とする西欧で確立されたジャンルで、まさにその中心メーカーのひとつ。
英国靴が総じて国産靴と比べて優れる点は、(ブランド力もですが)まず革質でしょう。食肉文化が希薄な日本はどうしても、牛革の確保を輸入に頼るしかありません。革は仔牛の食文化があるフランスを中心に、西欧に優先的に高品質なものが供給されます。
英国メーカーのチーニーも例に漏れず。今回紹介してきた上記の靴と比べると、一歩二歩グレードが高い革が使用されています。ご参考までに、私のサイズは大体のラストでUK8.5がジャストでした。
「ALFRED」125LAST ストレートチップ(定価78,100円)

CHEANEY 公式HPより引用
アルフレッドは、125ラスト(靴の形状を表す木型のこと)のストレートチップ。英国靴ながら私たちアジア系の足にも馴染みやすい、非常に優れたモデルだと思います。
また、アジア系の足は総じて、ヨーロッパ系よりも踵が小さい。踵が硬め&大き目の靴は靴擦れを起こしやすいのですが、125ラストはこの問題にも対応。足幅(ウィズ)の広さはそのままに、踵が小さめに作られています。

CHEANEY 公式HPより引用
定価は78,100円と高額ですが、セールで50,000円程度まで落ち着くタイミングがあります。個人的には、機械式グッドイヤーウェルテッド製法の英国靴を味わいたいなら、チーニーが良いのではと思います。
100,000円を超えるとオーダーシューズや、ヴォーシュやステファノベーメルといった、一部の既成靴にジャンプアップした方が良い靴には触れられます。ジョンロブやエドワードグリーンもネームバリューがあるので、品質とブランド力のどちらを取るかという問題。
販売は、楽天市場が充実しています。

世界最高の既成靴:東欧ハンガリーの【ヴォーシュ(VASS)】
最後に紹介するのがヴォーシュ(VASS)。私が最も好きな既成靴ブランドです。
1978年、ラズロ・ヴォーシュによって立ち上げられた東欧ハンガリー・ブタペストのブランドで、既成靴ながら工程のほぼ全てがハンドメイドで少量生産。足型に則した立体的な造形と、オークバークタンニンで長い時間を掛け鞣された最高級のドイツ製レンデンバッハソール、10分仕立てのハンドソーンウェルテッド製法が美しい靴。
今回ご紹介するブランドの中で・・・というか、既製靴では最高クラスのクオリティです。革質は総じてジョンロブの方がやや上だと思いますが、造りも縫製も圧倒しています。私の場合、ヴォーシュは42.5サイズがジャスト。
(別記事)【最高の既成靴】ヴォーシュ(VASS)のストレートチップをレビューしてみた(執筆中)
「Alt English F」内羽根ストレートチップ(定価154,000円)

VASS 公式HPより引用
まずはストレートチップの「Alt English」。
モデル名の多くが国名or都市名になっており、外羽根プレーントウなら「London」、中~東欧靴の特徴であるイモムシのような外羽根フルブローグなら「Budapest」といった具合です。。
タイトルの最後のFがラスト(木型)名で、世界的な靴職人であるロベルト・ウゴリーニが日本の伊勢丹を介してヴォーシュとコラボレーションをした際に誕生した木型(の一つ)。ロベルト・ウゴリーニがフィレンツェ出身であることから、頭文字をとって名付けられました。
どんなスーツにも合わせやすい中庸的なラウンドトウ、甲も低くなく踵も小さいから非常に履きやすい。まさしくどんな場所に行っても恥ずかしくない、究極のフォーマル既成靴です。
「Wholecut 5-eyelet F」ホールカット(定価 ????? 円)

VASS 公式HPより引用
例外枠のホールカット「Wholecut 5-eyelet 」 です。
こちらは都市名などは付けられず、そのままホールカット+アイレット数のモデル名。ヴォーシュはまるでビスポークのような造形美のメーカーなので、何も飾るもののないホールカットが物凄く活きます。ホールカットは好き嫌いが分かれるタイプの靴だと思いますが、気になる人は個人輸入で買って欲しい一足。
ハンガリーは東西冷戦下ではソ連側の国だったため、(機械化が遅れ)未だにハンドメイドで靴を生産しているメーカーが多い。ハンガリーでは良質な革が採れる牛の飼育体制が確立されていないのですが、ヴォーシュだけは西欧のトップグレードの供給を受けられ頭角を現しました。
ちなみに、ラズロ・ヴォーシュの著書「紳士靴の全て」は、靴好き必見のバイブルです。

おわりに:良い靴を履く以上に、磨いて手入れをすることが大事!
いかがでしたでしょうか。
今回は予算にバラツキを持たせつつ、個人的に本当にオススメできるビジネスシューズをご紹介しました。価格差こそあれ、いずれもどこへ行っても恥ずかしくない靴ですよ。
そして、良い靴の真価を発揮するのは、ちゃんと手入れをすること。あまり革質が低すぎる靴では磨いても光らないという問題がありますが、今回ご紹介したレべルであれば手入れのし甲斐があると思います。
え?肝心な手入れはどうやってするのかって??
メンテって結構情報が錯綜して、中には不必要なものまで沢山氾濫しています。ということで最低限、私が初心者でも出来るメンテをご紹介します!
↓疑問を解決したいあなたは…こちら!!
【これだけでOK】ビジネスシューズのメンテナンス方法と必要アイテム(執筆中)
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